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はじめてのスタートアップ組織づくり-第1回 事業から組織を考える-

はじめまして、本コラムを担当します、DIMENSIONの中山と申します。DIMENSIONでは創業初期のシード・アーリースタートアップへ積極的に出資・支援しております。はじめて会社を創業する場合、”そもそも組織づくりって結局何を考えるの?”と悩む方が多いかと思います。本稿では基本的な組織論の考え方や事例をご紹介しながら、皆さんそれぞれにあった組織づくりのヒントをご提供できればと思っています。

連載を予定している内容

  • 事業から組織を考える⇒今回
  • 組織内コミュニケーション
  • 組織カルチャー
  • ビジョン、ミッション、バリューの役割
  • 採用:候補者との対話、面接のキホン、転職エージェントとの対話
  • 育成:1on1運用、評価のありかた、管理職の参画&登用タイミング、人事の参画タイミング

組織について後手になりがち

創業初期のスタートアップ経営陣とお話させて頂く際に、よく挙がる質問として“組織について、いつ、何を考えれば良いのか?”というものがあります。

創業初期はサービス開発と顧客獲得で手が一杯になることが多く、組織について考える余裕があまりない場合が多いでしょう。しかし、サービスが急成長する頃には“人手が足りない、採用が間に合わない、管理職はどうしよう”と悩むケースはよくある話です。

そこで今回は“後々の事業成長を見据えて、意識したい組織設計のポイント”を書いておきたいと思います。(創業初期の方は、頭の片隅に置いてもらうイメージで大丈夫です)

そもそも組織とは何か?

まず“組織”とは何でしょう。明確な定義は分からないけれども、言葉にぼんやりした印象をお持ちの方もいらっしゃると思います。本稿では似たような言葉の“集団”と比較して次のように整理します(厳密には、経営学においても定義に幅があります)。

  • 集団:複数の人間の空間的、心理的な集まり
  • 組織:共通ゴールを達成(①)するために、分業・調整することを前提とした(②)集団
    出典:Barnard, C., The functions of the executive, Cambridge, MA: Harvard University Press, 1938.(山本安次郎・田杉競・飯野春樹訳『経営者の役割』ダイヤモンド社、1956年)

 

そしてスタートアップの「組織」におけるは次のように読み替えることができるでしょう。

  • ①事業の成立・拡大のために / 事業拡大を通じたビジョン実現のために  
  • ②適したタイミングで、必要な人物を適切に配置し、分業・調整を可能にすること

 

すなわち、スタートアップの組織設計においては、 “次に誰を採用するか“を考える前に(最初は粗々でいいので) “いつ、どんな人が、何人、どの順に必要なのか“についてイメージしておく必要が出てきます。(=採用できた人に職をつけるのではなく、組織として必要な職に適任の人をつけたい)

組織設計は“事業”ありき、事業計画からイメージする

そこで重要になってくるのが、事業計画をベースに採用計画を立てておくことです。

具体的な流れですが、仮に事業計画を3年分・月次ベースで作成する場合

  • 目標とする獲得ユーザー数/企業数を3年分、仮置き
  • 上記獲得にあたり、必要な職種×人数を算出(例:セールス1人あたり〇社を担当⇒〇人必要)
  • 職種別×組織規模の変化を算出(例:1人のメンバー⇒3人のチーム⇒5人の部~)
  • 組織規模に応じて、必要な管理職の人数と入社タイミングも記載(直接、管理できる人数は5~7人と言われる:経営学ではSpan of Controlと呼ばれる)

 

という流れで検討すると、採用計画がクイックに立てられるようになります。ちなみに第2回目以降に詳しく説明しますが、管理職を担ってもらう方はなるべく初期から参画してもらうと、より組織が設計しやすくなる傾向があります。

また事業のタイプ毎に、採用数が多くなる職種に傾向が出てきます。例えば次のような傾向があるようです。

  • toB事業:顧客企業数が増えるとともに、顧客と対話を担うセールス部門(+パートナー連携であれば事業開発)を担う人材の数が必要となる
  • toC事業:ユーザー数が増えるとともに、マーケティング、カスタマーサポート、オペレーションを担う人材の数が必要となる

 

このように全社メンバーで採用ターゲットを意識しておくと、注目されているリファラル採用(従業員の紹介を通した採用)などに繋がりやすくなるなど、採用競争が激化している中でより良い人材の獲得が可能となるでしょう。(第2回目以降に人事の役職や部署をつくるタイミングについても記載していく予定です)

 

次回は組織成長時に留意したい社内コミュニケーションのあり方について触れていきたいと思います。

 

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