
#M&A
「これからの食卓、これからの畑」を企業理念に掲げ、食に関する社会課題をビジネスの手法で解決するオイシックス・ラ・大地株式会社。安心・安全に配慮した農産物、ミールキットなどの販売だけでなく、移動型スーパーや給食事業など、幅広く事業を展開する同社代表取締役社長 髙島 宏平氏に、起業家に必要な素養や、M&Aや経営統合のポイント、今後の事業展開についてDIMENSIONビジネスプロデューサーの古家 広大が聞いた。(全4話)
ーー2020年コロナ禍での宅配需要急増などを経て、事業や組織が急拡大されたかと思います。変化への対応、着実な事業成長のためにどのような点を意識されていますか?
経営には「有事」と「平時」があります。コロナウイルスの流行や東日本大震災は、完全に「有事の経営」ですよね。
このような時は、お客様の環境も激変するし、働き方やBCP(事業継続計画)を含めた企業存続の仕方も激変します。
でもそういった有事のときこそ、「起業家」の出番だと私は考えています。
既に出来た会社に選ばれたサラリーマン経営者と起業家とで一番異なるのは、この「有事の経験値」ではないでしょうか。
起業家は、何が社長の仕事か、何が事業の未来なのかも正解がよく分からないまま、がむしゃらに一から会社を創り上げています。
このような起業家にとって、世の中の環境が変化するタイミングはむしろチャンスとなります。当社も「有事」のタイミングで業績を伸ばしてきましたし、これは起業家全般に言えることです。
有事が起きると、基本的にピンチとチャンスの両方が発生します。そして、普通の人はピンチに目を向け、起業家はチャンスに目を向ける。
コロナ禍も含め、私は有事の際は「どんな新しいオポチュニティ(機会)が生まれるか?」という目線で事象を見ているので、苦労をした感覚もありません。
このような考えに至った1つのきっかけは、鈴木敏文さん(元セブン&アイ・ホールディングス会長)との会話です。鈴木さんはもう退任されましたが、「セブン-イレブンをつくった」方です。
小売業は一般的に、消費税が上がると安売りセールなどを実施します。
そんな中、セブンイレブンだけは消費税が上がったときに、「金の○○」でおなじみのハイブランドシリーズを次々と出し、「逆張り」によって業績を伸ばしました。
この事例に感銘を受けて鈴木さんに話を聞いたのですが、彼は「すべての変化がチャンスだ」と言いました。
逆にどのような時がピンチか、と聞くと「変化がないこと」だと。
「世の中の変化が止まったら、怖くてしょうがない」と。「ただ、今のところ変化が止まったことは無いから、全てにチャンスがある」と仰ったんですよね。
この考えは、事業規模とはあまり関係のない考えです。そしてセブン&アイ・ホールディングスという企業は、経営トップがこのような考えだから、巨大な流通業を作り上げたのだと痛感させられました。
変化が起きた時こそチャンス。
これはあらゆる起業家が共通して意識すべきマインドセットだと思っています。
ーー組織規模が一定大きくなると、変化への対応が得意な方とそうでない方もいらっしゃるように感じます。変化に迅速に対応していくために、意識されていることはありますか?
有事の際に私たちがよくやるのは、変化対応が得意な人を集めて「専任チーム」を作ることです。
そのチームのメンバーには、普段の仕事は全くやらずに、働き方やお客様の変化対応等に専念してもらいます。このメンバーが、厳しい状況を乗り越えながら、チャンスを見つけ、道筋を作っていきます。
例えば、東日本大震災のときは放射能の問題がありました。社会全体が「野菜が怖い」という空気になってしまったのです。
私たちはこのとき、日本で初めて、対象商品の全品の放射性物質検査を実施しました。
放射能検査機器が日本では手に入らなかったので、専任チームをつくり、中国やアメリカに派遣しました。「機器を入手するまでは帰ってこなくていいですよ」と優しく送り出したら、しっかりと手に入れて帰ってきてくれましたね(笑)。
この事例は当時の菅直人内閣総理大臣にも注目いただき、私たちの取組みがオープンにされることで、様々なスーパーマーケットでも放射能検査が実施されるようになりました。
機器を手に入れるまでにどのような苦労があったか、私にはわかりません。しかし心身ともにタフな「専任チーム」がいたからこそ、変化に柔軟に対応できたのだと思います。
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