#人事・組織
「ソーシャルテクノロジーで、世界中の人と企業をつなぐ」をミッションに掲げ2005年から業界に先駆けてSNSの持つ力に着目した事業を展開し、今では国内最大級のSNSマーケティング専業会社にまで成長を遂げたアライドアーキテクツ。同社の代表取締役社長 中村壮秀氏に起業家に欠かせない素養、時流を見極める方法などについて聞いた。(全6話)
「興奮」できる目標が自ずと仲間を引き寄せる
——仲間集めの秘訣をお教えください。
「時代が変わる」「市場を創る」って、誰しもが興奮しますよね。興奮こそが最も人を呼び寄せる要素です。なので、目の前のチャンスに経営者自身が興奮していて、その魅力を伝えていけば自ずと人が“集まってきてしまう”。これが本質的には仲間集めにおいてあるべき姿だと思います。
あとは、目指す市場が大きいことも重要です。今は小さくてもシンプルなロジックでこの市場は大きくなることを伝え、理解してもらい一緒にチャレンジしようという経営者の姿勢が一番のポイントで、これは世界共通だと思います。
——そうやって集まってきた人たちを見極める際のポイントをお教えください。
まず、現在のアライドアーキテクツが良い会社かどうかどうかよりも「良い会社を一緒に創っていこう」という意識を持っていることが重要です。環境のせいにせず自ら切り開こうとする行動に繋がります。
スポーツでも何でもチームで目標に到達するために、皆で努力し一心不乱でやってきた結果として、成果と素晴らしいスキルがついてくるものです。単に自らのスキルを身につけることのみを考えるメンバーだらけのチームは、良い成果も出さないでしょうし、結果として良いスキルも付きません。
事業も同じで私の前職、現職でもこの市場を立ち上げ、「素晴らしい会社を作りたい!」という目標を仲間と追い続ける中で、振り返ってみると多くのスキルを身につけせて頂いたと感謝しています。それもここでお話ししたマインドで臨み続けることができたからだと思っています。
また、過去、現在、未来においてこれまで何故こういった経験を積み、今何故私の目の前に現れていて、将来どういう方向に向かいたいのかの繋がりを話し合うことを大事にしています。そこから本人が向かいたいベクトルを理解し、それが会社のベクトルと大枠合っていれば会社の成長と共に個人もどんどん活躍・成長していってくれます。
アライドアーキテクツのロゴは船の帆をイメージしていますが、3つの帆は社会・会社・個人を表していてそれらのベクトルが同じ方向を向いた時に最大の推進力を生むという意味合いを持っています。
会社も個人も生き物であり常に進化しているので時にベクトルがずれることもありますが、そこでしっかりと対話し、修正したり握り直して行ければ共に成長を続けられると考えています。
「シンプルなロジック」で組織の危機も乗り越える
——今まで組織づくりでどのような壁に直面されてきましたか?
事業で依存していたプラットフォーム環境に大きな変化が起こり会社の最大シェアのプロダクトの売上が2年ほどでほぼゼロに向かっていく時期がありました。不安に思い退職してしまうメンバーも増え、組織としてもピンチな状況に陥りました。
一方でそのような状況下でも、先ほどお話ししたように市場に立ち返り(第3話リンク)ひとつひとつロジックを確認して、「絶対この市場はいける」と私自身は確信していたので新規投資の手を緩めることなく進み続けました。
——そのような状況下で、具体的にどのようにして組織崩壊の危機を乗り越えられましたか?
まずは、とにかく正直に社員に状況を伝えました。「今こういう状況です。“ただし”私たちが登ろうとしている山は間違いなく正しい。だからきっとこうなる。」と。この“ただし”の部分が大事で、シンプルなロジックで、誰でも理解できるよう因数分解して伝える必要があります。
また、一度伝えるだけでなく、繰り返し伝え続けることも重要です。でも、同じ話を延々し続けても、メンバーは飽きてしまいます。
ここで同じことを伝え続けるための工夫として「例題」を用いる意識が大切です。算数で例えるとすると、公式の話ばかりされてもイメージできませんよね。例題を元に、その公式が使えることを学んでいくわけです。
社員とのコミュニケーションの中でも、社内で起こっている小さな成功事例を拾い上げ、その事例を生み出したチームを讃えることで事例が連鎖していけば我々が登ろうとしている山に繋がっていくよね。という感じに伝えることで、登っている山が正しいことを伝えるようにしていきました。
こうして地道に目指す山が正しいことを頻度高く、様々な切り口で伝え続けることで、徐々に組織としての成功体験になり、組織の雰囲気が改善していきました。
——具体的には、どれくらいの頻度でコミュニケーションをされていましたか?
その当時は週に1回、必ずそのような話を全社員にする朝会の場を設けていました。なので、例題となるネタ探しをひたすらしていましたね(笑)。
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>>第5話「日本の産業を海外に伝えたい」に続く
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DIMENSION 編集長
「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。
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