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『mixi』『家族アルバム みてね』 『モンスターストライク』など数多くのサービスを提供する株式会社MIXI。同社取締役ファウンダー 上級執行役員 笠原 健治氏に起業家の素養、事業拡大のポイントなどについてDIMENSIONビジネスプロデューサーの家弓 昌也が聞いた。(全4話)
創業時はコアメンバーでやりきる覚悟を
ーー多くの起業家が創業初期の人の集め方や組織づくりに悩んでいると思います。笠原さんは東大の在学中にプログラミングを独学されてお一人で事業をはじめられておりますけれども、創業初期のメンバーを集めるにあたって意識されたことはございますか。
私の場合いい人たちに恵まれて、運良く順調に拡大していけた気がします。
インターネットの黎明期でもあったので、そういう時期に興味を持って飛び込んでくる人や、私自身も大学生だったので、同じ年代の人が興味を持ってきてくれることが多くありました。
初期に採用した方は将来幹部になっていく可能性が高い人達でもありますし、社風などもそういう人たちが作っていくと思うので、一人一人慎重に大事に採用していく必要があります。
我々の場合は若くてネットに興味があって「アンテナの高い」母集団を形成できた、というのはよかったなと思っています。
一方で、採用ってうまくいかないことも多いですよね。
その人が元々持ってる能力が高くてもうまく組織とマッチしないとか、その組織の事業の状況にマッチしないとかでお互いうまく調和できなかったり、あるいはその人本来の力が発揮しきれないということもあると思います。
慎重になりつつも、最後はあまり期待しすぎないことが大事だと思います。
過度な期待はせず、最悪フィットしなくても何とか自分達でやりきるんだっていう覚悟も持ちながら採用していくぐらいが創業期は温度感としてちょうどいいんじゃないかと思いますね。
ーー採用時は、思想とスキルフィット、どういったバランスでご判断されているんでしょうか。
私はバランスだと思ってるので、両方のパターンで採っています。
極端に思想重視の人や会社もあると思いますけれど、それだけだとちょっと弱い気もしていて。優秀で尖った人っていうのも入ってていいんじゃないかなと思います。
初期の頃って思うようなメンバーが集まらないことが多いと思いますが、自分もしくはコアのメンバーで最後はやりきるという覚悟を持ち、他のメンバーにはある程度の多様性を持たせてバランスをとるのが大切です。
会社の”秘伝のタレ”を言語化し、伝播させていく
ーー1997年の創業から2006年の上場後も長期にわたって組織を率いてこられました。当時を振り返って成長していく事業に合わせて押さえておくべき組織構築のポイントはございますでしょうか。
振り返った場合もそうですし、今現在も組織拡大しているという意味では、似たような課題があるような気がします。
まず一つ言えることとしては言語化していくこと。
それまで阿吽の呼吸で5人10人ぐらいのチームでやっていたことを、急激に社員が増え組織を一つに束ねていかなければならない中においては、その暗黙知を形式知化していく必要があります。そのプロセスにおいて言語化していくっていうのが欠かせないなと思ってます。
「どういう意図でやっているのか / やってないのか」を一旦言語化してみる。
それが間違ってることもあると思うんですけど、そこはまた議論して直していけばいいので、まずは言語化することが大切です。
MIXIの場合、PURPOSE・MISSION・MIXI WAY・VALUESというものを用意しているんですけれども、そういうものって人材採用していく上での指針にもなりますし、中にいるメンバーがどういった価値観でやっていくべきなのかという指針にもなっています。
何事も極力言語化しつつ、組織が迷わないようにしていくことが大事だと思います。
ーー言語化したものを共有、浸透させていくための工夫などはございますか。
ドキュメントが多すぎて逆によく分からないってこともあると思うので、何でもかんでもドキュメント化されていればいい、というわけではないと思っています。
そこで大切なのが自分の言葉で言語化できるリーダー層をしっかり育てていくこと。
最初はあまり組織階層がない状態だと思うんですけれど、トップではない、現場のリーダーたちがしっかりオンボーディングに責任を持った状態で、エモーショナルな部分も含めてメンバーに伝えられるようにすること。
そういった「会社の秘伝のタレ」みたいな部分を一生懸命言語化する工夫が大切だと思います。
ーー一定規模に到達すると組織として成長・変化できなくなる企業が多いと思うのですが、御社が他社と違う点はどこにあるのでしょうか。
事業を作れる人を継続的に育てられるか、もしくはその人に入ってきてもらえるかの違いだと思います。
現CEOの木村は事業も作れて経営にも興味があるタイプだったので、非常に社長としても力を発揮していると思っていますが、そもそもすごい事業を作れる人っていうのはたくさんはいないと思っていまして、そういう人を会社として仲間にし続けられるかどうか。
これは結構難しいポイントで弊社も課題だと思っていますが、事業をしっかり作れる人に新しい事業を作っていってもらう。これを会社全体で取り組んでいくことを大切にしています。
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家弓 昌也
名古屋大学大学院航空宇宙工学修了。三菱重工の総合研究所にて、大型ガスタービンエンジンの研究開発に従事。数億円規模の国家研究プロジェクトを複数リードした後、新機種のタービン翼設計を担当。並行して、社内の新規事業創出ワーキンググループに参加し、事業化に向けた研究の立ち上げを経験。 2022年、DIMENSIONにビジネスプロデューサーとして参画。趣味は、国内/海外旅行、漫画、お笑い、サーフィン。
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