「自社の強みをしっかりと磨き切る」激しい競争下で成功していくための視座とは / 株式会社トレジャー・ファクトリー 野坂 英吾社長(第2話)

全国に200店舗以上展開する総合リユースショップ「トレジャーファクトリー」を運営する株式会社トレジャー・ファクトリー。2007年、東証マザーズ上場。2022年、東証一部から東証プライムに市場変更。タイや台湾にも店舗を持つ。同社代表取締役社長 野坂 英吾氏に起業家の素養、海外展開のポイントなどについてDIMENSIONビジネスプロデューサーの巻口賢司が聞いた。(全4話)

自社の強みをしっかりと磨き切る

ーーリユース業界では、御社創業当初から多くの競合企業が参入していたと思います。特に過去10年間では、フリーマーケットアプリやネットオークションなど、デジタルを起点としたリユース市場も注目を集めてきました。こうした激しい競争環境の中で、事業を成功させるための戦い方について教えてください。

各社異なるアプローチをとっていますが、他社がやっていて良いなと思うことに流されないことが重要です。自社の強みをしっかりと磨き切る、ということですね。

例えば、ネットオークションが始まった頃、商品を早く売りたいと思えば、持っているものをすべてネットオークションに出品すれば、すぐに売れます。

しかし、それでは店頭に陳列して販売する商品が無くなってしまい、商品が少ないお店で買取を増やそうとしても、なかなか増えません。

逆に言えば、売っている商品があるからこそ、買取を増やせるという関係があります。そのため、店舗で売るための工夫をしっかりと磨き、それが買取を増やすことにつながっていくのです。

目先の利益に動かされてしまうと、自分たちが本質的に強化すべき領域を失ってしまう可能性があります。

中長期的に自社の強みをどのように磨くべきかについて、しっかりと軸足を置いて考え、取り組んできたことが今日の成功につながっていると思います。

一方で、世の中もどんどん変わっていきます。

今では、私たちもコロナ禍を経てEC販売の強化に取り組んでいます。

宅配買取や出張買取などの仕入チャネルを増やしながら、どのような販売チャネルを持ち、どのように売るのが最適か、つまり、自社の強みをどのように磨くのかという視点から事業を組み立てることが、企業ごとの大きな差にもつながってくると感じています。

軸が無いうちにピボットしすぎない

ーーまだ自社の立場が確立しきれていない中で、潮流が来たらその方向に真っ先に進んだ結果、足場がないまま流されてしまうスタートアップも少なくないかと思います。野坂社長がEC進出を決めたきっかけは、どのようなものだったのでしょうか。

そういう意味では、安易に選択したわけではありませんでした。自社の基盤を強化できて、そこから派生していくものなのか、という視点を大切にしました。

同じ「取り組み」でも、その理由が基盤から派生するものであれば、やるべきことへと繋がります。しかし、「今すぐ何とかしたい」という目先の判断で動くと、後々にプラスにはなりません。

どのようなプロセスで一歩踏み出すのか、その点が非常に重要だと思います。

基盤ができていない中で、どんどんピボットしてしまうと、核となるものが残らなくなってしまいますから。

そのため、しっかりと基礎を作り上げ、そこから一歩踏み出すことが、他の企業ができないものを作り上げるために必要です。

我々がEC販売の事業を展開できたのは、リアル店舗を中心としたビジネスが既に立ち上がっていたからでした。

自社のベースが確立しているからこそ、新たな取り組みを始めてもそこから派生できるというのは重要なポイントだと思います。

 

ーー反対に、撤退の基準はございますか。

我々は、出店する場所を非常に厳しく精査しています。実際、180店舗近く出店してきましたが、実質的に閉店したのは2店舗程度です。

開店当初から順調にいく店舗は約2-3割程度で、厳しいスタートを切ることも多かったですが、自分たちで創意工夫し、その店舗を軌道に乗せていく風土や文化を築いてきました。

閉店数が少ないのは、その結果だと考えています。

 

 

 

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巻口 賢司

巻口 賢司

早稲田大学政治経済学部卒業後、日本マイクロソフトに法人営業として入社。国内の大手企業におけるデジタル化の促進に携わる。その後、ウォルト・ディズニー・カンパニーにて、スタジオ部門での映画の配給・マーケティングからコーポレート戦略部での新規事業開発など、幅広い業務に従事。2023年、DIMENSIONにビジネスプロデューサーとして参画。日台ハーフ・日英バイリンガルというバックグラウンドを活かし、グローバルな目線でのスタートアップ支援を志す。

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