『すべての経済活動を、デジタル化する。』株式会社LayerX 福島良典CEOの「起業家に必要な3つの素養」とは(第1話)

「すべての経済活動を、デジタル化する。」というミッションを掲げ、複数事業・プロダクトを同時並行的に展開する「コンパウンド・スタートアップ」としての挑戦を続けている株式会社LayerX。同社代表取締役CEO 福島 良典氏に、起業家の素養や、組織づくりのポイントなどについてDIMENSIONビジネスプロデューサーの古家 広大が聞いた。(全4話)

作らずにはいられない・既存の仕組みを疑う・まずやってみる

ーー福島CEOにとって、 起業家として重要な素養は何でしょうか。

1つ目は、「何かを作らずにはいられないマインドセット」だと思います。

与えられた仕組みや枠組みの中で生きるのではなく、その中で何かを作り出さずにいられない。言葉より先に手が動く。そんなイメージです。

プロダクトに限らず何でも良いのですが、この「新しいものを作らずにはいられない」という資質が最も重要だと感じています。

 

福島 良典/1988年生まれ
東京大学大学院工学系研究科卒。大学時代の専攻はコンピュータサイエンス、機械学習。 2012年大学院在学中に株式会社Gunosyを創業、代表取締役に就任し、創業よりおよそ2年半で東証マザーズ(現東証グロース)に上場。後に東証一部に市場変更。 2018年にLayerXの代表取締役CEOに就任。 2012年度IPA未踏スーパークリエータ認定。2016年Forbes Asiaよりアジアを代表する「30歳未満」に選出。2017年言語処理学会で論文賞受賞(共著)。

 

2つ目は、「既存の仕組みを疑うマインドセット」です。

今の世の中はよくできていて、例えばペットボトルの水一つを取っても、多くの人の工夫によって非常によくできた仕組みの中で作られています。

その前提を理解したうえで、既にあるものを当たり前に受け入れるだけではなく、そこに疑問を持つことが大切です。「ペットボトルにはなぜラベルがついているのだろうか? ECで売る場合もラベルは重要なのか?」「そもそもペットボトルはなぜこの形をしているのか?」「水を売る場所を変えることで違う付加価値をだせないだろうか?」など、常に自分が当事者であったらどうするか、当たり前に見えるこの形もなぜそういう形に行き着いたのかを考え続けるイメージです。

ビジネスを立ち上げる際には、(例えば) AIの急速な進化でどんな前提が変わるのか、人々の価値観の変化を敏感に感じ取り、物事の本質を探求し続けられる。そういった「既存の仕組みを疑うマインドセット」が重要です。

3つ目は「リスクを取ってやってみるマインドセット」です。

私は起業していますが、幼少期に特別な経験があったかと聞かれると、起業のためになにか特別なトレーニングを積んでいたわけではありません。

大学生まではごく普通の学生でした。ただ、いろんな偶然から学生起業を決断して、それが自分の人生の転換点になったんですよね。

良い会社に入れば研修を受け、営業はこう、開発はこうと教えてもらえるかもしれない。でも起業家は誰も教えてくれません。自分で考え、必要な知識は自分で取りに行く。当然ですが、起業家というのは誰かに教えられる立場ではなく、結果で証明していく立場なんです。

そういう中で、やってみて学び、リスクを取ってプロダクトやビジネスを形にしていく。これの繰り返しが、起業家です。

理論以上に、実際の体験や、まずはやってみる、リスクを取って始めてみるというマインドセットがとても重要だと思っています。

小さなことでも構いません。何かをやって変化を起こした経験が積み重なっていくこと。それこそが起業家そのものだと思いますね。

 

現代の起業環境では、リスクゼロでアップサイドしかない

ーー起業を志す際に、リスクを恐れてしまう方も多いのではないかと思います。福島CEOはリスクに対してどのように向き合われたのでしょうか。

人それぞれ様々なリスク許容度がありますが、まず自分がリスクだと思うラインがどこかを自己認識することが大事です。世間一般で言われているリスクは「失敗したら恥ずかしい」みたいなことを言っているだけだと思うんです。

例えばこの国では、借金をして起業する場合は別として、エクイティで起業して失敗したとしても、死ぬことは絶対になく、生活できなくなることも決してありません。

「これをやって死ぬことがあるだろうか」「これをやって一生かけても償えないような迷惑を人様にかけることがあるだろうか」と考えると、そういったケースはほとんどないんです。

だからこそ、現代の起業環境において、リスクはゼロでアップサイドしかないと私は考えています。

もちろん、起業した後、やるべきことをやり切る前提での話ではありますが。やりきるかどうかはリスクの話ではなく、自分の姿勢の話です。

確かに、起業しなければより高い生涯年収を得られたかもしれないし、あるいは別の優良企業でキャリアを積めたかもしれません。でもそれって本当にリスクなのでしょうか?
人生は一度きり。

何と言われようともやりたいことがある人にとっては、最低ラインを「生き残ること」に置けば、多くのリスクは取るに足りないものだと私は考えています。

 

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古家 広大

古家 広大

早稲田大学卒業後、三井住友信託銀行に入行。 広島にて個人向けFP業務を行った後、大阪にて法人RMを経験。非上場からプライム市場の企業まで担当し、融資や不動産など信託銀行の幅広いソリューション営業に従事。また、ESGやSDGsをはじめ、CGC改訂への対応支援も行い、グローバルで勝ち続ける企業への成長を非財務領域も含めてサポート。 2022年DIMENSIONに参画。LP出資者からの資金調達と国内スタートアップへの出資・上場に向けた経営支援を担う。

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