
#起業家の素養
「知識・スキル・経験」といった得意を売り買いする日本最大級のスキルマーケット「ココナラ」。2012年のサービスリリース以来、順調に成長をし続け、ユーザー数190万人(2020年10月時点)、累積取引件数も480万件(2020年9月時点)を超えるなど、知識・スキル・経験を売買できる国内最大級のマーケットプレイスに成長している。同サービスを牽引する株式会社ココナラ 代表取締役会長 南章行(みなみあきゆき)氏に起業家としての素養、事業立ち上げなどについて聞いた。(全6話)
ーー先ほどお話された起業家にとって重要な素養をどのようにして南さんは身につけられたのでしょうか
1つめの「自分への深い理解」、これは前職のアドバンテッジパートナーズに転職した最初の数年が大きな転機となりました。
何があったかというと、周りのメンバーが優秀すぎて、自分の無能さを突きつけられたのです。入社から1年で「このままだとクビ」と宣告されるほど、絶対的劣位な状況に追い込まれました。
そんな極限状況の中で何としても価値を出そうと考えたときに、「自分の中の相対的優位な部分」をなんとしても見つけ、レバレッジするしかないと考えました。
ーーどのような部分が自分の強みだと考えられたのでしょうか?
それまでは知識やスキルといった「ハードスキル」がビジネス上の能力だと考えていました。例えばファイナンス知識や資料作成スキルといったものです。しかしそういった部分では、何一つ勝てるものが無かった。
そこで着目したのが人間性といった「ソフトスキル」の部分。実は人よりも懐に飛び込んで交渉できる、みんなを巻き込んで勉強会などをやりながら知識を増やすことができる、といったものです。
いち個人のハードスキルでは勝てなくても、ソフトスキルを使って良いチームを作ることができれば活躍できるかもしれない。
そうやって自分の性格やスタイルを深く意識し、自分なりの成長方法、勝ち筋が見えてきたのがその前職時の経験でした。その経験はいまの経営スタイル、そして人生設計にもいかされています。
ーー極限の状態に追い込まれてはじめて、本当の自分の強みと向き合うことができたわけですね。
日本の教育や人材育成って「弱みを潰す」ことばかりに目が奪われがちですよね。苦手なことを克服したら、その先に幸せが待っているというようなことを刷り込まれている。ゆえに自分の強みをわかっている人が意外と少ないんです。
ではいざ強みが何かと考えたときに、ありがちな方法として「強みの反対が弱み」という考え方がありますが、私はそういう捉え方をしません。私は「強みの反対は消耗」であると考えているんです。
ーー「消耗」とはどういうことでしょうか。
Will(やりたい/やりたくない)、Can(できる/できない)の4象限で考えるとわかりやすいかもしれません。
この4象限の中で「消耗」とは「できるけど、やりたくない」の部分。実はここを強みと捉えて戦ってしまっている人がすごく多いのです。
例えば私は前職で鍛えられたので、資料作成が社内メンバーの中では相対的に得意な方だと思います。では資料作成が自分の強みかというと、そうではない。なぜなら、資料作成は「できるけど、やりたくない」ものだからです。そういうワクワクしないことをやり続けていくと、次第に「消耗」してしまうのです。
では本当の「強み」とは何かというと「できるし、やりたい」ことなんです。
例えば、私はエクセルで計算モデルをどれだけ触っていても苦にならないどころか、むしろ時間が過ぎるのも忘れるくらい楽しくて幸せです(笑)。自分が他人よりも圧倒的に関数に詳しいということではないけれど、自然とできて、やっていて楽しい。実はこういうものが本当の「強み」だと思うんです。
自然とできちゃうゆえに気付きにくいのがこの「強み」の性質。なので過去の仕事を振り返って楽しかったこと、あるいは人より自然にできたことを意識的に探すと、自分の強みに気づくことができると思います。
私もその視点を持てるようになってから、自分の「強み」を明確化できるようになり、ビジネスパーソンとしてのレベルも、幸福度も上がったと感じています。この記事を読んでいるみなさんも、ぜひ自分の本当の「強み」を見つけて幸せになってほしいですね。
第3話>国内最大級スキルマーケット「ココナラ」創業ストーリー ココナラ 南章行会長
第1話>起業家の素養は「自分への深い理解」から全て始まる ココナラ 南章行会長
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DIMENSION 編集長
「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。
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