#インタビュー
2016年4月にシンガポールで設立された広告テクノロジー会社・AnyMind Group。同社は、シリーズAラウンドで1200万ドルの資金を調達した後、設立後1年でタイやインドネシア、そして日本にまで続々と拠点を広げている注目株のベンチャー企業。今回は、そんなグローバル若手起業家の雄、AnyMind Group CEOの十河宏輔氏に急成長のポイントなどを聞いた。(全6話)
「大風呂敷」の裏にある、緻密で手堅い経営
――十河さんは「本能タイプの経営者」というイメージを持たれていることも多いと思うのですが?
よく「感覚でうまくいっているんでしょ」と言われるんですが、実は我々ってめちゃくちゃ手堅くて、数字の管理もデータありきでKPIをしっかり持って進めています。大きなミスが起こらないよう、常に経営の分析をしっかりやっていますし、KPIを日時で把握できる仕組みも全社的に入れています。
ですから、実態としては感覚よりも現実主義と言えるかもしれません。
また、先ほど(第5話リンク)でもお話しした通り、他社研究も大好きなので、「何でこの会社はうまくいっているのか」「何でこの会社は失敗したのか」をいつも分析するようにしています。皆さんが想像している以上に知識は備わっているのではないでしょうか。(笑)
実際、好きな会社や興味のある会社は、時価総額から売上規模、どういうビジネスを手がけていてどうしてうまくいっているのかまで、全部頭に入っていますね。
――何だか意外ですね。(笑)
大きな夢を語るので勘違いされやすいのですが、地に足のついたビジネスをしっかりやりたいタイプなんですよね。人の期待値を上げることで多くの人を巻き込みつつも、現実は確実に捉えて、結果を出し続けていきたいと思っています。
自分への投資が、新しい世界を切り開く
――「十河さんは高い買い物をして自分を追い込むようにしている」という、とても同世代とは思えない噂をお聞きしました。(笑)
私、前職のマイクロアド時代に、2年間で3回引っ越しているんです。(笑)給料が上がる度に借りている部屋を出てより良い部屋に住む、という感じですね。
そういうのって、浪費ではなく自分への投資だし、大事だと思うんです。
お金の使い方を知らないと、「いいもの」が分からないので、自分の世界観があまり広がっていきません。例えば部屋の話だと、いいところに住んだことがあるからこそ、「これがいい」って判断できるようになるんですよね。
タワーマンションに住んだことのない人に「タワーマンションって微妙じゃない?」と言われても、全然説得力がない。実際に試しているから、根拠を持って堂々と言えるんです。
ですから、お金があったら美味しい店に行くとか、いい服を着るとか、旅行に出かけるとか、そういうことにすぐに使って、自分の経験に変えたらいいんじゃないかというのが私の持論です。
社員にも「とにかく自分に投資しろ」とよく言っています。
「うちの会社は結果を出せばどんどん稼げるから、その分どんどん使え」と。そうすればもっと稼ぎたいと思うでしょうし、見えない世界も見えるようになります。
ですから、仮に今持っているお金で叶えられるような目標や夢があるなら、それは今すぐやるべきですし、それによって広がる新しい世界を大切にしてほしいなと思います。
――最後に、このメディアの読者である起業を目指す若手や、ベンチャー経営者へのメッセージをお聞かせください。
正直、我々の世代(30歳前後)って全然目立っていないんですよね。
いまだに、10歳くらい上の世代の起業家が脚光を浴びていますし、ベンチャー企業といえば結局、楽天やソフトバンク、サイバーエージェントのイメージじゃないですか。
もちろん、若手起業家の会社でもうまくいっている会社はたくさんあるんですが、規模がとてつもなく大きいベンチャー企業というのはまだ出てきていません。
ですから、僕らのような若手世代が孫正義さんや三木谷浩史さん、藤田晋さん…そういう人達を早く越えていかなければいけないと思います。
私個人としても、そういう偉大な先人を越えられるよう志を高く持ってビジネスを進めています。最初からグローバルで展開して成功した日系ITベンチャーは過去にも無いのではないでしょうか。
そういうマインドセットを持つ同世代が増えれば凄くワクワクしますし、日本というマーケットも、もっと活性化するのではないでしょうか。
>第5話「目指すはアリババ、テンセント。AnyMind Groupの果てしない野望」に戻る
>AnyMind Group公式HPはこちら
著者 小縣 拓馬
起業家向けメディア「ベンチャーナビ」 編集長。玩具会社のタカラトミーを経てDIに参画。ビジネスプロデューサーとして、主に国内ベンチャーへの投資・事業支援・戦略立案を担当。 ~「More than Meets the Eye」 これは玩具会社時代に担当していたトランスフォーマーというシリーズの代表的なコピーです。見た目だけではわからない、物事の本質に焦点を当てること。そんな想いで記事を提供していきたいと思っています。~
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