#人事・組織
コンピュータグラフィックスのキャラクターをYouTuberとして動画投稿を行うバーチャルユーチューバー(VTuber・ブイチューバ―)事務所「ホロライブプロダクション」を運営し、「日本発のバーチャルタレントIPで世界中のファンを熱狂させる」ことをビジョンに掲げるカバー株式会社。2020年5月にはDIMENSIONからの出資を含め、総額約7億円の資金調達も発表した。同社の急成長を牽引する代表取締役社長CEOの谷郷元昭(たにごうもとあき)氏に、起業家の素養や事業成長のポイントなどについて聞いた。(全5話)
「心が折れない」ための心構え
ーー先ほど(第1話リンク)お話された起業家の素養の3つめ、「投げ出さない」についてもお話をお聞かせください。
起業はとにかく色んなことが起きるので、「投げ出さない」でやり抜く事が何よりも大事です。
先ほど前回の起業は得意領域では無かったとお話しましたが、それでも最終的に会社を売却することができたのは「投げ出さなかった」からです。
今回の起業も40代での起業ですので、ラストチャンスかもしれないという背水の陣を引いてやり抜く覚悟を決めています。
ーーどうすれば「投げ出さない」でいられるのでしょう?
自分一人の力を過信しないことではないでしょうか。経営者の「心が折れる」のが一番怖いことなので、それが起こらないためのセーフティネットを作ることが大切だと思います。
今回の起業においても、利害関係者を初期段階から巻き込むことはかなり意識していました。困った時に相談できる相手がいるかどうか、絶対的に自分を信じてくれる人がそばにいるかどうかが、心が折れそうになった時の心理的安全性に繋がるからです。
一人で戦うのではなく、チームで戦うことで「投げ出さない」環境を作る。
その上で戦う領域を間違えず、適切な努力を続けていれば、必ず成功できると思っています。
「本物の起業家コミュニティ」を探せ
ーー創業期の仲間づくりが大事というメッセージのようにも思います。どのようにして仲間の輪を広げていかれたのでしょうか?
前回の起業の失敗要因の一つとして「コミュニティに入らなかったこと」がありました。学習塾と同じで、ライバルがいるからこそ刺激をもらいながら成長できるという側面があるからです。
なので私は40代のおじさんですが、20代の若い起業家が集まるコミュニティに無理を言って入れてもらいました。具体的には、起業準備期間をVCが運営するシェアオフィスで過ごしたのです。
本当に部室のような空間で、朝行くと寝袋で寝ている人がたくさん転がっている。「おじさんが来る場所じゃない」と何度も言われましたが(笑)、とにかく本気で世の中を変えたいと信じるハングリーな起業家が集まる空間でした。
悪戦苦闘しながらも創業アイディアを捻り出せたのは、そんな空間で過ごせたことがポイントだったように思います。
ーーベンチャーコミュニティの中に入ると、華やかな側面に目を奪われてしまう側面もあると思います。
コミュニティに入る、と言うと誤解される可能性もあるので補足しておくと、起業家と投資家のマッチングイベントなどに参加して多くの人と仲良くしろという意味ではありません。
カンファレンスなども起業家にとってはプレゼンテーションの場であり、登壇依頼が無い限り自分から参加する必要は無いでしょう。
先ほどのシェアオフィスも、同じオフィスにいるからといってみんな仲良しというわけではありません。華やかさとは真逆の世界で、歯を食いしばってライバルとして刺激しあい、互助的な関係を築ける「本物の起業家コミュニティ」に入ることが重要なのです。
ーー起業家の素養として挙げられた本物の「ビジョン」(第1話リンク)の見極めとも通ずる部分がありますね。
そうですね。イベントに出席すれば見栄を張れてスタートアップ起業家気分に浸れるかもしれませんが、重要なのは結果を残すことです。
結果を残すために、プロダクトや事業、会社づくりに集中する。その過程でわからないことを相談しあえる本物の起業家コミュニティを作ることが大切だと思います。
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DIMENSION 編集長
「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。
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