600名企業の上原流・組織論 マイネット 上原 仁社長(第3話)

権限移譲は利益管理と共に

――組織が拡大し人数がどんどん増えていく中で、組織マネジメントスタイルをどのように工夫されていますか?

リーダーシップは気合と論理と話しましたけれども(第1話リンク)、マネジメントに関しては論理立てて工夫しています。組織が100人を超えたあたりから、権限・責任の明確化と利益のマネジメントをきっちりとやっています。

組織の人数が増えていくときには権限移譲をしていくわけですが、それは「やってみな」だけではダメなんです。管理会計としてしっかり利益の握りをしたうえで、人とお金の責任を渡すということをしています。「権限委譲は利益管理と共に」ですね。これをマイネットでは「グローススタジオ体制」と呼んでいます。要は利益を出している範囲においては、人とお金の権限責任はがっちり渡す、権限を委譲される側に、機会を提供していくということをしています。

一方で、失敗したらどうなるかというと、そこの最終的な責任は社長である私が持ってあげるというスタイルを今はとっています。失敗しても、その人が飛ぶとかクビにすることはしないという意味で「ケツは持つから大丈夫だ」、と。もちろん、その人がいったん退くという人事采配をすることはありますが。

権限移譲は数字の握りをしないと、正直なんの意味もありません。コントロールに対する権限責任と結果に対する責任を任せてあげなかったら、その人なりの構造作りができないわけですよね。いかなる利益を生み出すかを数値で握って、中身・やり方は構造から考えてよろしい、という任せ方をすることが大事です。

その結果、ダメでも責任は本人に問わないでいいし、「ケツは持つ」のが代表取締役の役目だと考えています。

 

3つのスキルを階層ごとに使い分けて人材を評価

――いま上原さんご自身で直轄マネジメントされているのは何名くらいいらっしゃいますか?

現在、役員は8人、マネージャーは約50人います。そのマネージャーの中に部長格というのがあって、私は役員と部長格を直轄しているという状況にあります。

 

――部長格は何人くらいですか?

約15、16人です。役員は、職層というよりも「部長格」と意味合いとしてはほぼ同じです。要は一般社員、マネージャー、部長格、社長という4階層で組織運営していますね。

 

――個々人は能力も特徴も違うと思うのですが、仕事や権限などの任せ方はどう使い分けされてますか?

能力に関しては、「ヒューマンスキル」、「テクニカルスキル」、「コンセプチュアルスキル」、という3つのスキルに分解して見ています。マイネットのマネージャーは多くの場合がゲームのプロデューサーなので、「テクニカルスキル」といえばゲームに関する経験・知識になります。「ヒューマンスキル」は人に関しての感度と人を率いる力やプレゼンテーション力、「コンセプチュアルスキル」は構造的思考能力のことで、問題の抽出、解決精度の高さに再現性がある状態と定義しています。

この3つのスキルで見ていった時に、上位レイヤーの階層になればなるほど、「コンセプチュアルスキル」を重視しています。じゃあ、「構造的思考能力って何?」 ということになりますが、それは突き詰めて考えていくと”センス”という言葉に近づいていきます。

この”センス”を持つ人には2タイプいて、一つは右脳型の、アーティスティックな面でも人や組織に対してでも自分なりの構造を作り上げることに長けた人。もう一つは左脳型で問題解決能力の高い人。

例えば、具体名を出してしまうと、マイティゲームス代表の仲川は、もともと30歳まで絵かきで食べていた人です。それなのに組織マネジメントなど、なにをやらせてもエレガントにこなせる。面白いセンスの持ち主です。

一方、マイネットエンターテイメントを任せている田中は東大卒でマイネットに入って、あらゆるポジションを味わせています。どちらかというと左脳型の彼に、短期間で重要ポジションを数多く担わせた。結果的に非常に高い問題解決能力を身につけているのですが、これはある種、築き上げられたセンスですね。

このように右脳型も左脳型もあるけれど、一定以上の構造的思考能力、問題解決能力を持っている人間を部長格に登用しています。

それより手前のマネージャー格はテクニカルスキルが一定レベルあって、ヒューマンスキルがしっかりある人間を置いています。

 

 

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DIMENSION 編集長

DIMENSION 編集長

「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。

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