
#レジェンドに聞く
先達に学ぶー第1回 新卒の事業承継ー

こんにちは。起業ノウハウ「はじめてのスタートアップ組織づくり」を担当します、DIMENSIONの中山航介と申します。DIMENSIONでは創業初期のシード・アーリースタートアップへ積極的に出資・支援しております。はじめて会社を創業する場合、”そもそも組織づくりって結局何を考えるの?”と悩む方が多いかと思います。本稿では基本的な組織論の考え方や事例をご紹介しながら、皆さんそれぞれにあった組織づくりのヒントをご提供できればと思っています。
前回の「はじめてのスタートアップ組織づくりー第2回 組織内コミュニケーションー」では、社内のコミュニケーションのあり方、ミッション・ビジョンの役割についてご説明しましたが、今回は具体的に、ミッション・ビジョン策定の考え方について、皆さんと一緒に見ていきたいと思います。
「はじめてのスタートアップ組織づくりー第2回 組織内コミュニケーションー」で、ミッション、ビジョンの目的は、大きく2つに分けられると説明しました。
・社内:共通のものさしを設けることで、社内のコミュニケーションコストを減らす(=団結しやすくなる)
・社外:自社に合いそうな人を言語化し、採用ハードルを下げる(=仲間づくりが進めやすくなる)
すなわち、スタートアップ組織づくりの観点から、ミッション・ビジョン策定で最も大事なことは、会社のメンバー、経営陣全員に、“ウチっぽいな”と思えるような、共感を持たせる内容を抽出することです。
ミッション・ビジョンについて、社内外の多くの人に “共感”してもらうために、下記の3点など組織構成を意識してみるとファシリテーションが円滑になります。
①会社の規模(=創業メンバーのみなど小さな規模の会社 ⇔ 数十人、数部署またがって議論が必要になる大きな会社)
②勤続年数の分布(=創業時メンバーが主 ⇔ 直近1年で参画したメンバーのほうが多い)
③事業の変遷有無(=主力事業は創業時から変わらない ⇔ 新規事業がいくつかある)
たとえば
①会社の規模 人数が多い組織ほど、部署ごとにブレスト、取りまとめといった議論デザインが必要になります
②勤続年数の分布 直近、参画したメンバーに積極的に議論に参加してもらい、“入社した当時はどんな雰囲気、カルチャーの組織に見えたか?”語ってもらうのはヒントになります。(=改善したい文化は何か、ここで拾えるとよいですね)どうしても創業時メンバーの見方や声に引っ張られがちですが、新規メンバーをどうアトラクトするかという観点でも直近参画メンバーの声は傾聴しておきたいところです。
③事業の変遷有無 複数の事業を抱えている場合、ミッション・ビジョンの統一感が大切です。よくあるケースとして、創業時からの主力事業に沿ったミッション・ビジョンをそのまま掲げていることで、新規事業の位置づけが語りにくい場合があります。
上記を意識しながら、実際に策定に臨みます。
様々なミッション・ビジョンの策定事例を拝見していると、よい事例は以下の流れで策定しているように感じます。
ポイントは、具体性の高いミッションから議論すること。(=新旧問わず、メンバーが議論しやすい)
ビジョンは抽象度が高い話になりがちなので、ミッションから話し合って延長線上に何があるのか、といった観点で絞っていきます。
Ⅰについて意識したいのは、③事業変遷の有無
既存事業部と新規事業部のメンバーで“何を担う会社なのか、なりたいのか”の解釈に開きがある可能性があります。ファシリテーターはなるべく、両方の円が重なる領域を抽出してみてください。
Ⅱについて意識したいのは、②勤続年数の分布
創業時のメンバーからすれば、“当たり前”と思っている行動基準も、直近参画のメンバーからすると
(良くも悪くも)距離が遠い内容があるかもしれません。ファシリテーターは直近参画メンバーから見た、会社の雰囲気なども引き出すと新しい意見を得られる機会になると思います。
個人的には、Ⅱ.バリューこそが業界特性を表しやすいと感じており、スピード×大雑把 or 慎重×精密といった価値観、行動基準は所属業界の特性に依存します。ゆえに、新旧メンバーがフラットに、“このミッションを達成するには、何を大事にし、何を大事にしないのか”議論することが大事になります。
また、組織人数が多い場合、
といった議論デザインを検討されてもいいかと思います。事業部が広がり、意見に開きがありそうな場合は、ボトムアップで意見を幅広に集約し、共感を得やすくする試合運びが求められます。
ここまでミッション・ビジョン策定について書かせて頂きましたが、次回は浸透策について触れたいと思います。第1回、第2回の記事も参考にしてみてください。