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急成長を成し遂げる方法“運はコントロールできるもの”グッドパッチ 土屋尚史社長(第3話)

「デザインの力を証明する」をミッションに掲げ、デジタルトランスフォーメーション(DX)に欠かせないUI/UXデザインのリーディングカンパニーとして存在感を高め続けている株式会社グッドパッチ。2020年には東証マザーズ上場も果たした。そんな同社を牽引する代表取締役社長/CEO 土屋尚史氏に、起業家にとって重要な素養、成長事業の創り方などについてDIMENSIONビジネスプロデューサーの伊藤紀行が聞いた(全5話)

「運」をコントロールする

ーーUIデザイン事業にフォーカスされた後、Gunosyの創業期のUIデザインを担当されるなど、一気に急成長されます。振り返ってみて、急成長の秘訣があればお聞かせください。

もちろん「運が良かった」とも言えるのですが、私は「行動量」と「出会い」を大切にすることで「運はコントロールできる」と思っています。

Gunosyの創業期のUIデザインを担当することになったきっかけも、サンフランシスコでの出会いでした。当時はまだ東京大学の学生だった関喜史さん(Gunosy 共同創業者)と、私が創業前にサンフランシスコで出会い、同じチームメンバーとして一週間寝泊りを共にしたのです。

実際にシリコンバレーに飛び込む「行動量」と、そこでの「出会い」を大切にしていたからこそ、その後彼がGunosyを創業した際にすぐに相談される「運」を掴むことができたわけです。

 

ーーGunosyのデザインを無償で手伝われたと創業ストーリー(https://goodpatch.com/design/story)でも書かれていますね。

すごくサービスに可能性を感じたもののデザインが酷かった(笑)。大学生からお金を取るわけにはいきませんから、我々も決して資金が潤沢では無いタイミングではありましたが無償で手伝うことを決めました。

この意思決定ができた要因を紐解くと、まず創業初期のGunosyに対して可能性を感じることのできる目を養えていたこと。そして自分たちが出せるリスクの範囲内でまず先に「Give」したこと。無償で手伝うからには本気でGunosyを成功させないといけませんから、我々も本気で「Give」しました。

この「無償で手伝う」という意思決定は決して運任せだけではできない、重要な意思決定だったように思います。

 

 

ーーまるで投資のような感覚で意思決定されたのですね。

起業家にとって重要な3つの素養に加えても良いくらい重要なのが「長期で物事を見る」ということです。おっしゃる通り、まさにスタートアップ投資に似ている感覚だと思います。

今となってはGunosyのデザインを無償で手伝ったことを美談として語れますけれど、もちろんGunosyが成功しなかった可能性だって大いにありえたわけです。もしそうなっていたとしても、私は後悔しなかったでしょう。

まずは成功確率が高い会社を見極めること。そして我々がデザイン面で関わることでさらにその成功確率を高めること。この「長期視点での見極め力」がグッドパッチの本質的な価値源泉です。

多方面のインプットを欠かすことなく「本質を見極める力」を養い、短期的な損得だけで判断するのではなく「長期で物事を見る」。

我々の急成長は一見すると運が良いだけのように見えるかもしれませんが、私は「運をコントロール」したのだと思っています。

 

受注単価に対する「使命感」

ーースタートアップでは安価な価格で仕事を受けるものの、なかなか単価を上げられずに苦労する会社も多いです。その点はいかがお考えでしょうか?

まず前提として「単価を上げる」ことに関しては、創業時から強い使命感を持っていました。なぜならば日本においてデザインが適正単価で扱われていないと考えているからです。

日本のデザイン会社が適正単価で仕事をしないことでマーケット全体の価値が下がり、デザイナーの市場価値が下がり、デザイナーの平均年収が低くなる。こんな負のサイクルが働くマーケットでは、決して優秀な人材は入ってきてくれません。

なので、デザイナーの価値を上げるために「業界単価基準を引き上げる」ことはグッドパッチのミッションの一つだと思っています。

特にUI/UX領域では我々がマーケットリーダーとして一番価格交渉力を持っているので、我々が安易な値下げをすることは絶対にやってはいけないという、一種の使命感を持って仕事をしています。

その前提があった上で、実際に単価を高めるためにはいくつかの必要要素があります。

一つ目はマーケット自体が拡大してサービスに対するニーズが増えること。当然ながら価格は需要と供給のバランスで決まるので、需要に対して供給が追いついていないマーケットでは価格が上がっていきます。

我々のメインサービスであるUI/UXデザインも、スタートアップの資金調達環境が圧倒的に良くなったことでデザインに対する投資が増えたり、大企業も続々とUIデザインに投資をするようになったりしたことで、需要に対して供給が全く追いついていない状況です。

二つ目の要素が仕事のクオリティ。顧客の期待値を超えるアウトプットを出し続けないと、いくらマーケットニーズが大きくなっても、いつかバブルのように顧客は離れていきます。

グッドパッチと同時期に創業したUI/UXデザインの会社はいくつもありましたが、その中でグッドパッチだけがこれだけ大きくなれたのはやはり、アウトプットの質を高め続けることができたからでしょう。

需要が伸びている市場で最高のパフォーマンスを出し続ける。

極めてシンプルですが、これが「単価を上げる」上で欠かせないポイントなのだと思います。

 

 

 

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著者 伊藤紀行

著者 伊藤紀行

DIMENSION Business Broducer:早稲田大学政治経済学部卒業、グロービス経営大学院経営学修士課程(MBA, 英語)修了。楽天に勤務後、EdTechベンチャーの東京オフィス立ち上げに参画。法人向け事業の急成長に貢献。その後グロービスにて英語MBAプログラム Japan Accountのリーダーとして、個人向けマーケティングと事業開発を担当。現在DIでは国内のスタートアップへの投資・上場支援を行い、志高い起業家への経営支援を通じて日本経済の活性化に取り組む。週末を中心にビジネススクールで思考領域の講師も務める。

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