#ファイナンス
「日本的面白コンテンツ事業」を業務内容として掲げ、ソーシャルゲーム事業、ゲーム音楽事業、ウェディング事業、葬儀事業など、多岐にわたるビジネスで話題を呼び続けている「面白法人カヤック」こと株式会社カヤック。同社CEO・柳澤大輔氏に起業家としての心構えや、ベンチャー企業の組織づくりについて聞いた。(全5話)
人を見極める際の「ブレスト」の効能
――採用に関してもM&Aに関しても「何をするかより誰とするか」という共通の価値観をお持ちになっているなと思います。人を見る際に、注意して行っていることはありますか?
採用とM&Aは微妙に違うので一緒くたに語れないというところもありますが、共通する要素があるとすると、どちらも「事前にブレスト」するということですね。
M&Aに関しても、M&Aの後にどういう未来が描けるかというのを社長同士や経営陣同士で一緒にブレストして、お互いわくわくできるかどうかを見ています。M&Aは大変なこともたくさんあるのですが、事前に将来の青写真についてブレストしておくと苦しい時でも一緒に前向きになれます。
――ブレストから出てくるアイディア如何ではなくて、一緒にやっていて、一緒に同じことでわくわくできそうかといった点が鍵だと。
そうですね。ブレストをしてみると「いいね!」と思うタイミングが凄くずれていることもある訳です。価値観が共通しているか、というのは人を見る際のポイントなので、その際にブレストは効率的な手段だと思います。
退職者へのインタビューをHPに載せるシンプルな理由
――「企業のフェーズによって必要な人材が変わってくる」とよく言われているかと思いますが、その点でいうと変化は感じられていますか?
変わったというか、増えたという感じですね。
組織自体が大きくなるにつれ、今までになかった職能が必要となったりします。「増えた」と表現したのは、今まで活躍していた人が活躍しなくなる訳ではないからです。求める人材が変わったという認識は特にありません。創業期の頃からいたような人も新しいことを生み出すために引き続き欠かせないですし。
――人を見る時のポイントとしてスキルセットとマインドセットがよく挙げられますが、御社の場合はどういったことを意識的に見ておられますか?
もちろんスキルとマインドの両方見ています。ただ、求めるスキルは前よりもハードルが上がっているかもしれません。「何もできないけど意識は高い」という人を採るということは少なくなっているかもしれませんね。感覚値ですが、昔は5人の内3人くらいがそうだったのが、今は5人のうち1人程度になっているといったイメージです。
――採用に関連するのかもしれませんが、退職者に対するインタビューをHPに掲載するという取り組みも印象的です。(リンク)
求人にエントリーしてくれる側の視点に立つと、「辞めた人がどういう理由で辞めたか」というのは見たいと思うんですよね。ですから掲載できるんだったら掲載しようと、希望者は載せています。それだけのシンプルな理由で実施しています(笑)。
ただ、確かに退職者とは基本的には仲が良いです。退職者の中でも色んなグル—プができていて、そのグル—プで辞めた人同士で仕事を発注し合ったりもしています。
――御社を卒業しても「つくる人」であり続ける人が多いんですね。
会社を辞めても仕事が入ってくるようなエコシステムを作ればますます会社に人が入ってくるから、本当はもっと会社で退職者を支援してもいいんですよね。「辞めた人の同窓会サポート」といったような。
今後、そういった制度も含めて、様々な可能性に挑戦していきたいですね。
>>第5話「時代が変わっても『面白い』ことを発信し続ける」に続く
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著者 小縣 拓馬
起業家向けメディア「ベンチャーナビ」 編集長。玩具会社のタカラトミーを経てDIに参画。ビジネスプロデューサーとして、主に国内ベンチャーへの投資・事業支援・戦略立案を担当。 ~「More than Meets the Eye」 これは玩具会社時代に担当していたトランスフォーマーというシリーズの代表的なコピーです。見た目だけではわからない、物事の本質に焦点を当てること。そんな想いで記事を提供していきたいと思っています。~
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