SHIFT 丹下大社長が語る、成功する起業家に共通する3つの素養(第1話)

「無駄をなくしたスマートな社会の実現」を目指し、あらゆる領域の企業に対してソフトウェアの品質保証・テストを提供する株式会社SHIFT。2019年度「証券アナリストによるディスクロージャー優良企業選定」において新興市場部門第1位の優良企業に選出されるなど、投資のプロからも注目を集める急成長企業だ。そんな同社を牽引する丹下大 代表取締役社長に、起業家にとって重要な素養、成長事業の創り方などについて聞いた(全5話)

幼少期に芽生えた「父性本能」

ーー丹下さんが考える、起業家にとって重要な素養を3つ挙げるとするとなんでしょうか?

まずは「商売センス」。2つめは「人を魅了する力」。3つめが「原体験」です。

 

丹下大/1974年生まれ 2000年京都大学大学院工学研究科機械物理工学修了後、株式会社インクス(現 SOLIZE株式会社)に入社。たった3名のコンサルティング部門を、5年で売上50億、140人のコンサルティング部隊に成長させ、コンサルティング部門を牽引。2005年9月、コンサルティング部門マネージャーを経て、株式会社SHIFTを設立。代表取締役に就任。2014年11月に東証マザーズ上場、2019年10月に東証1部市場変更。

 

ーーそれらが重要だと思われた理由をお聞かせください。

私の場合、幼少期の「原体験」が人格に刻まれているからこそ、今の経営者としての自分があると思っています。なのでまずは「原体験」が起業家に与える影響がいかに大きいかを、私の例をもとにお話しましょう。

最初の「原体験」は私が保育園の頃のことです。砂場で砂をかけてきた同級生の子を「やめろよ」と、とっさに押し倒してしまったことがありました。そうしたらその子が大きくコケてしまったんです。

その体験をきっかけに「人に暴力を加えたり、いじめたりするのはダメ」と気づきました。

今度は小学1年生の時のことです。友達同士でプレゼントを持ち寄る会があったのですが、誰でも手に入るものはつまらないと思い、母の読む雑誌に載っているような豪邸の展開図を画用紙で作って持って行きました。そうしたら、友人が持ってきたどのおもちゃよりも「これが欲しい!」とみんな言ってくれたんです。

それがきっかけで「人を驚かせる」ことの重要性を学びました。

最後は小学3年生の時のこと。私が自分の誕生日会を企画し、両親に友達の前で出し物をしてほしいと頼みました。そしたらうちの両親は「8時だョ!全員集合」のヒゲダンスをやってくれて、友達に大ウケしたんです(笑)。

そこで「人を喜ばせるのは楽しい」と素直に思いました。

これらの「人に危害を加えない」「人を驚かせる」「人を喜ばせる」という意識は、今も私の人格を形成する根幹となっています。

 

ーー「起業家・経営者」としての人格が形成されるきっかけとなった「原体験」は何かございますか?

私が経営者として「父性本能」に芽生えたのも小学6年の頃の原体験がきっかけです。思春期の兄が荒れていた時期があり、「僕が両親を守らないと」と父性本能が芽生えました。

それからは出会う全ての人が年上であろうとも「自分の子供」に見えるようになりました。SHIFTの社員も私には子供に見えていて、社員の子供は孫に見えています。今の時代には珍しく、社員を多く抱える必要のある事業を選んでいるのも、私の「父性本能」が根幹にあります。

私の幼少期の「原体験」が人格に刻まれているからこそ、今のSHIFTがあるといっても過言ではありません。

 

起業すべきタイミングを見極めよ

ーー「商売センス」についてはいかがでしょうか?

商売は、飯が食えないと意味がありません。

私は20代の若者が安易に起業するのは反対です。なぜなら、ほとんどの20代には商売の経験が無いからです。アメリカでも実は40代以上で起業する人が多く、VCからの資金も40代以上の起業家にしか集まらない傾向があります。

ではなぜそんな状況下で20代で起業する人がいるのか?それは、マーク・ザッカーバーグのような「1000人に1人」レベルの天才起業家が稀に存在し、toC向けサービスで世界を席巻するからです。大ヒットするtoC向けサービスの多くは、若い20代の原体験や感性から生まれるものです。

しかし当然ながら、toC向けサービスでの起業成功確率は極めて低いのが事実です。成功確率を高めるには「商売センス」を磨き、適切なタイミングで起業すべきでしょう。

 

ーー丹下さんは30歳の時に起業されていますね。

私も30歳で起業した当初はtoC向けサービスからスタートしました。

「商売センス」には自信があったのですが、私が20代にtoB向けサービスの会社で働いていたせいもあって、toC向けに造詣のある「仲間」が集められなかった。

これは起業家の素養として挙げた「人を魅了する力」にも通じますが、toC向けで起業するならば、20代はtoC向けサービスの企業で働いて人脈と知見を得るべきだったし、20代で起業すべきでした。

結果的に私は34歳の頃にtoB向けサービスにピボットし、商売としても、仲間集めにおいても最も得意なことを生かせる領域として「ソフトウェアテスト」事業にフォーカスしたことで急成長してくることができました。

自分の「商売センス」が発揮できるタイミング、市場で起業すること。この見極めは起業家にとって重要な分岐点だと思います。

 

 

>第2話「誰でも圧倒的「論理的思考力」が身に付けられる処方箋」に続く

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著者 伊藤紀行

著者 伊藤紀行

DIMENSION Business Producer:早稲田大学政治経済学部卒業、グロービス経営大学院経営学修士課程(MBA, 英語)修了。 株式会社ドリームインキュベータからDIMENSIONファンドMBOに参画、国内のスタートアップへの投資・分析、上場に向けた経営支援等に従事。主な出資支援先はカバー、スローガン、BABY JOB、バイオフィリア、RiceWine、SISI、400F、グローバ、Brandit、他 全十数社。 ビジネススクールにて、「ベンチャー戦略プラン二ング」「ビジネス・アナリティクス」等も担当。 著書に、「スタートアップ―起業の実践論 ~ベンチャーキャピタリストが紐解く 成功の原則」

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