「映像から未来をつくる」というビジョンを掲げ、家から街までをデータ化し、インフラとなるべく、あらゆる⼈やモノの意思決定に役に⽴つプラットフォームを目指すセーフィー株式会社。クラウドカメラ市場において圧倒的国内Topシェアを誇り、2021年に東証マザーズ(現:東証グロース)へIPOも果たした。同社代表取締役社長CEOである佐渡島 隆平氏に、事業戦略や組織づくり、将来展望などについてDIMENSIONビジネスプロデューサー黄がお伺いした。(全4話)
「自分ごと化」の強さを実感した学生起業
ーー学生時代にDaigakunote.comを創業されています。どのような経緯があったのでしょうか。
私は大学時代、そもそもそんなに勉強しようなんて思っていない、卒業さえできればいいと思っていたような不真面目な学生でした。大学に行かなくてもノートを見て、テストでちゃんと単位を取ることがしたかった。なのでテスト前にノートが欲しかったんです(笑)。
そんな私が、みんなが欲しがるネットサービスを自分で作ってみたいなと考えた時に、一番「自分ごと化」できたのがノートだったのです。
そこから、優秀な子たちのノートを集めて掲載する学生生活ハックメディアDaigakunote.comを立ち上げました。
でもそんなサービスって、大学からしたら敵のようなサービスですよね(笑)。そこで、どうにか大学にも応援してもらおうと考えました。
1999年当時、ちょうどiモードが出てインターネットとガラケーが繋がった瞬間だったので、これを使ってマッチングサービスをしようと考え、何をマッチングしようかと考えた時に着想したのが「休講情報」でした。
今でこそ当たり前ですが、当時は学校の掲示板に行って初めて「休講情報」を知って、帰宅したりしていたような時代でした。
そこで、休講情報を関西一円の大学から集めてきて、それを毎日みんなの履修通りに配信してあげるというサービスを作ったんです。これなら大学からしても、ありがたいサービスですよね。
それをきっかけに、ヘッドラインとして芸能ニュースや天気情報、あとはバイト情報や近くの飲食店のクーポン情報などを全部まとめて掲載し、ポータル化していきました。
結果的にDaigakunote.comは非常に人気がでて、何万人もの学生登録会員がいるサービスに育ちました。

ーーそこから先ほどおっしゃった「他人資本を使う」話を親戚のおじさんにされて就職されるのですよね。
はい、そのままやっていく選択肢もありましたが、一緒にやっていた子が落第したりと不真面目同士でやっていた事業だったので、私は先ほどいったように「他人資本を使ってお金を稼ぐ」ことを覚えたいのと、インターネットのことができて、自由で、かつ一定のブランドがあると考えてソニーグループのソネット(ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)に入社しました。
当時、日本で何番目かの人気サービス、といっても過言では無いくらい、黎明期に携帯サービスを立ち上げた実績があったこともあり、初日から黎明期のiモードやEGSM(拡張GSM)を使った新規事業部門に配属されて、芸能ニュース、Jリーグや格闘技のファンサイト、キャラクターのプロパティを使ったサービスなど、携帯モバイル事業の立ち上げを3~40個ぐらいはやりましたね。
そこからスマートフォンが出てきたタイミングで、モーションポートレートというソニーの木原研究所からカーブアウトした会社に創業後すぐに役員としてジョインしました。
スマートフォンに自分の顔をかざすとそれを勝手に3Dにしてくれて、ゾンビにしたりできるユニークな技術シーズを使ったアプリを作っていた会社で、スマホシフトしていきたいタイミングでもあったので自ら志願したのです。
そこでも新しいサービスをたくさん立ち上げ、本来では会社を上場するところまで持っていこうとやっていました。

セーフィー創業後の「地獄の3年」
ーーインターネット黎明期から事業を立ち上げ続けてこられたのですね。なぜセーフィーを創業するに至ったのでしょうか?
先ほど話した通り、セーフィーは私が家を建てた時の原体験、「世の中の防犯カメラが高い割にはサービス・クオリティが良くない」という感情から始まっています。
「置くだけで賢くなるカメラ」があれば手軽でウケるんじゃないかと、当時後ろの席に座っていた森本・下崎(セーフィー共同創業者)の2人と話し合ったんです。
最初は社内でやろうと思っていたのですが、社内だとどうしてもステークホルダーが多すぎて話がまとまらなくなっていくと感じました。
例えばオープンなプラットフォームを作ろうと、キヤノンMJさんと組みたかったとして、競合相手と組むなんて「誰が決裁するんだ?」とあたふたしちゃいますよね。その時点で時間がすごくかかることが目に見えていたのです。
そこから、オープンなプラットフォームはインディペンデント(独立)であるべきだと、当時モーションポートレートの社外取締役であった十時さん(現ソニーグループ株式会社取締役代表執行役社長CEO)に「自分でスピンアウトしてやるのでお金を出してください」と申し出ました。
それがセーフィー創業の経緯です。

ーー創業から上場に至るまでであった困難、一番大きな失敗などもあればお伺いできますでしょうか?
失敗は山のようにあって、今でも失敗しかしていないです。
これはハードウェアあるあるですが、初めから成功するハードウェアって無いんですよね。ソフトウェア、ハードウェアをバグ修正も含めて製品性能でPMFまで持っていくことはすごい大変なことです。
例えば初期のAndroidって、電話できなかったんです。携帯電話なのに。それぐらいの製品性能からスタートして今の姿があるわけです。
私たちが最初に出した製品はWiFiしかインターフェースがない、屋外でも使えるクラウドカメラで、創業初期に調達した資金の約1億円で3000台生産しました。
しかしその作ったハードウェアが、WiFiしかインターフェースが無いのに、WiFiにつながりにくい、というかほぼ繋がらなくて(笑)。
そんな活用が難しいカメラを3000台作ったところから私たちはスタートしたのです。
なので創業初期は、カメラを置く場所を実地で見に行ってから設置する、といったことをしていました。せっかくWiFiで手離れよく、Eコマースで買ったらすぐ使えます、というサービスなのに、その3000台を全部手売りするという地獄のような時期が3年ぐらい続いたのです。
建設現場向けにカメラを作って出した際は、プラスチックのボックスに入れていたことで温度・湿度が上がってしまって、カメラが全部壊れて返ってくるなんてこともありました。
設置に行って、修理して、みたいな堂々巡りを、1台あたり粗利が2000円しかないのにしていたんです。
多くの人は変曲点後のカーブからしか見てないので苦労せず成功してるように見えているかもですが、我々はローンチしてからARR1億円行くのに、だいたい4年弱かかっています。創業から7年で上場しているので、軌道に乗るまでの4年と、その後の成長期では雲泥の差です。
売上はあがらないし、毎日お客様のところに行って怒られるような「地獄の3年」。当時は「絶対にこの会社はスケールしない」って心の底から確信してましたね(笑)。
ーーどうやってきっかけでその状況から脱却されたのでしょうか。
自分たちがハードウェアを作っていては一生スケールしないと判断し、キヤノンMJ さんのハードウェア、つまりグローバルスタンダードのカメラに我々のファームウェアを入れて販売する方針に切り替えたことです。
現場での苦労も無駄ではなくて、建設現場で見つけたシーズをもとに、電源さえさせばすぐ現場が見れる「SIM付きウェアラブルタイプ」のハードウェアへと進化していきました。
お客様のジョブにフォーカスし、お客様と同じ目線・同じ苦労を一緒にしたことで、現場では電源抜き差しする以外のことが難しいと判断ができたわけです。
逆に言うと「地獄の3年」でプロダクト開発と現場の間の翻訳をしながら、プロダクトマーケットフィットし、PDCAサイクルを明確に語り尽くせた結果、その後の急成長に繋がったとも言えるでしょう。
そんなプロセスを経て生まれた弊社のカルチャーの中に「リアルな課題を潰す」というのがあります。
私たちの現場の担当者は、「じゃあ万引きを防ぐために現場の方が何をされて、どんな課題があるか体験してみよう」という発想を持ちます。お客様の店舗にて、実際の万引き犯の発見から、その後の対応まで体験させてもらい、その業務の課題を自分ごととして理解しようとするのです。
そこまでやるかというところまでとことんお客様の現場に向き合って、学ばせていただいた上でプロダクトにしていく癖が徹底されてるのです。
困難・失敗を乗り越えるサイクルを言語化し、カルチャーとして定義したからこそ、今の成長につながっているのだと感じています。
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Shiori KAJI
After graduating from the University of the Arts London, she joined Recruit Lifestyle as a new graduate, where she was responsible for magazine editing and content planning. In 2020, she joined Tokyo Calendar, where she specialized in social media marketing. In 2026, she joined DIMENSION, where she is responsible for external relations and public relations.
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