はじめてのスタートアップ組織づくりー第7回 転職エージェントに応援してもらうにはー

連載を予定している内容

こんにちは。本コラムを担当します、DIMENSIONの中山と申します。DIMENSIONでは創業初期のシード・アーリースタートアップへ積極的に出資・支援しております。はじめて会社を創業する場合、”そもそも組織づくりって結局何を考えるの?”と悩む方が多いかと思います。本稿では基本的な組織論の考え方や事例をご紹介しながら、皆さんそれぞれにあった組織づくりのヒントをご提供できればと思っています。

  • 事業から組織を考える 第1回
  • 組織内コミュニケーション、組織文化 第2回
  • ミッション、ビジョンの策定 第3回
  • ミッション、ビジョンの浸透 第4回
  • 採用:採用活動のキホン、候補者との対話 第5回
  • 採用:面接のキホン第6回
  • 採用:転職エージェントとの対話⇒今回
  • 育成:1on1運用、評価のありかた、管理職の参画&登用タイミング、人事参画タイミング

 

転職エージェントに応援されることの意義

前回では、採用・面接の基礎、カジュアル面談を実施するにあたってのポイントなどをお伝えしました。

今回は自社に採用候補者を紹介してもらうにあたって、メインサポーターでもある “転職エージェントの方“へ自社の魅力をどう伝え、応援してもらうか、エージェント経験者からのヒアリングをもとに基本的なポイントを中心に書いていきたいと思います。(各社の採用人事の担当者、エージェントの方もSNS、ブログなどで情報を発信されているので、他社事例を学ぶ上でも、チェックされると良いかと思います)

創業タイミングでは、転職エージェントの方とあまりお話されたことのない起業家も多いかと思いますが、彼らに自社の魅力を伝えられているかどうかで、有望な候補者を紹介いただけるかが決まる“生命線”であることを認識すべきです。

転職エージェントの方に応援いただける場合

  • 求人票の書き方に悩んだ際、魅力的なポジションとして読んでもらえるよう、アドバイスがもらえる
  • ターゲット候補者がどこの母集団にいるか、候補者から見た採用競合、自社の差別性についてアドバイスがもらえる
  • 絶対に入社してほしい候補者に内定オファー後、入社にあたってのハードルをヒアリングしてもらえる
    (=すり合わせのチャンスがある)
    などのサポートがあり、採用がキモとなるスタートアップにおいては重要な存在です。

 

実際、紹介経由の入社数が増えて関係性が深まれば、取引先というよりも、事業パートナーとして対話されているケースもあります。エージェントから見れば、長年パートナーとしてやり取りしている会社を応援したくなるのが人情という面もありますので、この点をスタートアップは意識されたほうが良いかと思います。

 

転職エージェントの事業構造を理解しよう

転職エージェントの方と良い関係性、エンゲージメントを築く大切さはお伝えしましたが、補足もかねて転職エージェントの事業モデルを改めて触れておくと

  • 売上 = 入社数×成果報酬
  • 更に分解すると

売上 = 入社数(=紹介数×入社決定率)×成果報酬(=理論年収×フィー●%、通常は35%)
という売上の図式から分かる通り、数値を追う営業マンでもある点は認識しておきたいところです。

 

踏まえると、下記の側面があります。

  • 人数と成果報酬(理論年収だけでなく、フィーが重視)の目標数値を追っていることを理解したい
  • 原則として、入社決定率×成果フィーが高い企業にエージェントは優先して候補者を紹介する
  • エージェントに目をかけてもらうには、成果フィーだけでなく、入社決定率に寄与する情報提供がマスト

 

取引先ではなく、事業パートナーとして捉えましょうと、前段でお伝えしたのはこのためです。

投資家候補や既存株主に自社の取組み、将来構想を早い段階から伝えるIRがあるように、エージェントについても将来構想ならびに必要になるポジションを早い段階から共有するAR(=Agent Relationship)が必要なのではないかと、エージェント経験者にヒアリングするなかで感じています。

 

転職エージェントに応援される会社になるために

中長期で関係性が築けそうな転職エージェントを事業パートナーとして位置付け、入社決定率が上がるような情報提供を積極的に行っていく必要がある、とお伝えしました。

入社決定率が上がる情報 = 「エージェントが適切な候補者に、適切な会社/ポジションを紹介できること」と定義すると、転職エージェントに応援される会社になるために、スタートアップが取るべきアクション例は、多数のエージェント向けへ企業/事業説明会はもちろんのこと関係性が築けそうなエージェントについては、以下も情報提供してみてはどうでしょうか。

 

<会社全体について>

  • 自社カルチャーが伝えられる採用資料の作成・提供

 

<ポジションについて>

  • 今後の事業戦略にあたって、いつ、どんなポジションが増えそうか
  • そのポジションにはどんな属性の候補者が当てはまりそうか
    (⇒もし求人票における募集要件イメージが湧かなければ、早めにエージェントに相談する)

 

<チームの雰囲気について>

  • 人事⇔エージェントとのやり取りだけでなく、CxOやメンバーもエージェントとの打ち合わせに同席し、会社の雰囲気、キャラクターを知ってもらうこともプラス

 

<その他>

  • 資料には記載していない、エージェントから口頭で話してもらう内容を整理(例:資料では伝わらないCxOの人柄)

 

などが施策として挙げられます。

 

是非、自社にあったエージェントへの訴求法をトライして頂けたらと思います。他の連載記事第1回第2回第3回第4回第5回第6回も参考にしてみてください。

 

DIMENSION NOTEについてのご意見・ご感想や
資金調達等のご相談がありましたらこちらからご連絡ください

E-MAIL MAGAZINE 起業家の皆様のお役に立つ情報を定期配信中、ぜひご登録ください!*は必須項目です。

This site is protected by reCAPTCHA
and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.