
#ビジョン
起業家の実例に学ぶ「事業成長のノウハウ」ー第12回 ビジョン策定の実践例②ー

DIMENSIONチームでは高校生~大学生のみなさんにも積極的に出資をしていますが、若い皆さんにとって、株式、融資、資本政策等の用語は、とっつきづらく分かりづらいことが多いのではないでしょうか。本稿では、複数回にわたって、以下のような資本政策、資金調達の基本的な知識や考え方についてお伝えします。
・創業期の資金調達にはどのような種類、オプションがあるのか⇒第1回
・創業者の持分が希釈化していくことの意味、リアル⇒第2回
・融資と株式でハイブリッドで調達し希釈化を避けることの重要性 ⇒今回
・自社のビジョン、ビジネスモデルにあった最適な資金調達の手段の考え方
・資本政策の考え方
・資本政策表の読み方、作り方
・初回調達の適切な契約スキーム
(J-KISS、みなし優先株、転換社債型新株予約権、普通株式、優先株式)とは
・資金調達の手続と契約
・金融機関、株主との継続的なコミュニケーションの方法
若い方でも理解が進むように、基本的な用語の定義やお薦めの書籍についても紹介しながら、お伝えしていきます。
前回まで、資金調達の種類(第1回)と株式の希釈化(第2回)について話をしてきました。株式が希釈化した場合には、創業者単独での意思決定に制約が生じるという話をし、起業家の道としては、キャッシュ or キングという2つの選択肢があるという話をしました。今回は、エクイティの資金調達を選ばれた起業家として、どのような視座で、資金調達を重ねていくべきかについて説明をします。
エクイティでの調達を選ばれた以上、起業家として自身が保有する株式の一定の希釈化は受け入れているはずですが、とはいえ希釈化はできる限り抑制して、会社の経営コントロール権は維持していきたいはずです。
したがって、できる限り持株比率を維持するという観点で、資金調達においては以下2点が重要な点となってきます。
1.について起業家として、投資家が許容できる最大バリュエーションを交渉のなかで模索していくことは当然かと思いますが、➁について意識的に実施されているケースはまだまだ多くないように感じています。
現状の事業実績では融資での調達ができないケースであっても、エクイティファイナンスで一定の調達ができる場合、
ため、エクイティファイナンスの直後は、融資での資金調達が大変しやすいタイミングです。また、銀行からするとVCによる目利きを通過したというお墨付き効果があることから、融資稟議を通しやすい側面もあるでしょう。
エクイティ調達時における融資は、エクイティ投資家から見ると出資比率を維持しながら、出資した投下資本にレバレッジをかけることになりますので歓迎すべき調達でもあります。
銀行との取引は、融資を受け返済の実績を作り与信を積み重ねることで、与信枠自体が増え、更に大きな融資での調達を実施できるというサイクルが回っていくものですので、比較的早い事業ステージから、銀行との取引を重ねていくことを意識すること、特にエクイティ調達のタイミングでの融資取引の規模化を意識することは重要です。
実際、DIMENSIONの投資先の多くがエクイティファイナンスと同時に、デットでの調達を行っていますし、それを推奨しています(DIMENSIONでも銀行の方々にファンドに出資いただいておりますが、銀行としてベンチャーキャピタルに出資する理由の1つが、出資先の融資案件を獲得されたい点や目利きの視点を得たいという点があります)。
第1回の資金調達の説明の際、日本政策金融公庫の創業融資の制度について触れました。今回は、アーリー~ミドル以降のスタートアップが活用しやすい融資制度として、資本性ローン、新株予約権付融資についてご紹介します。
概要については、以下のスライドでまとめました。
なかでも、資本性ローンは、①無担保、無保証で借入を実施できること、➁赤字フェーズでは金利の支払が約1%以下に抑制されること、③融資審査上は、自己資本としてみなされるため、さらなる融資調達の余力を残しやすい、という利点があります(最終的に元本返済の必要がありますが、エクイティに近い性質の資金調達手段となっています)。
借入上限としても事業ステージによって増えていきます。
詳細や最新の融資条件等については、こちらのホームページをチェックしてみてください。
今回は、エクイティとデット調達をハイブリットで行っていくことの重要性、アーリーステージ以降、活用しやすいデットの種類について説明を行いました。
次回は、ここまで紹介してきた「エクイティによる資金調達」はファイナンスの視点で見ると、やや例外的な資金調達手段であり、ビジネスモデルと資金調達手段、ファイナンスの手法には、大いに相性が存在する、という点について話をします。第1回、第2回の記事も参考にしてみてください。
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