
先達に学ぶ
先達に学ぶ ー第11回 ICCからの学びー

こんにちは。本コラムを担当します、DIMENSIONの中山と申します。DIMENSIONでは創業初期のシード・アーリースタートアップへ積極的に出資・支援しております。はじめて会社を創業する場合、”そもそも組織づくりって結局何を考えるの?”と悩む方が多いかと思います。本稿では基本的な組織論の考え方や事例をご紹介しながら、皆さんそれぞれにあった組織づくりのヒントをご提供できればと思っています。
前回では、創業初期に組織設計する際の考え方、事業と組織の関係性を中心にご説明しましたが、“そもそもメンバー人数が増えるとコミュニケーションはどうなるの?何を意識しないといけないの?”というソフト面について気になった方も多いと思います。そこで今回は“社内コミュニケーション”のあり方について皆さんと一緒に考えたいと思います。
事業計画に則り必要な職種別人数を採る点を前回で解説しましたが、“そもそも社員数が増えるとコミュニケーションはどう変わるのか”を押さえておく必要があります。なぜなら、一般的に組織の人数が増えるとコミュニケーションの複雑さが、線形ではなく、指数関数的に上がるからです。(=経営学ではコミュニケーション・パスが増える、と言います)
イメージが湧きやすくなるよう、組織の人数ごとの会話経路を下記に図示します。
・4人チームなら経路が6本
・5人チームなら経路が10本
・6人チームなら経路が15本
社員数の増加に伴い、コミュニケーション経路数が増えているのがプロジェクト遅延の一因になっているケースもあります。
出典:日経XTECH 「円滑な意思伝達を実現 少人数チームで開発を徹底」2018.10.31号
“人数が増えるとコミュニケーションも複雑になる、ではどうすればいいの?“と感じる方もいるかと思います。
大きくは下記2つを両方やるアプローチがあります。*1
1.については言わずもがなですが、2.がないと全社の動きが見えず、疎外感を感じるメンバーが出たり、部門間で対立が発生しやすくなるからです。
2.の社内コミュニケーション整備を創業初期に行う場合、メンバーで“組織文化”を話し合うことがポイントです。組織文化があれば、各々が同じ土台で思考、議論するため、コミュニケーションがスムーズになるからです。*2(合宿を開催する企業が多いのはこれも背景です)
我々がスタートアップのオフィスに訪問させて頂き、社員の皆さんと立ち話する際、強いチームほど“社員同士が似た雰囲気”、 “多くの社内用語”などの共通項を感じます。
言葉がその人の世界を規定する(*3)という考え方があるなかで、チームが同じ世界・方向性を見ていれば使う言葉も徐々に似てくるはずです。組織文化が言語化されていれば、外部からメンバーに迎い入れる際の判断基準にもなりますし、組織として統一感を保ちつつ、多様性も担保できうる、という利点があります。(=逆に、組織文化という共通項がなければ“統一感のない集団”になってしまうリスク)
出典:
*1 管理職のためのエンジニア組織構築マニュアル
*2 ゼミナール経営学入門
*3 ソシュールと言語、WIRED:使う言語が「世界の見え方」を決めている
ここまで組織文化について書かせて頂きましたが、「これってビジョン、バリューに似てるな」と思った方は鋭いです。一方、「なぜミッション、ビジョン、バリューを作る必要があるのか」と感じた方もいらっしゃったと思います。
出典:マーサージャパン:企業の戦略的人事機能の強化に関する調査
前述のゼミナール経営学入門の整理を引用すると、
と言い換えられるかと思います。
なぜ後者は一定の具体性が必要かといえば、事業・組織成長にあたって
という点で、社内外へ発信できる言葉にする必要があるからです。
考え方について触れたことで、次回は策定の仕方について触れたいと思います。
This site is protected by reCAPTCHA
and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.