「社内起業家」を憧れに。そして日本経済を元気にする アルファドライブ 麻生要一社長(第5話)

リクルートで社内事業開発プログラム「Recruit Ventures」や、スタートアップ支援プログラム「TECH LAB PAAK」などの新規事業を次々と立ち上げてきた麻生要一氏。2018年に起業し、企業内新規事業を支援するアルファドライブ立ち上げた。そんな同氏が考える起業家、そして社内起業家(イントラプレナー)に求められる素養とは?(全5話)

サラリーマンの心に火をつける

ーーアルファドライブが目指す世界についてお聞かせください。

企業内新規事業を立ち上げる社内起業家・イントラプレナーという職業が憧れになる社会を作りたいと思っています。企業内新規事業の活性化こそが日本経済、そして日本企業で働くサラリーマンにとっての活路だと信じているからです。

しかしながら、起業家はスポットライトを浴びるのに、社内起業家は表舞台に立つ機会がほとんどありません。ゆえに憧れる人も少ないのです。

もっと企業内新規事業を活性化して、社内起業家がスポットライトを浴びる仕組みをつくり、社内起業家という職業が憧れになる社会を作っていくのがアルファドライブのチャレンジです。

企業内新規事業の支援に加えて「incubation inside」というメディアを立ち上げたのですが、それも社内起業家という存在を世の中に知らしめるための取り組みです。

 

ーーなぜそこまで企業内新規事業にこだわるのでしょうか?

日本経済のためには企業内新規事業こそが重要だと考えて創業しましたが、その背景にはアメリカと日本の雇用制度や社会構造の違いがあります。

アメリカはいつ何時リストラがあるかわからない雇用形態ゆえに、優秀な人ほど起業しようというインセンティブが働きます。一方で日本のサラリーマンは基本的に終身雇用なので、優秀な人も大企業の中に居続けることが多いのです。

なのでイノベーションの起こし方も日本とアメリカでは正解が異なるはずだと考えています。

日本は大企業が大企業のままパワーを持ち続ける国です。起業家が起こすイノベーションだけでは影響範囲は限定的で、大企業こそがイノベイティブにならないと日本経済は活性化しません。これは長年、私が大企業とスタートアップ、両面に深く携わってきたからこそ辿り着いた答えです。

だから「企業内新規事業」によって大企業の中にいる優秀な人たちに火をつけて、サラリーマンたちの手によってイノベーションが次々と生まれる国を作りたいと考えています。

 

「顧客」が起業家を起業家たらしめる

ーー麻生さんはアルファドライブの経営者以外にも様々な活動されています。起業家として掛け持ちは大変なのではないでしょうか?

よく複数掛け持ちは大変そうと言われるのですが、私がやっていることは一つ。それは「新規事業開発」です。ですので、兼業や副業をしている意識はなくて、新規事業開発のプロフェッショナルとして様々な案件をやっている感覚です。

戦略コンサルタントも広告営業マンもいくつもプロジェクトを掛け持ちますよね。会社の中か外か、という違いはあれど、私もそれと変わりません。

また業界にまたがって新しい化学反応を生み出す「新規事業開発」のプロとしては、様々な領域の顔を持ち合わせていた方が新規事業を起こしやすいという面もあります。

例えば私はスタートアップ企業の経営者にお会いした時に、出資してくださいという起業家としての話もできれば、投資・提携の提案をする投資家としての話もできます。一つの物事や出会いに対して、いろんなカードを持つことができるのです。

どんな仕事の人も掛け持ちをした方がいいというわけではなく、私が「新規事業開発」のプロであるからこそ、様々な顔を持つことが効果を発揮していると思います。

 

ーー最後にベンチャーナビの読者である起業家、起業家予備軍のみなさんにメッセージをお願いいたします。

私が思う起業家に大切な要素3つは、「顧客起点」「原体験」「ユニークさ」の3つです。

起業家・経営者をしていると日々大変なことがたくさんあると思うのですが、起業家を起業家たらしめてくれる唯一の存在は「顧客」だと思っています。

私も大変なことがあったときに一番やっているのはお客様のところに行き、お客様に対してどうやったら価値が返せるのか、自分の会社とお客様の接点について会話するようにしています。そうすると心も健康になりますし、自分たちがなぜこの世界に存在しているのかということも改めて実感できたりすると思います。

いろんな大変なことがあると思いますが、お客様のところに通って、顧客に対して価値を返す活動を通して、一緒にこの世界をより良いものにしていきましょう。

 

■読者のみなさんへのメッセージ

 

 

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著者 伊藤紀行

著者 伊藤紀行

DIMENSION Business Producer:早稲田大学政治経済学部卒業、グロービス経営大学院経営学修士課程(MBA, 英語)修了。 株式会社ドリームインキュベータからDIMENSIONファンドMBOに参画、国内のスタートアップへの投資・分析、上場に向けた経営支援等に従事。主な出資支援先はカバー、スローガン、BABY JOB、バイオフィリア、RiceWine、SISI、400F、グローバ、Brandit、他 全十数社。 ビジネススクールにて、「ベンチャー戦略プラン二ング」「ビジネス・アナリティクス」等も担当。 著書に、「スタートアップ―起業の実践論 ~ベンチャーキャピタリストが紐解く 成功の原則」

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