「映像から未来をつくる」というビジョンを掲げ、家から街までをデータ化し、インフラとなるべく、あらゆる⼈やモノの意思決定に役に⽴つプラットフォームを目指すセーフィー株式会社。クラウドカメラ市場において圧倒的国内Topシェアを誇り、2021年に東証マザーズ(現:東証グロース)へIPOも果たした。同社代表取締役社長CEOである佐渡島 隆平氏に、事業戦略や組織づくり、将来展望などについてDIMENSIONビジネスプロデューサー黄がお伺いした。(全4話)
「他人資本」を使って事業を大きくする
ーー最初の質問です。起業家にとって重要な素養を3つ挙げるとすると何とお考えでしょうか?
1つめは「自分ごと化」。
2つめは「テクノロジー活用」。
3つめは「他人資本を使う」。
この3つがしっかりできることが、大きくスケールするスタートアップの条件だと考えています。

佐渡島 隆平/1979年生まれ
大学在籍時の1999年にDaigakunote.comを創業。その後、ソネット株式会社(現 ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)に入社し、数々のモバイルサービス事業立ち上げに参画。2010年にモーションポートレート株式会社に入社し、CMOとして従事したのち、2014年にセーフィー株式会社を創業。2021年には東証マザーズへIPOを果たす。2020年12月Forbes JAPAN日本の起業家ランキング2021 第1位。
1つめの「自分ごと化」について、私の場合は自分の家を建てたときに感じた「世の中の防犯カメラが高い割にはサービス・クオリティが良くない」という原体験からスタートしています。
初めのユーザーが自分自身なので、心から「自分ごと化」することできました。
逆に自分ごと化できていないような状態だと、他社に簡単に真似されてしまうような表面的な事業になりがちです。
自分の中に内発的動機がしっかりとある、というところはすごく大事だと思っています。
2つめの「テクノロジー活用」については、世界を客観的に見てみれば明らかです。
TOPIXやS&P500などの株価指数は、ビッグテックである企業に牽引されています。GAFAMやSpace X、NVIDIAを抜くと横ばいだとしても、彼らの圧倒的な成長に牽引されて伸び続けているのです。当然ながら株価だけでなく、それだけ社会を大きく変えている存在になっています。
ですので、テクノロジーを自ら活用して、社会に対して新しいインパクトある製品なりサービスを作っていかないと、大きくスケールするようなビジネスにはならないと考えています。
最後の3つめ、「他人資本を使う」ことも、客観的に見れば明らかです。
結局巨大なスタートアップというのは技術が良いだけでなく他人の資本をうまく取り入れています。いわゆる「テックレバー」と「ファイナンスレバー」を両方引けているからこそ、大きくスケールするのです。
そのために説明責任を果たし、みんなを仲間にして巻き込んで「他人資本を使う」というのが、非常に大事だと思います。
ーー「他人資本をうまく使う」という視点に関して、その着想に至った原体験などがおありでしょうか。
私は大学生の時にDaigakunote.comで起業しているのですが、当時、とある親戚のおじさんから「自分の資本で会社・プロダクトをやっていくのもいいけれど、もし社会で本当にインパクトを残すような人になりたければ人の金を使って儲けることを覚えなさい」と言われたんです。
関西人なので(笑)、いかにも商売人的な会話ですけれど、私はその言葉で大学卒業後に起業した会社をやめ、ソニーグループに就職することを決めました。
当時言われた言葉は、今スタートアップを経営し、IPOやその後の成長を描く過程で「こういう意味だったんだな」としみじみ思い返すことが多いです。
「自分ごと化」「テクノロジー活用」「他人資本を使う」。自分の原体験をふまえると、これらの3つが、起業家にとって重要な素養であると感じています。

「オセロの四隅」を描き、抑える
ーー「他人資本を使う」点において、御社はオリックス、関西電力、キヤノンマーケティングジャパンなど、大手事業会社から数十億円規模の資金調達をされています。非常に珍しいケースかと思うのですが、この際に特に意識されていたことがあればお聞かせください。
私たちはカメラの中にソフトウェアをインストールし、さらにクラウドのシステムを社会の現場に実装していく、という非常に複雑なビジネスを展開しています。ハードウェアの調達はもちろんのこと、在庫管理、システム作り、工事や保守に至るまで、全て自分たちで作り上げる必要があるので、当然ながら自分たちだけの力では難しい場面が多々あります。
資金調達を考える時に、お金だけの話であればもちろんベンチャーキャピタルから資金調達する手段もありました。
しかし我々は「映像から未来をつくる」というビジョン実現のために、創業初期から単独ではなく、互いのミッシングピースがちゃんとハマって共に世界にチャレンジできるようなNo.1の会社と一緒にやっていこうと決めていました。
我々はこれを「オセロの四隅」戦略として捉えています。
お客様がサービスを必要となった時に、誰から欲しいか、どのように届けるか、という全体像を描いて、必要な「オセロの四隅」を特定し、組んでいくのです。
例えばハードウェア。キヤノンMJはアクシスコミュニケーションズというカメラメーカーを約3,000億円をかけて買収していながら、クラウドのソフトウェアは自前では作っていない状態でした。明らかに互いのミッシングピースが合致していたのです。
他にも金融。オリックスさんは、ハードウェアを大量に流通させる際に必須であるファイナンスの仕組みをお持ちでした。
ーー関西電力さんなど、スタートアップ投資の実績が無い相手からの調達を実現されています。
そうですね、オリックスさん、キヤノンMJ さん、関西電力さん。いずれもほぼ投資実績ゼロでした。
でも、「ベンチャー出資を普段やっている会社だから出資してもらう」のは違いますよね。
例えば、関西電力さんは、私はお客様センターの人から繋いでもらって、最後は本社決済してもらって資金を出してもらっています。
キヤノンMJ さんも、我々がアクシスさんとの共同発表をした後に、実はキヤノンMJさんの経営企画の方が「ソニー系の会社とは組めない」という理由でお話にこられたんです。私はそれなのに「いや絶対一緒にやるべきだ」と言い返し、逆にその場で「1億円資金が足りないから出資して欲しい」とお願いして帰っていただいたんです。
起業家や社会の課題を変えたい人というのは、前例がないからこそ、それを実現するという覚悟を持ってないといけないと思います。
さらにいうと、我々はお金だけでなく、人も予算も全てを出してもらうことをしています。出向者として人を送ってもらったり、予算も持ってもらって、数字のギャップに対してなぜできてないのかを互いに議論し、高めあう形でやっているのです。
普通のスタートアップで考えると投資家と起業家が利益相反する場面っていっぱいありますよね。利益相反してでも実現できるぐらいの小さな課題・ソリューションだったらそのやり方でもいいのですが、我々のビジョンを実現するためには、投資家も仲間として一体となってやるべきだと考えています。
一緒に高め合って成長できる仲間、というのが一番希少価値が高い資本だったため、我々の場合は戦略的に事業会社からの資金調達を選びました。
自分たちが本当に必要で、それが社会として必要なのであれば、どこまででも詰める。それが起業家のあるべき姿だと思います。
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Shiori KAJI
After graduating from the University of the Arts London, she joined Recruit Lifestyle as a new graduate, where she was responsible for magazine editing and content planning. In 2020, she joined Tokyo Calendar, where she specialized in social media marketing. In 2026, she joined DIMENSION, where she is responsible for external relations and public relations.
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