ギフトEC「TANP」流。資金調達・マーケティングにつながる「伝える力」の磨き方 Gracia 斎藤拓泰CEO(第3話)

贈りたいものがみつかるギフト特化ECサイト「TANP」を運営する株式会社Gracia。2017年6月の設立以来、ギフトならではの「特別な体験」を創出することにより急成長を続け、2019年8月には総額5億円の資金調達を発表。2020年3月「お客様満足度 No.1 ギフトサイト」「No.1 ギフトECサイト」(出所:株式会社日本マーケティングリサーチ機構 2020年2月期インターネット調査)にも選出された。大学在学中に同社を創業した代表取締役CEOの斎藤拓泰氏に、起業家にとって重要な素養や、TANPが目指す未来像について聞いた。(全4話)

「投資家の視点」は成長機会の塊

ーー2019年8月に5億円もの資金調達に成功されています。資金調達を成功させる上でのポイントがあればお聞かせください。

まず前提として、なぜ資金が必要なのか、という理由づけをクリアにすることが大切です。

私たちの場合、ギフトの質と回数を向上させ、日本を代表するギフトプラットフォームをつくることをミッションとして掲げています。そうすることが、人のつながりを豊かにし、人を幸せにすると本気で考えているのです。

資金調達は目的ではなく、あくまでビジョン実現の過程に過ぎません。ビジョンを実現する上でどれくらい資金が必要か、その資金をどうやって調達するか、という順番で考えていくのが大切です。

 

ーーとはいえ、これだけ大きな金額を調達される上で成功ポイントがあったのではないでしょうか?

特別なことは何もしていません。

自分たちのやりたいことが何で、それに対してどのような戦略・計画を持っていて、現時点の実績がどうかというのを素直に説明していくのみです。

ただ一つあるとすると、投資家の方にはたくさん相談にのっていただきましたね。

投資家が客観的に会社のことを見たときにどう感じるか、どうすれば理解してもらえるのか、投資したいと思ってもらえるか。自分たちのやり方に固執するのではなく、実際に投資家に話を聞いて、改善を繰り返すのが一番の近道です。

 

ーー投資家からのアドバイスで、具体的に印象に残っているものはありますか?

市場におけるKSF(Key Success Factor)が何で、それを達成するためにどうするのか、というのをわかりやすく言語化・体系化する点でしょうか。もちろんすべて初めての経験でしたが、手取り足取り教えてもらう中で、徐々に事業に対する解像度も、表現スキルも上がっていきました。

おかげでたくさんの投資家の方々に投資いただいていますが、教えていただいた投資家の皆さんには感謝しかありませんね。

 

「ギフトと言えばTANP」を目指す

ーー現在、TANPは認知度もかなり高まってきていますが、マーケティング戦略を立てる上でのポイントをお聞かせください。

最終的に目指している姿はギフト界における「第一想起」をとること。つまり「ギフトと言えばTANP」と言われることです。

その手段としてTVCMやインフルエンサータイアップといったプロモーションや、ギフトラッピング、即日配送といったカスタマーエクスペリエンス・ブランドイメージの向上など、すべての施策が複合的に組み合わせています。

我々が意識している軸は3つ。「どのタイミングで」「誰によって」「どう訴求するか」。

現在、特に注力しているのは「認知」の部分。ギフト購入の機会がある方に対して、TANPという選択肢を知っていただくことです。なので、バレンタインやクリスマスといったシーズンイベントに合わせて、適切な人をアサインし、適切な訴求方法でアプローチできるよう工夫しています。

これは我々も日々仮説をブラッシュアップしながら、まさに試行錯誤している部分です。

 

ーーカスタマーエクスペリエンスの向上が鍵かと思いますが、その点で御社が工夫されているポイントはありますか?

お客様からのレビューは、全社のSlackに常に流れていくようになっています。やはりお客様の声が第一なので、その把握は徹底していますし、即座にサービス開発にフィードバックする仕組みができています。

また、ラッピングなどのオペレーションも、サービス規模に応じて変化させ続けています。そのフェーズごとに、最適解を自分たちで考え、改善を繰り返しています。

その上で、お客様が「次に」望むことを提案することも意識しています。

人は自分が想像できる範囲でしか物事を考えることができません。なのでお客様の声ばかりを見ていても、「想像の外」に踏み出すことはできないのです。

資金調達とマーケティングに通ずる部分として、まずはお客様の声に耳を傾ける。その上で、「想像の外」を提案する。これが物事の価値を人に「伝える」上で大切にしているポイントです。

 

 

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著者 伊藤紀行

著者 伊藤紀行

DIMENSION Business Producer:早稲田大学政治経済学部卒業、グロービス経営大学院経営学修士課程(MBA, 英語)修了。 株式会社ドリームインキュベータからDIMENSIONファンドMBOに参画、国内のスタートアップへの投資・分析、上場に向けた経営支援等に従事。主な出資支援先はカバー、スローガン、BABY JOB、バイオフィリア、RiceWine、SISI、400F、グローバ、Brandit、他 全十数社。 ビジネススクールにて、「ベンチャー戦略プラン二ング」「ビジネス・アナリティクス」等も担当。 著書に、「スタートアップ―起業の実践論 ~ベンチャーキャピタリストが紐解く 成功の原則」

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