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「Beautyの世界をアップデートしながら、多くの人を幸せにしよう」というミッションを掲げ、リアル店舗「@cosme STORE」やECサイト「@cosme SHOPPING」等、ビューティ領域でネットとリアルを効果的に組み合わせた垂直型の事業を展開する株式会社アイスタイル。同社代表取締役会長 CEO 吉松 徹郎氏に、起業家の素養や、大手企業との提携時の心構えなどについてDIMENSIONビジネスプロデューサーの巻口 賢司が聞いた。(全4話)
第1話 『@cosme』を運営する株式会社アイスタイル。吉松 徹郎代表取締役会長 CEOが「起業家に必要な3つの素養」を語る(第1話)
第2話 「いつでも社長を辞める覚悟がある。」猛反対の中、リアル店舗進出を実施した理由とは / 株式会社アイスタイル 吉松 徹郎代表取締役会長 CEO(第2話)
第3話 「チームの状況に応じて自分の役割が変わる、“逆三角形”のチーム作り。」株式会社アイスタイル 吉松 徹郎代表取締役会長 CEO(第3話)
第4話 「今の延長線上に未来はない。世の中の変化を徹底的に考え抜いていく。」『@cosme』運営 株式会社アイスタイル / 吉松 徹郎代表取締役会長 CEO(第4話)
ーーこれまで、バブル崩壊、事業成長期における創業メンバーの離脱、意識の変化、重要ポジションの変更など、数々の困難があったかと思います。そういった壁をどのように乗り越えたのか、具体的なエピソードをお聞かせいただけますか。
これから起業する人にとっても、すでに起業している人にとっても、最大の悩みは「社長を辞めるかどうか」だと思うんです。それ以上でもそれ以下でもないような気がしています。
会社が大きくなって100人を超えると、自分だけではコントロールできなくなってきます。会社のリスクも自分だけのものではなくなり、社長を降りることやM&Aを検討する考えが出てきます。
この悩みに対する私の判断基準は、「自分が本当にやり切った」と心の底から思えるかどうかだけです。
10年後に振り返った時に、やり切れていない何かが残るのなら、私は石にかじりついてでもやり切るべきだと思っています。
もし周りが離れていってしまったとすれば、それは自分がまだ人として、経営者として未熟だったからかもしれません。それを学びとして、次は違うやり方で進んでいけばいいと思います。
私が辞めないと決めたのは、最初に描いたビジョンと実現したいビジネスモデルがあったからです。それは常にアップデートされ続けていて、追いかけても追いかけても到達できない先にあります。
ですから、そこに向かって走り続けているという感じですね。
ーー起業家の方々は、様々な外部要因や魅力的なオファー、時には苦しい状況など、多くの理由で事業から退くという決断をすることもあると思います。吉松さんは上場後も事業に深く関わり続けていらっしゃいますが、その中で意識されていることを教えてください。
今後の話にも繋がりますが、環境は常に変化しています。
例えば、「@cosme」で私が社長から会長になってどうかとよく聞かれますが、環境が変わったからこそ、次の一手を考えているんです。
今はAI時代になってきていて、「@cosme」でも口コミがAIで書かれるようになるでしょう。10年後には、SEOではなくAIオプティマイゼーションの時代になっているでしょう。
そうなると、ウェブサイトの在り方が変わってきます。ページビューやユニークユーザー数も関係なくなってきます。
現在の今の「@cosme」のような、ページビューとユニークユーザー数をベースにしたメディアビジネスの根底が揺らぐことになります。
このビジネスが将来なくなるという前提で、アイスタイルと「@cosme」を10年後も生かすにはどうすべきかを常に考えています。
以前も、eコマースではAmazonが参入し、Yahoo!が莫大な投資をしている中で、私たちのような小さな会社がどうやってカテゴリートップを維持するかを考えました。
環境が変化する中で、自分のビジネスを大きくすることよりも、5年後、10年後、15年後に自分のビジネスが生き残れるかという視点で常に考えています。
皆さんよく展望や自分の成長を語りますが、私たちは外部環境に挑戦し続ける不思議な会社だと思っています。
画像や動画に移行せずテキストでの発信を続け、コミュニティではなくソーシャルですし、ECではなくリアル店舗ですし、私たちは常に「逆張り」と言われてきました。
しかし、それは逆張りではなく、ユーザーの行動の変化に対して、どう繋がっていくかというコアの部分だけを考え続けてきた結果なんです。
だから5年後、10年後もまた大きく変わっていくと思います。
当時、ウェブサイトからアプリへの移行期に、私たちがウェブにこだわって全てを見直したのも、今から見れば正しい判断でした。今また時代は変わりつつあります。
多くが起業するタイミングの環境で「今この事業は成功する」と考えます。
例えば数年前なら、DAOやビットコインなど、新しい通貨の時代が来ると多くが考えていたことでしょう。それは間違っていなかったかもしれませんが、その事業だけでなく、変化の先に何を繋げていくかが重要なのです。
ーー今後挑戦していきたいこと、その思いに至った経緯について、改めてお聞かせください。
会社を始めた時には、スマートフォンも今のようなAIも存在していませんでした。私が常に意識しているのは、10年後、15年後の自社のイメージと組織図です。
事業の観点だけではなく、どのような組織や会社になっているのか、それを実現するために何をすべきか、そのために自分自身がどう変わっていくべきか。これらは全て繋がっています。
社内でもよく言っているのですが、今の延長線上に未来はありません。未来からバックデートして、今日から何をすべきかを考え、必要に応じて変えていけばいいのです。
多くの人が「もうテキストではなく動画だ」とか「WEBではなくアプリだ」と言ったとしても、簡単にトレンドに乗ればいいという訳ではありません。
それは単に新しい技術が出てきただけです。トレンドを認識した上で、世の中がどう変わっていくのかを徹底的に考え抜くことが重要です。
私が他の人に負けない唯一のことは、化粧品業界、ビューティー業界について考え抜いている量です。そこには絶対的な自信があります。
そういった自分の拠り所があれば、これから先の挑戦にも繋がっていきますし、前に進むための原動力になると思います。
ーー技術の発展とともに様々なエコシステムが変化する中で、ビジネスモデルを大きく変えなければならないとき、私なら不安を感じ、ピボットの必要性を考えてしまうかもしれません。
よくみんなピボットと言いますが、ピボットしているだけでは一歩も進んでいません。
その場でクルクル回るのではなく、一歩前に進まなければなりません。
進んだらまた変化が訪れるでしょうが、それでいいのです。やはり前に進むことが大切だと私は思います。
化粧品業界の市場規模は、この30年間ほとんど変わっていません。
そして、私たちは化粧品業界の中で、最もテクノロジーを理解し、ユーザーと密接に関わっている存在です。この強みをしっかりと活かしていかなければなりません。
私たちはこれからも、ユーザー視点で未来を見据え、マーケットの在り方そのものをデザインしていきます。
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