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IPOまでの激動の道のり。グッドパッチ社長 土屋尚史が語る、起業家にとって重要な素養(第1話)

「デザインの力を証明する」をミッションに掲げ、デジタルトランスフォーメーション(DX)に欠かせないUI/UXデザインのリーディングカンパニーとして存在感を高め続けている株式会社グッドパッチ。2020年には東証マザーズ上場も果たした。そんな同社を牽引する代表取締役社長/CEO 土屋尚史氏に、起業家にとって重要な素養、成長事業の創り方などについてDIMENSIONビジネスプロデューサーの伊藤紀行が聞いた(全5話)

本質を見極める力を養え

ーー起業家にとって重要な素養を3つ挙げるとするとなんでしょうか?

1つめは「本質を見極める力」。本質的に重要なものと、そうでないものの見分けがつけられる力です。

2つめが「真摯さ」、3つめが「諦めない心」。

3つとも一般的によく言われる平易な言葉のように思えるかもしれませんが、9年間の経営者人生を振り返るとこの3つの素養によって今の自分があると感じています。

 

土屋尚史/1983年生まれ
サンフランシスコに渡り海外進出支援などを経験した後、2011年9月に株式会社グッドパッチを設立し代表取締役社長 / CEOに就任。UI/UXデザインを中心に、スタートアップから大手企業まで数々の企業サービスのデザインを手がける。自社でもデザイナー向けキャリア支援サービス「ReDesigner」やクラウド型ワークスペースツール「Strap(ストラップ)」など数多くのサービスを立ち上げる。2020年6月には東証マザーズ市場への上場も果たした。

 

ーーこの3つの素養を土屋さんはどのように身につけられたのでしょうか?

1つめの「本質を見極める力」については、圧倒的な「多方面からのインプット量」によって身につけたように思います。

私は若い頃から会社や起業家の情報を集めるのが好きで、彼らがどのようにして成功したのかという情報を絶えず収集し続けてきました。またビジネスだけでなくテクノロジーやデザインについても、インプットや実体験を数多く経てきました。

成功している起業家で「多方面からのインプット」を怠っている人を見たことがありません。成功している人はみな、広範囲に渡ってインプットをし続けています。

「本質を見極める力」というのは、言い換えると「バイアスを見極める力」。つまりは一つの事象をいろんな方向から見れる力ということです。思考や判断に特定の偏りをもたらす思い込みなどがないか、多角的に物事を見れるからこそ、本質を見極めることができるようになるのだと思います。

 

「デザイン会社として上場」決断の舞台裏

ーー「本質を見極める力」はどのように会社経営に活かされていますか?

デザイン会社の仕事は「仕様が決まったものを綺麗に作ること」だと思われていた中で、グッドパッチはそれがデザインの本質ではないことを創業初期から見極めていました。

むしろそうやって世の中のデザイン会社が付加価値の低い仕事を続けることによって「デザインの価値」が本質よりも低く見られ、結果的にマーケット全体やデザイナーの市場価値も成長していないと考えていたのです。

なぜこのような視点を持てたかというと、創業者の私がデザイナーではなくビジネスサイド出身で、営業やテクノロジーなど様々な視点からデザインの持つ価値を見れたからです。

 

ーー「デザインの力を証明する」とミッションにも掲げられています。

デザインは本質的にはビジネスの広い範囲に影響を及ぼす、非常に価値の高いものです。

我々はそんなデザインの価値を証明するために、「仕様が決まったものを綺麗に作れば良い」という考え方ではなく、「デザインの産業自体を大きくする」仕事にフォーカスしてきました。

他にもグッドパッチは従来型のデザイン会社が取らない選択をし続けることでここまで成長してきました。

例えば「従業員を増やす」「外部資本を入れて上場を目指す」といったことは普通のデザイン会社はやりません。デザインの仕事は属人的で、個々人のセンスによって成り立っているというバイアスがあるからです。

しかし、マーケット全体を成長させ、デザイナーの市場価値を高めるという目的を達成するためには小さい規模でやっていても信用は勝ち取れません。上場を目指すことで影響力のある会社になることが重要だと考えたのです。

 

修羅場を「真摯さ」で乗り越えた

ーー2つ目の「真摯さ」についてもお聞かせください。

グッドパッチは一度、従業員が100人を超えた辺りで組織崩壊を起こしたことがあります。離職率が2年連続で40%を超え、100人の組織なのに2年間で80人が辞めていくような時期があったのです。

そんな状況を立て直す原動力となったのが「真摯さ」でした。

組織崩壊の最中、面接に来てくれた人たちに対して「組織崩壊しています」という現実を包み隠すことなく正直に、「真摯さ」を持って伝えました。良いことよりもむしろ悪いことを強調するくらい、ありのままにお話したのです。

その「真摯さ」があったからこそ、そのタイミングで入社を決めてくれた人は覚悟を持って逃げずに会社に向き合ってくれました。そしてその後のV字回復を支えてくれたのです。

あの時、私が嘘を伝えていたら組織崩壊は止まらなかったでしょう。良いことも悪いことも「真摯さ」を持ってオープンに伝えるというのは、会社が上場した今も変わらない、私の経営者としてのモットーです。

 

ーー3つめの「諦めない心」についてもお聞かせください。

成功者はみんな口を揃えて「諦めなければ、成功する」と言いますよね。

私もここまでの道のりを振り返ると、諦めたくなるポイントが何度もありました。しかしその現実や失敗から目をそらさず、逃げなかったからこそ今があります。

私の経営者人生を振り返ると、私を最も成長させたのは間違いなく先ほどお話した「組織崩壊」の時でした。あの時に諦めずに逃げなかった経験が、自分にとって何よりの財産になっています。

 

ーー土屋さんが苦しい状況も諦めずに乗り越えられた原動力は何でしょうか?

これは人によると思いますが、私の場合はまずは家族の存在が大きかったですね。辛いことがあっても家に帰って妻と子供と会うことで、一瞬でも仕事のことを頭の外に出すことができました。

そして、組織崩壊の中でも腹をくくって一緒に会社に残ってくれた仲間たち。彼らはまさに戦友ですし、本当に感謝しています。

苦しい時にも逃げずに支えてくれる人たちがいたからこそ、私も「諦めない心」でここまでやってこれたのだと思います。

 

 

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著者 伊藤紀行

著者 伊藤紀行

DIMENSION Business Broducer:早稲田大学政治経済学部卒業、グロービス経営大学院経営学修士課程(MBA, 英語)修了。楽天に勤務後、EdTechベンチャーの東京オフィス立ち上げに参画。法人向け事業の急成長に貢献。その後グロービスにて英語MBAプログラム Japan Accountのリーダーとして、個人向けマーケティングと事業開発を担当。現在DIでは国内のスタートアップへの投資・上場支援を行い、志高い起業家への経営支援を通じて日本経済の活性化に取り組む。週末を中心にビジネススクールで思考領域の講師も務める。

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