#ビジョン
「お金を前へ。人生をもっと前へ。」をミッションに、個人向け自動家計簿・資産管理サービスやビジネス向けクラウドサービスなどを展開し、昨年東証マザーズに上場した”国内Fin Techの雄”であるマネーフォワード代表取締役社長 辻庸介氏に起業家に必要な素養や人事・組織論等について聞いた。(全6話)
「起業家」から「経営者」になる成長痛
――マネーフォワードで様々なビジネスを立ち上げ、さらに経営者としてサービスを発展させられていますが、「0を1にする起業家」と「1を100にする経営者」とでは求められる役割は異なると思いますか、役割が違うとすればその変化に対してどのように対応していけば良いのでしょうか。
重要な視点ですね、確かに起業家から経営者に変われない人もいます。また、変わりたくない人や“ゼロイチ”が得意で“イチヒャク”に興味がない人もいます。それはそれぞれの特性なので、得意なことや好きなことをすればいいと思っています。
私は、比較的経営者向きだろうと思います。起業家が経営者に変わる成長痛があることが健全だと思っていますし、社長の器以上に会社は大きくならないとも思っているので、起業家から経営者になろうとしています。
CEOって、Chief Everything Officerであると思っていて、その名の通り何でもやらなきゃいけないんですよ。そのとき、そのときで企業の成長に必要なことは何かを考えてジャッジしていかなければいけません。
企業も成長しますし、人も成長する。そして何よりも社長が1番成長しないといけません。経営陣でも勉強していない人は成長が止まります。勉強や成長に終わりはありませんからね。
株主と共に事業を創る意識
――資金調達に関しては、戦略的に株主を選ばれてIPOに至っている印象を受けました。投資家の選び方、付き合い方についてお考えを教えてください。
1番最初にエンジェルの方に投資をしていただいてから、あるVCさんに5億円投資をしていただきました。そのあとは、基本的には事業シナジーがあることを基準として、事業会社の方々中心に投資していただきました。
投資家の方には、たいていの場合、最初はマネーフォワードのサービスのお金ではない価値や志を理解してもらい、プロジェクトをご一緒させていただくところ付き合いからスタートし、最終的に投資していただくというパターンが多かったように思います。
私たちが作りたいのは事業です。その事業を前に進めるために、巻き込みたいパートナーの皆さんに資本を入れていただくと、より真剣になっていただくことができ、事業も加速度的に発展させていくことができるのです。
株主への相談は情報をオープンに
――投資家との付き合い方の秘訣について教えてください。
事業を推進するうえで必要なものは、ヒト、モノ、カネと言われていますが、例えば、VCさんですと「カネ」の支援が主になるでしょう。
一方で、あるVCさんからは投資していただいただけでなく、非常に広いネットワークを活かしていただき、日本全国の提携候補先や人を紹介していただきました。「この人とお会いしたいのですが、つながっていらっしゃいますか?」とお聞きすると、だいたい1〜2日でアポをとって、すぐにお返事をくださいました。
上場後もいろいろと助けていただいています。そうしたお金だけじゃないネットワークやお客さんをもっているという強さは大切だと思っています。
別のVCさんには経営のアドバイスをいただいています。さらに、ある銀行系のVCさんがいたからこそ、オープンバンクAPIができたと言っても過言ではありません。そういう意味で、お金だけじゃない業務提携、経営のアドバイスという価値も非常に大きなものだと感じています。
――投資家の力をうまく活かすために、心がけていることはありますか?
情報を隠さないことを大事にしています。信頼構築が重要だと思いますので。情報をオープンにして困っていることは困っていると伝え、自分の能力では足りなくて解決できないので、どうしたら解決できますかと相談することです。謙虚にアドバイスをもらう姿勢も重要でしょうね。
みなさん、ノウハウやネットワーク、経験がおありなので、何かしら教えていただけるパターンは多いです。自分一人で考えるよりも、経験がある人に聞くほうが断然早いですよね。
>第6話 「官を巻き込み日本を変える」に続く
>第4話「社員の能力を120%引き出すための人事・組織設計」に戻る
>マネーフォワードのホームページはこちら
DIMENSION 編集長
「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。
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