Re Tech領域No.1、そして世界的企業へ GA technologies 樋口龍CEO(第6話)

経営者自ら現場の声を聞き続ける

——新しい事業に挑まれている樋口さんですが、リーダーとして組織をまとめるために、行動や振る舞いなどでどのようなことを意識されていらっしゃいますか?

現場の声を聞くことです。日本の企業が伸び悩む1つの理由として、経営者が現場を知らないことが原因だと思います。

例えば小さな話ですが、仕事上タクシーに乗るとSuicaが使えないタクシーが時々あります。毎回「Suicaは使えないですか?」と聞きます。すると、運転手さんから「経営者には伝えているんですが使えるようにならなくて」といった返答がきます。「なぜ経営者の方は使えるようにしないんですかね?」とさらに質問すると、「いや、予算の問題みたいで」と。要するに、経営者が現場にいないので、それがどれだけの要望なのかがわかっていないのだと思います。このようなことは現場に出ていかなければわかりません。

そうした想いから、CSの現場には自分自身も参加して、週1回は不動産をご購入いただいたお客様に会いに行くようにしています。当然、フィードバックも直接お受けするわけです。「ここは駄目だ」「ここはサービスがなってない」など。しかし、自分が行ってみて聞く声と、第三者を通して聞く声は全く違うので非常に参考になります。

お客様がどれだけの想いで言っているのか、表情やトーンなども含めてわかります。そうした子細な部分まで正確に把握をしたいので、今でもCSは私の重要な仕事だと考えております。

 

——現場を大事にすることの必要性は他の社員の方にも共有されていらっしゃいますか?

AIやデジタル開発を強化していますが、それだけではなくアナログなこともとても重視しています。例えば、GA tech Partyというお客様をお招きするパーティを開催し、そこには会社の役員全員が出席するようにしています。そこで直接会って、お客様の声を聞くことを大切にしています。アナログ的なことですが、とても大事なことだと思っています。

Airbnbがなぜうまくいったかというと、副社長をCS責任者としていたからだと言われています。だからこそ、ユーザーヒアリングに重点を置くことができた。日本の企業は、現場に聞くとか、ユーザーヒアリングするということが、シリコンバレーと比べ圧倒的に少ないことが問題なのではないかと思います。

ReTech領域No.1の先に見据えるもの

——今後の目標についてお聞かせください。

ReTech領域でNo.1になることです。

また、不動産は金融の一部であり、FinTechの領域とは親和性が非常に高いため、自社で銀行機能を持つという構想もあります。

現在の日本は残念ながら企業名でお金を貸すかどうかを判断するシステムです。有名企業であれば借りることができるけれど、そうでない場合には借りにくい。しかし、今は有名企業で働いていても、すぐに辞めてしまうかもしれないし、金遣いが荒い人かもしれません。逆に、名前が知られていない企業でも実直に働いて業績を伸ばしていくような人かもしれません。アリババが個人のパーソナルなデータをもとに融資をするというサービスを展開していますが、それは今後日本でも絶対に必要になると思います。だから、我々もそういった領域にいきたいと考えています。

他にも、不動産と保険も親和性が高いと思っています。そのため、保険業界をテクノロジーの力で変えていく「InsureTech」の事業をしたいとも思っています。今、家財保険は、当たり前のようにみなさんが入っているものなので注目されていませんが、そのあたりに切り込むと面白いのではないかと思っています。

さらに、アメリカで昨年ぐらいから盛り上がっている、建設×テクノロジーでパフォーマンスを上げる「ConTech(construction tech)」の事業にも注目しています。不動産と親和性が高く、まだテクノロジーが入りきれていない分野に、我々は切りこんでいき、イノベーションを起こしていきたいと考えています。

例えば、不動産は賃貸が1番トランザクションもデータ量も多いのに、テクノロジーで管理しきれていません。まだまだ賃貸領域には、イノベーションが起きていないと感じているので、私たちが役に立てる部分もあるのではないかと思っています。

「世界的な会社をつくる」という意志

——なるほど。不動産業界の中でも、まだまだできることがたくさんあるのですね。最後に、起業家のみなさんに向けてメッセージをお願いします。

弊社は、設立してまだ5年。世界的な会社をつくりたい、世の中にイノベーションを起こしたいという一心で経営をしてきました。その中で、周囲から「無理だろう」と言われることもありました。しかし、そんな風に言われたからといって途中で投げ出すわけにはいきません。新しいことを起こすためには行動しなければいけませんし、さらに一度起こした行動はやりきらなければいけません。

国家的なことを考えると、時価総額ランキング上位50社に20年前は日本企業が10社入っていたにもかかわらず、今は1社しか入っていません。アメリカ、中国に惨敗してしまっています。我々日本の起業家が、そういう現状を生み出してしまっていると考えています。弊社はまだまだ成長段階ですが、少なからず日本の経済の発展や、日本の企業がもう1度グローバルで目立つ存在になるために強い意志を持って頑張りたいと思っています。

ですから、みなさんも是非強い意志を持って、一緒にグローバルな企業を作り、世の中を変えていきましょう。高い志を持って切磋琢磨しながら、一緒に頑張っていければと思っています。

 

■起業家のみなさんへのメッセージ■

 

 

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DIMENSION 編集長

DIMENSION 編集長

「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。

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