「徒党を組むな。常にアンテナを高く保ち、チャンスを掴み取れ」 株式会社 ティーケーピー 河野貴輝社長(第4話)

企業向けの空間シェアリングビジネスの先駆けとして、2005年の創業以来、遊休不動産を保有することなく借り受け、貸会議室・宴会場として展開することで、新たな空間活用ビジネス市場を創出してきた株式会社ティーケーピー。同社代表取締役社長 河野 貴輝氏に起業家の素養、組織作りなどについてDIMENSION代表取締役社長の宮宗 孝光が聞いた。(全4話)

「徒党を組むな」

ーー若手の起業家、起業家候補の皆さんに何かメッセージを贈るとすると何でしょうか?

言いたいのは「徒党を組むな」ということです。

最近の若者はSNSの影響もあって、仲間内で徒党を組みすぎています。

自分とかけ離れた世界の人との縁が社会を変えるのに、現代の若者たちはそういう視点が欠けていて、同じ業界の人たちだけで集まっています。そして、その中にはすでにレジェンドの地位を確立している人たちがいて、彼らが全体を牽引しているせいで、彼らに嫌われない方法を模索している節がある。

コミュニティの中でだけ株価が上がって一時的に評価されるかもしれませんが、それはずっと続くとは思えません。

私は日本のスタートアップ界隈のそういった状態にとても違和感がありますし、それは真に成長できるベンチャー企業ではないと思います。

 

ーーそこに目先のメリットがあるから、多くの方がクラブなどに参加するのだと思います。

徒党を組んだ方が楽なんです。でも違和感や理不尽に直面するほど、人は強くなると思います。

それは、たとえばバネが縮んでから、ギューンと伸びて跳ね上がるような感じです。バネは縮まなければ跳ね上がることはできませんよね。

不安定な状況の中で安定を見つける。レッドオーシャンが存在するからこそ、ブルーオーシャンを見つける感動があります。

不安定な状況の中で突破口や解決策を見つけることこそ快感を感じる瞬間ですし、それがベンチャー企業の存在意義なのではないでしょうか。

 

一瞬のチャンスを掴み取れ

ーー大きな事業を志す方や上場を目指す方に、2024年の現環境下でのアドバイスを一言いただきたいです。

桶狭間の戦いのように、チャンスは本当に一瞬のものです。

その一瞬をつかむことができるかどうかが、人生を大きく左右すると思います。それは偶然であるかもしれないし、偶然でないかもしれない。特にベンチャーの世界ではそうです。

だからこそ、私が伝えたいメッセージは、「常にアンテナを高く保ち、チャンスが訪れたときに自分でつかむ」ということです。

また、経常利益の範囲内でリスクを取ることも大切です。リスクを取らなければリターンはありませんが、自らの土台を壊すようなリスクは取らないようにしましょう。

それら二つの点を心掛けていれば、どんな困難な時でも立ち向かっていけるはずです。

 

ーー先ほど「徒党を組まない」というお話をされましたが、これは現代の若者が苦手とする部分かもしれませんね。

私が言いたいのは「群れない」ということ。それは逆に「適度な距離を保ちつつ全方位外交を行う」という意味でもあります。

全方位外交こそが基本的な考え方であり、一番大事なのは「嫌われない」ことです。

逆に言えば、全方位外交を行うことで、敵も味方も作る必要はありません。その人が将来的に味方になったり、お客様になったりするかもしれませんから。

事業を行っていれば、人間関係の中には嫉妬ややっかみが必ず存在します。それはどんな人でも避けられないことですが、不用意に敵を作る必要はありません。

繰り返しになりますが、事業を行う上で大切なことは、「敵を作らない」ということ。そして同時に、「あまり深く付き合いすぎない」ということも大切です。

会社がまだ小さい頃は、誰かの傘下で助けてもらう、売上をもらう、出資してもらうといった状況もあるかもしれません。

しかし、いずれ自立し、事業を拡大するためには、全ての人と適度な距離感を持って付き合うことが大切です。

 

ーーつまり、特定の人と深く付き合うよりも、全方位で人間関係を広げ、進化していくということですね。

ステージが変わるごとに、付き合うべき人も変わるので、それに対応できるようにしておかなければなりません。

ステージが変わるたびに、人間関係を広げ、そのステージに適した人たちとまた適度な距離を保ち続けることが大切です。

 

 

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宮宗 孝光

宮宗 孝光

ビジョンは「正しい起業家と事業の創出」。真摯に経営に向き合う起業家に出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャー投資ファンドDIMENSIONの代表取締役社長。出資先9社の上場、12社のExitを経験。直近の出資・支援先はSHOWROOM、五常・アンド・カンパニー、AnyMind Group 、LegalOn Technologies 、カバーなど。 東京工業大学・大学院を卒業後(飛び級)、シャープ株式会社を経て、2002年からDIにて20年間、大企業とスタートアップの戦略策定、幹部採用、M&A、提携、出資・上場支援に従事。2019年DIMENSIONファンドを立ち上げ、2021年MBO・独立。 2022年、産業革新投資機構・海外機関投資家・11名の上場創業社長などがLP出資する101.5億円のDIMENSION2号ファンドを設立。

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