”未来の子どもたちがエネルギーの制約にとらわれずに過ごせるように”──電力・再エネ業界の今後と会社の展望 / デジタルグリッド株式会社 豊田 祐介社長(第4話)

「エネルギーの民主化を実現する」というミッションを掲げ、東京大学研究室から誕生したデジタルグリッド技術の普及に向けて、電気を使う企業が主体的に電力を調達する取引プラットフォームを提供するデジタルグリッド株式会社。2025年4月に東証グロース市場に上場した同社 代表取締役社長 豊田 祐介氏に、経営者に必要な素養や、電力業界及び再生可能エネルギーの今後について、DIMENSIONビジネスプロデューサーの古家 広大が聞いた。(全4話)

再生可能エネルギーは「地球が存続する限り使えるエネルギー」

ーー電力業界及び再生可能エネルギーは、技術革新や政策的後押しにより現在転換期であると感じます。業界が今後どのように進化していくのか、考えをお聞かせください。

電力業界は現在も進化の途上です。

10〜20年前は、電力会社が色々な発電所を持ち、上流から下流に一方向に流す形が主流でした。

発電所は、燃料を貯蔵しやすいように港の脇に作りますよね。

日本は発電所を一つに集中し、その代わりに送電線を増強するような形をとっています。血管のように日本中に沢山の送電線を張り巡らせて、血管に頑張ってもらうようなイメージです。

しかし、これは人口動態など様々な理由から、明確にワークしなくなっていきます。

人口が減った限界集落でも、部分的に電気が必要な人たちがいる。だからこそ、送電線が無くても電気を届けられる代替案が必要です。

他にも、火力発電から少しずつ別の電源へ移していかなくてはならないという話も出てきています。

つまり、エネルギーの分散化と脱炭素化がポイントです。

そこで、限界集落に発電できるものがあれば――例えばおばあちゃんの家の上に屋根と蓄電池があれば、送電線が通っていなくても電気を使うことができます。

実際に、新築で住宅を購入した時に、今では当たり前のように補助金が出ますし、太陽光パネルや蓄電池をつけておこうという話が出るように変化してきました。

このようにエネルギーの分散化が着実に進んでいる中で、次に出てくる問題は、どうやら太陽光発電ばかり増えても状況はかなり厳しいということ。

太陽光発電というのは、日中しか発電することが出来ず、雨が降ったら発電が出来ないんですよね。まさに晴耕雨読の生活になってしまいます。(笑)

そこで、雨天のバックアップとなる電源や、蓄電池をはじめアンモニアなど新しい資源を使ってエネルギー調整をしていくことが非常に重要になってきています。

それが可能になれば、間違いなく少しずつエネルギーの自給率が上がっていく。

更に、私が再生可能エネルギーで好きな点は、「地球が存続する限り永遠に使用できるエネルギーだ」という点です。

反対に、化石燃料には三つの特徴があります。

一つ目は使用したら失ってしまうこと。

無くなるものは希少価値が上がるため、どうしても「電気を点けたままにしない」といった節約の発想に繋がってしまいます。

二つ目は地理的な資源の有利不利が明確であること。

「日本はヨウ素が多く採取できるため、ペロブスカイトなどを活用した太陽電池を始めよう」という話があります。

しかし、そういった何周も研究開発をしないと思いつかない資源しかない国と、石油や石炭が豊富な国、つまり非資源国と資源国には明らかな有利不利があり、そういった現状は少しアンフェアと感じています。

三つ目は、CO2の点から永続的には使えないものだということ。

化石燃料エネルギーを再生可能エネルギーに変えることで、ジャブジャブとエネルギーが使用でき、かつ生み出すために必要なコストが非常に安くなる。

「サウジアラビアで油田を掘ったらエネルギーが湧く」ように、「日本で日の光を見るとエネルギーが飛び出る」ようなことを各国で実現することで、エネルギーによって戦争が起こらない社会に向かえるのではないかと期待しています。

 

ーー今描かれている未来をどのような方と一緒に作っていきたいか、お伺いできますでしょうか。

弊社には、「Be on the edge 『エッジに立とう』」「Far together『遠くへ、ともに』」「Stay gold『青春をあきらめない』」という3つのバリューがあります。

まずは「Be on the edge」、自分自身が矢表に立ち、その世界での第一人者になるんだという意味です。

私たちは、今まで無かったことをやっていかなければなりません。

今はまだ小さな風船を少しずつ膨らませていって、世界に向かっていかなければならない時に、小さな風船の中に閉じこもるのではなく、自ら風船を広げられる方と一緒に働きたいと思っています。

二つ目の「Far together」は、自分一人でできることは限られているので、みんなで一緒に作っていこうという意味です。

三つ目の「Stay gold」は、仕事をする上ではドライバーズシートに座っていてほしいということ。

小さい頃はなんとなく自分が主人公だと思っていたし、先生やお母さんに叱られても素直に聞けていたと思うのです。

つまり、自分が主人公として活躍し、「違う」と言われたことについては固執せずにアンラーンができていた。

ワクワクしてドライバーズシートに座り、別の意見が出た時には「そっか、でもその意見も面白いね」と方向を変えながら進んでいって、とにかく回転が速い状態。

それが「青春をあきらめない」という行動指針に込めた想いですし、ここに共感していただける方と是非ご一緒したいと考えています。

 

ーーありがとうございます。加えて、エネルギー業界のアップデートに向けて、どんなパートナーを求めていらっしゃるでしょうか。

エネルギー問題をアップデートすることは、一朝一夕には実現しません。

目先のことに囚われず、「本当の意味で世の中が前に進むためにはどうすれば良いのか」という中長期的な視野を持って、一緒に歩んで下さる方々と共に仕事をさせていただきたいと考えています。

電気は、どこから買っても手に入るものは変わりません。だからこそ、「その瞬間一番安い電気を買う」という発想になりやすい。

しかし、もし「その瞬間一番安い電気を買う」ことが将来に向けた芽を摘んでしまうことになる場合は、一歩立ち止まって考えていただきたいと思います。未来を見据えて、将来に向けた投資をする姿勢を持っている方とご一緒できたら幸いです。

 

「エネルギー問題を解決し、イノベーションの源泉を生み出したい」

ーー御社は「エネルギー制約のない世界を次世代につなぐ」というビジョンを持たれています。今後御社がどのような展望を描かれているか、想いや経緯と共にお聞かせください。

エネルギーをジャブジャブと湯水のように使うことができ、「エネルギーの制約により何かができない」ことがない世の中を作りたい。

シンプルに表現すると「エネルギー問題を解決したい」というのが我々が目指している未来です。

例えば、今後AIの普及が加速した際、エネルギーを際限なく使うことができれば様々なアイデアが出てくると思っています。

インターネットの歴史を考えると、昔はメールを送信することすら大変で、音声のダウンロードはもっての外。画像も途中で切れてしまう時代がありました。

しかし、半導体のクオリティが飛躍的に上がり、通信速度や演算速度が上がり、今では速度の制限を受けずに自由にアプリケーションが使えるようになっています。

現在、エネルギーにおいてはまだまだ多くの制約があります。この制約に変革を起こし、イノベーションを生み出す源泉を早急に作りたいと考えています。

私は二十歳の頃に阿部先生に見せていただいたスライドが今でも心に残っています。「再生可能エネルギーのポテンシャル発電量は、世界で使用されているエネルギ-の約200倍である」。

このポテンシャルの実現に向けて、今後もチャレンジを続けていきます。

 

 

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古家 広大

古家 広大

早稲田大学卒業後、三井住友信託銀行に入行。 広島にて個人向けFP業務を行った後、大阪にて法人RMを経験。非上場からプライム市場の企業まで担当し、融資や不動産など信託銀行の幅広いソリューション営業に従事。また、ESGやSDGsをはじめ、CGC改訂への対応支援も行い、グローバルで勝ち続ける企業への成長を非財務領域も含めてサポート。 2022年DIMENSIONに参画。LP出資者からの資金調達と国内スタートアップへの出資・上場に向けた経営支援を担う。

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