
#ブランディング
コンピュータグラフィックスのキャラクターをYouTuberとして動画投稿を行うバーチャルユーチューバー(VTuber・ブイチューバ―)事務所「ホロライブプロダクション」を運営し、「日本発のバーチャルタレントIPで世界中のファンを熱狂させる」ことをビジョンに掲げるカバー株式会社。2020年5月にはDIMENSIONからの出資を含め、総額約7億円の資金調達も発表した。同社の急成長を牽引する代表取締役社長CEOの谷郷元昭(たにごうもとあき)氏に、起業家の素養や事業成長のポイントなどについてDIMENSIONビジネスプロデューサーの伊藤紀行が聞いた。(全5話)
ーー急成長を支える組織作りにおいて、工夫されていることをお聞かせください。
創業当初はインターン生を中心に採用していきました。PMF(プロダクトマーケットフィット)するまでは創業メンバーとインターン生のみで、ミニマムな組織運営を心がけてきました。
そこからサービスがPMFし、ある程度成長が見え始めた段階でまずは責任者クラスの人材を採用していきました。そして次に、責任者たちの部下になるような人材を採用し始めたのが去年ごろです。
おかげさまでサービスが急成長するに伴い、組織も一気に100名規模まで拡大してきましたが、大きな組織崩壊無くここまで来られています。
最初から闇雲に人数を増やすのではなく、しっかりと事業と組織の基盤作りに集中することがポイントなのだと思います。
ーー責任者クラスの人材を口説く際に意識されているポイントがあればお聞かせください。
「全く新しい分野で挑戦できる」という部分をプレゼンテーションすることです。
まだ黎明期の市場でビジネスをしているからこそ、今後の結果次第で業界のキーパーソンになれる可能性がある。業界が大きくなった時に、すごくいいポジションになれるのは市場黎明期にチャレンジしているからこそです。
その可能性をしっかり見せることを大切にしています。
ーー他に後輩起業家たちが組織づくりで気をつけるべきポイントなどがあればお聞かせください。
スタートアップは往往にして管理部門を軽視してしまうと思います。会社を成長させる「攻め」の人材採用に集中しがちなのです。
ただ会社を成長させる上では「攻め」と「守り」のバランスが重要です。
事業が成長すればするほど、トラブル予防や対応も増えていきます。守りの人材採用をおろそかにしていると、場当たり的な対応に現場が終始してしまい、いつまでも根本的な改善策を打ち出せなくなります。
特に組織が30人を超えたあたりからはしっかり「攻め」と「守り」のバランスをとり、リスク管理も含めてクライアントや社会と向き合うことのできる組織にすることが重要なのかなと思います。
ーー御社の今後の展望についてお聞かせください。
日本国内はもちろんのこと、現在海外でも英語圏を中心にVTuberが非常に伸びています。英語圏は日本よりも人口が圧倒的に多いので、チャンネルの登録者数としても大きなものになっています。
なので今後は国内だけではなくて海外ファンを増やしていき、様々なコンテンツを提供していきたいと考えています。日本のアニメ会社が世界中でアニメ配給してビジネスを幅広く展開されているように、我々もYouTubeを主体とした世界的メディアミックス企業を目指していきます。
加えて、オンライン上のコミュニケーションが非常に増えてきているのに合わせて、新しい形のバーチャルコミュニケーション体験も作りだしていきたいと考えています。
現在も弊社所属のタレントさんがYouTubeのライブ配信によりファンの方々とインタラクティブにコメントでやり取りしていますが、それだけではなく実際に同じオンライン空間の中にファンの方が入って楽しめるようなアプリケーションを展開していきたいと考えています。
例えばYouTubeなどでのライブ配信はあくまで一方的な映像です。しかし現在開発中のアプリケーションでは、ファンの皆様がタレントと同じバーチャル空間内に入り込み、歌やタレントに合わせてサイリウムの色を変えて自己表現できる、まるで本物のライブ体験のような仕組みを作っていきたいと思っています。
ーーでは最後に、読者である若手起業家、起業家予備軍の皆さんにメッセージをお願いいたします。
我々は日本から世界中が愛するエンターテインメントを提供するというミッションに取り組んでいる会社です。
これからの日本は人口も減り、悲観的な状況が多い中ですが、日本発で世界で戦えるような会社がたくさん出てくると良いなと思っています。
皆さんとそういったチャレンジを一緒にやれると嬉しいです。
>第4話 ファンを熱狂させ続ける仕掛け VTuber事務所「ホロライブ」躍進の舞台裏 カバー 谷郷元昭CEO
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著者 伊藤紀行
DIMENSION Business Producer:早稲田大学政治経済学部卒業。楽天、EdTechスタートアップを経て、株式会社ドリームインキュベータにて国内のスタートアップへの出資・分析、上場に向けた経営支援等に従事。FinTech(金融 x IT)、D2C、メタバース、ドローンなど幅広い事業領域の企業への出資と並行して 、出資先の経営陣への経営支援を実施。 21年、株式会社ドリームインキュベータからのDIMENSIONファンドMBOに参画。 志高い起業家へのキャピタリストとしての支援を通じ、日本経済の活性化に取り組む。 出資支援先であるFinTechスタートアップ、株式会社400Fの社外取締役。ビジネススクールにて、「ベンチャー戦略プラン二ング」「ビジネス・アナリティクス」等も担当
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