「世の中に『コンディショニングを実装する』」株式会社TENTIAL 中西 裕太郎社長の “起業家に重要な3つの素養”とは(第1話)

「健康に前向きな社会を創り、人類のポテンシャルを引き出す。」というミッションを掲げ、アスリートを始めとした多くの人々のチャレンジをサポートする株式会社TENTIAL。2025年2月に東証グロース市場に上場した同社 代表取締役CEO 中西 裕太郎氏に、起業家に必要な素養や商品展開のポイント、上場時の株価形成などについて、DIMENSIONビジネスプロデューサーの古家 広大が聞いた。(全4話)

「社会をどう変えたいのか」という強い志を持つ

ーー中西社長にとって、起業家に重要な素養を3つ挙げるとしたら何でしょうか。

起業家に重要な素養は、「スタンス」「スキル」「組織貢献」です。

これらは、TENTIALのバリューと一致した言葉となっており、それぞれを言い換えると、スタンスが「Dynamic」、スキルが「Essential」、組織貢献が「Buddy」となります。

1つ目の「スタンス」とは、社会をどう変えたいかという強い志を持つことを指します。何かを成し遂げる上で、自らの立場や意見を持つことは極めて重要です。

しかし、志を掲げるだけでは、世の中を変えることも、事業を成長させることも困難です。そこで必要となるのが、2つ目の「スキル」だと考えています。

物事の本質を理解し、事業を成長させていくための実力が伴って初めて、掲げた理想が現実のものへと近づいていきます。

一方、大きなスタンスを掲げてスキルを持っていれば十分かというとそうではなく、自分一人で成し遂げられることは限られています。

そこで必要なのが3つ目の「組織貢献」です。

多くの人の協力を得るには、「自身が周囲にどれだけ貢献できるか」が重要だと考えています。

共に働くメンバーに貢献する姿勢や、チームで何かを成し遂げようとするモチベーションがなければ、どれだけ大きな志とスキルがあったとしても他の人を巻き込むことはできません。

だからこそ、この3つが起業家にとって重要な要素だと考えています。

 

中西 裕太郎 /1994年生まれ
埼玉県出身。プロサッカー選手を目指した高校時代に病気で夢を絶たれた原体験を持ち、起業に関心を持つ。株式会社インフラトップ(現・DMM Group)の創業メンバー・事業責任者、株式会社リクルートキャリア(現・リクルート)で新規サービスの商品企画・事業開発と経験を積み、2018年に株式会社TENTIALを創業。ウェルネスブランド「TENTIAL」を通じて、スポーツコンディショニングの考え方を元に、人々がポテンシャルを発揮できる社会を目指す。

 

ーー中西社長はこれまで、スポーツから始まり、エンジニアリング、商品開発など多様なスキルを要するキャリアを歩んでこられました。短期間で成果を出し続ける上で、大切にされている行動指針を教えていただけますか。

これまで取り組んできたことは、全て未経験からのスタートでした。

生まれながらに多くの才能を持つ人もいるかもしれませんが、それはごく稀なケースです。多くの人にとって、「ゼロからスタートすること」が前提となります。

その前提の上で、いかに短期間でプロフェッショナルレベルに到達するかを強く意識しています。

具体的には、スペシャリストやこれまでの歴史から学ぶことに加え、物事を「要素分解」することを大切にしています。また、「アナロジー(類推)」で考え、過去の経験や他分野の知見を応用することも有効です。

「分からない」で思考を停止させるのではなく、分解して考え、最短ルートでプロフェッショナルの領域に到達すること。これが、私が最も大切にしていることです。

 

日常生活の土台となる「歩行」を支える

ーーメディア事業『SPOSHIRU』を展開されたあと、資金調達を経て『TENTIAL ZERO(インソール)』を発売されています。一見すると事業の方向性を大きく変えられたようにも見えますが、資金調達のタイミング含め、当初から事業展開の戦略があったのではないかと感じました。この点について、当時のお考えをお聞かせください。

会社設立当初から「スポーツを通じた健康増進」というテーマを掲げており、これは今まで一貫しています。

当時、スポーツ分野で大きな経済規模を持つ企業を調査したところ、アシックスやナイキのようなメーカー・小売業が圧倒的なスケーラビリティがあることが分かりました。

そのため、立ち上げ当初から「ものづくり」を意識していたものの、最初から多くのアセットを抱えて事業を始めるのは難しいと判断し、まず少ないアセットで開始できる「メディア事業」を選択しました。

幸い、私自身のスポーツ経験からアスリートやトレーナーとのつながりが深く、彼らが持つ有益な情報を発信できるという強みがあったため、スポーツを「知る」ためのメディア『SPOSHIRU』からスタートしたという経緯です。

将来的には「ものづくり」への展開を視野に入れつつ、まずは足元の事業を立ち上げ、トラクションを作って資金調達をすることが先決でした。

当時、スポーツに特化したメディアが少なかったこともあり、『SPOSHIRU』は半年で月間100万PV規模に急成長しました。今振り返ると、このメディア事業を通じて市場のニーズを把握できたことも大きな収穫だったと感じています。

 

 

シード期は自己資金と銀行融資で事業を運営していましたが、東京オリンピックを前に本格的に「ものづくり」に取り組もうと考え、株式による資金調達に踏み切りました。

しかし、当時の資金調達は困難を極めました。

ものづくりの実績がない中で、私たちが目指すインソールの販売や事業のスケール可能性について、投資家からはなかなか共感を得られない状況でした。

それでもインソールでのスタートにこだわったのは、「健康に前向きな社会を創り、人類のポテンシャルを引き出す。」というTENTIALのミッションと、私自身が描くビジョンに完全に合致していたためです。

体を整えるための第一歩として、日常生活の土台となる「歩行」を支えるインソールからプロダクト展開をスタートし、足元から徐々に全身へ広げていくという明確なストーリーを描いていました。

一方で、当時はこういったエモーショナルなストーリーを億単位の調達に結びつけることの難しさも痛感しました。

最終的には株式会社アカツキとのご縁に恵まれ、約1.3億円の資金調達を実現することができ、ようやくものづくりのスタートラインに立つことができました。

 

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古家 広大

古家 広大

早稲田大学卒業後、三井住友信託銀行に入行。 広島にて個人向けFP業務を行った後、大阪にて法人RMを経験。非上場からプライム市場の企業まで担当し、融資や不動産など信託銀行の幅広いソリューション営業に従事。また、ESGやSDGsをはじめ、CGC改訂への対応支援も行い、グローバルで勝ち続ける企業への成長を非財務領域も含めてサポート。 2022年DIMENSIONに参画。LP出資者からの資金調達と国内スタートアップへの出資・上場に向けた経営支援を担う。

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