起業家の実例に学ぶ「事業成長のノウハウ」ー第2回 事業成長に必要な“縁”を引き寄せた実践例ー

「起業家インタビュー」から、先輩起業家の実践例をご紹介

こんにちは、DIMENSION Business Producerの伊藤紀行です。私の連載では数回にわたって、スタートアップやベンチャー業界における選りすぐりの起業家を取上げた「起業家インタビュー」をの中から、事業成長のノウハウをご紹介しています。

 

成功する起業家に共通する、“縁”の引き寄せ方とは?

皆さんのこれまでの人生を振り返ったときに、「あの人との出会いが、ターニングポイントになった」というご経験はないでしょうか。DIMENSION NOTEの取材で起業家の皆様のお話を伺っていくと、“運”や“縁”の大切さをお話される方が非常に多いことに気がつきました。起業・経営の領域において、実はこれらの要素は重要なのではないかと考えています。

チームに在籍するインターン生の力を借りて、実際に過去4年間すべての取材履歴を振り返ってみると、インタビューの中で「運」、「縁」、「出会い」等のキーワードについて触れられた方は実に9割以上にのぼりました。

“運”や“縁”という一見曖昧とも思える要素を、なぜ多くの起業家・経営者の方は重要視されるのでしょうか?これまで本メディアでお話を伺った経営者の皆様の知見や実例を基に、皆さんと考えてみたいと思います。

本日のコラムでは、

株式会社マザーハウス  代表取締役副社長 山崎大祐さん

トレジャーデータ社(Treasure Data, Inc)創業者 元CEO 芳川裕誠さん

のお二方のエピソードをご紹介します。

 

“積極的”な発信の継続で、創業パートナーを引き寄せる

起業をこれからされる方、されたばかりの方とお話をしていると、自身のプロダクトやサービスについてあまり積極的に発信されていない方も多い印象があります。

 

「もう少し準備ができてから・・・」

「もっと良いサービスに仕上げてから・・・」

 

という気持ちは非常によくわかります。しかし、初期にこそ積極的な発信を継続することで、良いご縁を引き寄せられるケースもあるようです。マザーハウス山崎副社長の、実践例をみてみましょう。

 

マザーハウスでいうと最初のチャレンジをしたのは私ではなく、代表の山口です。周囲の人全員に反対されながらバンブラディッシュに単身で渡り、ゼロのところからバッグを作って日本に持って帰ってきました。そのバッグを「買ってください」と私のところへ持ってきたのがすべての始まりです。

私は山口からすごく影響を受けたからこそマザーハウスの創業メンバーとしてジョインしたし、彼女との出会いがなかったら今こんなチャレンジをしていなかったと思います。

 

ーーそんな人生を変えてくれるような人と繋がるにはどうすれば良いのでしょう

大切なのは1つ。「発信すること」です。SNSでも飲み会でもなんでもいい。自分の興味関心、許せないこと、喜びなどをどんどん言語化していくことです。そうすれば同じ意識を持っている人と繋がることができる時代です。

私が山口と出会ったのは学生時代で、当時から「貧困はどうしてなくならないのか」とか「資本主義のあり方はどうあるべきか」みたいなテーマを議論しあっていました。私の問題意識を言語化していたからこそ同じ意識を持つ山口と出会い、のちに作ったバッグを私のところまで持ってきてくれる関係になったわけです。

日本人は考え抜くまで言葉にしない癖がありますが、これはよくありません。とにかくちょっとでも感じたことや違和感は「発信」していくこと。これが、人生を変える出会いを引き寄せる一歩だと思います。(山崎副社長)

 

社長の山口さん、副社長の山崎さんの出会いはご存じの方も多いかもしれませんが、積極的な発信の重要性が伝わってくるエピソードですね。

この話を現場で伺った際、前職で外国人を含む数名のチームのマネンジメントを任せて頂いたときのことを思い出しました。日本人と比較した時、アメリカやインド出身のメンバーは、かなり積極的に自分のやりたいことを発信する傾向が確かにありました。(大変失礼ながら実力がまだ伴っておらず、タイミングが早すぎるのでは?と思われる場合でも)

そして、MBOや1on1で継続的にそういった発信に接していると、何か新しい仕事の機会があった際、「あの人のお願いしてみようかな?」と思ってしまうのは不思議なものです。

日本人的な謙虚さは一旦封印して、とにかく発信!起業家には、そんな資質が必要なのかもしれません。

 

幸運の女神の前髪をつかむコツは、人とのつながりから

山崎さんの出会いは学生時代でしたが、社会人になって仕事で接した仲間から強力なパートナーをみつけられた、トレジャーデータの芳川さんの事例もみてみましょう。

ーー共同創業者の太田さん、古橋さんと起業されています。どういったきっかけで出会われたのでしょうか?

私が前職のベンチャーファンドに勤めていた頃、ビックデータのオープンソース管理基盤ソフトを開発する著名スタートアップから投資枠を獲得するべく、営業をしていました。そして、その会社に日本展開支援という名目で日本のカンファレンスに登壇してもらったことがあったのです。

そのカンファレンスでたまたまリーダーをやっていたのが太田でした。太田は私と全然違うバックグラウンドで年齢も私より7歳若いのですが、不思議と馬が合いました。優秀なエンジニアである上に、商売をすることに対する思いもしっかり持っていて、「いいな」と直感的に思ったんです。

2010年の夏に太田が私のシリコンバレーの家に泊まりに来た時に「一緒にやろう」と誘ったら即答で「いいですよ」と言ってくれたのが全ての始まりです。本人は覚えていないといっていますが笑。

そして、太田と一緒にビジネスプランを練り始めて少し経った頃に、「すごいやつがいる」と太田が連れて来てくれたのが古橋です。実際、彼が加入したことがトレジャーデータに大きなインパクトを与えました。

今振り返っても、共同創業者の二人との出会いは幸運だったなと思います。

 

ーー共同創業者に関しても「Better than you」の精神だったのですね。

特に創業メンバーは相性が大事です。

我々の例を言うと、まだ社名も決めていない創業1日目に決めたのが「営業ドリブンの会社にする」ということでした。エンタープライズ向けのソフトウェアビジネスで成功している会社で、営業が強くない会社は1社もないからです。

私は太田のことを「スーパーセールスエンジニア」だと思っているほど、創業初期からビジネスに対する考えを共有することができていました。

優秀かつ、マインドを共有できる創業メンバーと一緒に起業できたことは、トレジャーデータの大きな成功要因だったと感じています。(芳川さん)”

 

わらしべ長者のストーリーよろしく、1つの出会いが強力な仲間を引き寄せた一例ですね。日々の仕事の中で、すでに将来自分のビジネスを助けてくれる仲間と出会っているかもしれません。そういった方が、「この人になら力を貸そう」と思える仕事を続けられるか、が大事になってきそうですね。

投資家として日々数多くの起業家の皆様とお会いする中で、大きな成長を遂げる起業家に共通する要素を探すと、「強力かつ相性の良いチームであること」はかなり上位にくるように思います。自分と志を共にしてくれる方をみつけられるかどうかは、1つ1つのつながりを大事にするという、一見シンプルな(でも、日々忙しい中で丁寧にやりきるのは難しい)ことにかかっているのかもしれません。

 

飛躍の機会を掴むために、我々にできることは?

いかがでしたでしょうか?本日のコラムでは、2人の先輩経営者の実践事例をご紹介しました。

皆さんの自身の日々の活動に、どのように活かせるでしょうか?

 

  • “縁”を引き寄せるために、誰に、何を、発信できそうでしょうか?
  • 将来起業した時に、ご自身と共にリスクを取ってくれる人は誰でしょうか?

 

上記について考え、実行することで、皆さんの更なる飛躍や爆発的な成長のきっかけが得られるかもしれません。もちろん、我々がそのきっかけになれれば大変嬉しく思います。起業の相談など、気軽にご連絡ください。

その他の事例は、また次回以降のコラムでご紹介していきたいと思います。

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