「経営者の仕事は総合格闘技のようなもの」株式会社GENDA 申 真衣社長が起業への想いを語る(第1話)

「世界中の人々の人生をより楽しく」というAspiration(アスピレーション=大志)を掲げている、株式会社GENDA。M&Aでの「連続的な非連続な成長」を成長戦略とし、創業以来、アミューズメント施設運営を中心とした数多くのM&Aを通じて、事業の拡大やリソース最適化による効率的な経営を実現している。同社代表取締役社長 申 真衣氏に起業までの経緯、資金調達のポイントなどについてDIMENSIONビジネスプロデューサーの古家 広大が聞いた。(全4話)

経営者は、最もその人らしい形で働ける職種

ーー申社長にとって、起業家として重要な素養を3つ挙げるとすると何でしょうか。

それを一概に3つ挙げることは難しいと思います。

その起業家自身の強みを述べることになるのではないでしょうか。

私は、「これが無ければ起業家になれない」というものはないと考えています。

経営者の仕事は総合格闘技のようなもので、非常に多くの要素が含まれています。

営業に重点を置いている経営者もいれば、投資に焦点を当てている方もいますし、ピープルマネジメントに注力している方もいます。

経営者の仕事は、「これが無ければできない」のではなく、あらゆる要素の中で自分の得意なことを最大限伸ばすことが出来る仕事、言い換えれば、最もその人らしい形で働ける職種だと思っています。

 

申 真衣/1984年生まれ
東京大学経済学部経済学科を卒業後、2007年ゴールドマン・サックス証券株式会社へ入社。金融法人営業部で金融機関向け債券営業に従事。その後、2010年より金融商品開発部にて、金利・為替系デリバティブの商品開発・提案業務、グローバルな金融規制にかかる助言業務等幅広い業務に従事。2016年4月、金融商品開発部 部長、2017年11月、マネージングディレクターに就任。2018年8月、株式会社GENDA取締役就任。2019年6月より現職

 

起業を始める方に伝えたいのは、「これとこれが出来たら、起業の準備が整った」ということは無い、ということです。

例えば、会社を経営するのに、会社法は避けられないものです。これについてはある程度理解し、それに沿った運用をする必要がありますが、会社を始める前に会社法を完璧に学ぶ人はほとんどいないのではないかなと思います。

ですから、何かを準備すれば良いというものではなく、自分の得意なことを伸ばし、経営をしながら身につけていくものだと考えています。

 

ーー「総合格闘技」という言葉がありましたが、それは1対1の闘いでしょうか。メンバーを増やし、チームで闘うようなイメージでしょうか。

まさにチーム戦をイメージしています。

自分に足りないところをチーム内で補い合いができることや、自身で戦う相手(市場)を選んで、その中でどのように攻めるかを自分で決めることができるという点では、本当に自由度の高い仕事だと思います。

 

「目標を設定する能力」と「目標を達成する能力」

ーー先ほど「得意なことを伸ばす」という話がありましたが、申社長が特に伸ばしてきたことは何でしょうか。

何かを成し遂げるには「目標を設定する能力」と「目標を達成する能力」、これら2つが必要だと思います。

どちらも重要な能力ではありますが、私は「立てた目標をコツコツと達成していくこと」が人よりも得意だなと感じていて、そのことに気が付いたのは受験勉強だったと思います。

「この試験に合格するためにこなすべきことは何なのか。」「一日に何時間勉強すべきか。」と逆算し、ゴールに向かって淡々と実行する。

これが私が得意とする方法で、長年続けてきました。

社会人になったときは、雑誌で見た「30歳で1000万円を稼げる会社」の特集に影響を受けて、「30歳で1000万円稼ぐ」という目標を立てました。

その後、ゴールドマン・サックス証券株式会社に入社し、「40歳までにマネージングディレクター(MD)になる」という新たな目標を設定しました。実際には33歳でMDになる事ができ、どちらの目標も自分が思っていたよりも早く達成することが出来ました。

 

ーーその中で、GENDA社を起業することに至ったのはどういった想いやきっかけがあったのでしょうか?

これらの目標を達成していく中で、自分の目標設定が低すぎるのではないかと感じるようになりました。

また、ゴールドマン・サックスでMDになるために努力していく中で、視野も広がり、自分のキャリアを再構築するべきではないかとも考え始めました。

そのため、1年半ほどの間に、起業家の方々と会ったり、GENDA以外のビジネスプランも作成して、投資家に会ったりしていました。

その中で、現在の代表取締役会長である片岡と出会った際、彼に「世界一のエンタメ企業を作ろう」と誘われ、「世界一」という高い目標を設定し長い時間をかけて追い求めていくことで、より長く味わい深いキャリアが築けるのではないかと思い、共同創業に至りました。

 

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古家 広大

古家 広大

早稲田大学卒業後、三井住友信託銀行に入行。 広島にて個人向けFP業務を行った後、大阪にて法人RMを経験。非上場からプライム市場の企業まで担当し、融資や不動産など信託銀行の幅広いソリューション営業に従事。また、ESGやSDGsをはじめ、CGC改訂への対応支援も行い、グローバルで勝ち続ける企業への成長を非財務領域も含めてサポート。 2022年DIMENSIONに参画。LP出資者からの資金調達と国内スタートアップへの出資・上場に向けた経営支援を担う。

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