起業家の実例に学ぶ「事業成長のノウハウ」ー第4回 諦めない“タフさ”を磨いた起業家の実践例-

「起業家インタビュー」から、先輩起業家の実践例をご紹介

こんにちは、DIMENSION Business Producerの伊藤紀行です。数回にわたって、スタートアップやベンチャー業界における選りすぐりの起業家を取上げた「起業家インタビュー」をの中から、事業成長のノウハウをご紹介しています。

皆さんは、諦めない“タフさ”をもっているでしょうか。あるいは、成功した起業家の皆さんは強靭な精神力を持った方々なのでしょうか。DIMENSION NOTEの取材で起業家の皆様に必要な素養を伺っていると、起業の成功には、“精神的なタフさ”が重要であるとおっしゃる方が非常に多いことに気が付きました。

彼らは生まれついてのタフさを持ち合わせているのでしょうか?それとも後天的に鍛えることができるのでしょうか。過去4年間本メディアでお話を伺った起業家の皆様の、知見や実例を振り返ってみました。

本日のコラムでは

  • 五常・アンド・カンパニー 代表取締役 慎泰俊氏
  • アカツキ 共同創業者 塩田元規氏

 

のお二方のエピソードをご紹介します。

 

少しずつ負荷をかけ、ストレス耐性を高めていく

普通の人なら諦めてしまうところでも、決してあきらめない、起業家にそんなイメージを持たれている方もいらっしゃるかもしれません。

それでは、全ての起業家が最初からターミネーターのような強さを持っているのでしょうか?実は起業家の中には、少しずつ“タフさ”を身につけていった方もいらっしゃるようです。

五常・アンド・カンパニー代表取締役 慎泰俊さんの、実例をみてみましょう。

 

“ーー起業家の素養( 第1話)として挙げられた2つめの「諦めないこと」についてお聞かせください。

 

これは生存者バイアスがかかっているのかもしれませんが、うまくいっている起業家はみんな「諦めていない」んです。辛いことばかりある起業家人生ですが、それでも続けられるストレス耐性が必要ということだと思います。

私はこの「諦めない力」は慣れで身につけられるものだと思っています。階段のようなもので、いきなり3段跳びは出来なくとも1段1段のぼっていくことはできる。今の自分のキャパシティに対して相対的に少しずつ「+α」し続けることで、ストレス耐性は高まってくるのです。

もう少し別の例えをするなら、10キロしか走ったことがない人が40キロ走るのはとても辛いと感じるでしょうが、100キロ走ったことある人にとって40キロは大したことがありませんよね。

私も20年くらいずっと、常に自分のキャパシティに少しだけ「+α」した負荷をかけ続けてきました。つぶれてしまわない程度の負荷をかけ続けていると、体が慣れて自然とストレス耐性が強くなってくるものです。
(五常・アンド・カンパニー代表取締役 慎泰俊氏)”

 

少しずつストレス耐性を高めていくアプローチは、我々も取り入れられそうです。ただ、そうはいっても、負荷をかけ続けるのは大変なプロセスです。なぜ、負荷をかけ続けることができるのでしょうか。

 

“ーーなぜ常に自分に負荷をかけ続けることが出来たのでしょうか?

 

これは漠然とした話ですが、昔から歴史や人物伝が好きで、歴史的な偉業を成し遂げた人たちはみな人間としても立派な人たちばかりだなと感じていました。理想を語るにはそれだけの人格がいると、子供ながらに感じていたのです。

たとえば、革命家のチェ・ゲバラは「自分の心を芸術家のような気持ちで磨き続けてきた」という趣旨の言葉を残しています。コツコツと自分の心を鍛えていたのだなというのがすごくわかる言葉です。

なので、夢を語るに足る自分になるために、自然と自分に負荷をかけ続けてこられたのだと思います
(同上)“

 

共同創業者が辞めてしまう、残キャッシュがどんどん減っていく、組織づくりがうまくいかず社員の方が不満をもらす 等々、事業を運営していく中では多くのチャレンジがやってきます。それらのチャレンジを乗り切るために、慎さんのエピソードから学べることがありそうです。

皆さんにも、目標とされている、憧れの人物がいらっしゃるかもしれません。「少しでも、彼/彼女に近づいてやるんだ!」という気持ちが、もう一歩のがんばりを産み出すのかもしれませんね。

 

「諦めない道」を選ぶ回数を増やす

続いて、アカツキ共同創業者 塩田元規さんの事例もみてみましょう。

 

――起業家の素養(第1話)の2つ目である「グリット力・やりきる力」はどのように身につけられたのでしょうか?

 

まず必要なのは、「自分が頑張り続けたら、なんとかなる」と信じられる、自己確信的な力。この力は、小さなことでも良いので、ピンチの局面でも「やりきる」成功体験を積み重ねることで身につきます。

次に必要なのは、「諦めるかどうか」というギリギリの分岐路で、「諦めない道」を選ぶ回数を増やすことです。

本来、起業というのは誰かに言われてやっているわけではありません。自分が本当にやりたいことをやっているのだとしたら、たとえ苦しい状況だとしても「諦めたいのか?」と自分に問うたら、「諦めない道」を選ぶはずです。

私も過去にそういった状況が何度もありました。でも、その分岐路に立たされる度に、最後の最後で「諦めない道」を選んできました。そして、選択をする度に、自分の「覚悟レベル」が上がってきたと思います。
(アカツキ共同創業者 塩田元規氏)“

 

1つ1つの「諦めない」選択が、覚悟のレベルを上げていく。慎さんの話にも通じるものがありますね。

“起業家というものは、えてして起業当初は「覚悟レベル」が低いもの。私も1年目は低かったです。しかし、「諦めない道」を選ぶ回数が増えるごとに「覚悟レベル」が上がり、気づいたら昔は困難と思っていたことをなんでもなく思えるほど、見える世界が違ってきました。

そうやって「覚悟レベル」を上げることが、少々の困難ではくじけない「グリット力・やりきる力」を身につけるということではないでしょうか。小さなことからでも良いので「諦めない道」を選び、成功体験を積み重ねていくことが、起業家の「グリット力・やりきる力」につながっていくのだと思います(同上)“

 

我々のご支援先の起業家の中に、30以上の投資家に断れながら、ついには多額の資金調達にこぎつけた起業家の方がいらっしゃいます。出資を決めた投資家のお一人いわく、「しつこく粘る姿勢に、生命力を感じた」とのこと。30回諦めなければ、誰かが力になってくれるのかもしれません。

最初から鉄人のような強さはなくとも、1日1日“粘る”ことで、徐々にタフさを身に着けていけるもののようです。

 

諦めない“タフさ”を磨くために、我々にできることは?

いかがでしたでしょうか?本日のコラムでは、2人の起業家の実践事例をご紹介しました。
皆さんの自身の日々の活動に、どのように活かせるでしょうか。

  • 少しずつストレス耐性を高めるために、今できることは何でしょうか?
  • 「覚悟レベル」を上げるために、次にできる「諦めない選択」は何でしょうか?

 

上記について考え、実行することで、皆さんの更なる飛躍や爆発的な成長のきっかけが得られるかもしれません。もちろん、我々VCも微力ながら起業家の皆さんをサポートできればと思いますので、キツイときには遠慮なく頼ってもらえればと思います。

 

その他の事例は、また次回以降のコラムで考えていきたいと思います。DIMENSION NOTEの起業家インタビュー起業ノウハウ、私が連載している「起業家の実例に学ぶ、事業成長のノウハウ」の第1回第2回第3回の記事なども参考にしてみてください。

 

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