#海外展開
月間200万人が利用する買取価格比較サイト「ヒカカク!」を始めとしたサービスで急成長中のジラフ。学生起業家として同社を立ち上げた麻生輝明氏と、創業初期メンバーの柴田雅人氏にこれまでを振り返っていただき、若手起業家ならではのベンチャー論を語っていただいた。(全3話)※本記事は2017年5月に実施したインタビュー内容を基に編集しております。
自分の不満こそが、世にないサービスを生み出す起点になる
――まず始めに、自己紹介と手がけられている「ヒカカク!」について教えてください。
(麻生)ジラフの麻生です。一橋大学在学中の2014年に創業し、会社は5期目になります。
「ヒカカク!」というのは買取価格の比較サイトです(リンク)。例えば自分のスマートフォンを買い換えるタイミングで古いスマホがいくらで売れるのか、買取価格を業者ごとに比較できるサイトです。スマホ買取では業界トップクラスで、その他にも古本、時計、美術品、トレカなど約50品目の比較が行えます。
麻生輝明 Teruaki Aso/1992年生まれ。2014年、一橋大学在学中に株式会社ジラフを創業。売却プラットフォームサービスである「ヒカカク!」のプロダクトマネージャーを務める。累計約7億円の資金調達に成功しており、TLM、ドリームインキュベータ、メルカリなどから出資を受ける。2017年3月にはポケラボ(2012年にグリーに138億円で売却)創業者の佐々木氏が経営チームに参画。社員数は80名(2018年12月現在)
――創業のきっかけとなった原体験はどのようなものでしょうか?
(麻生)学生時代に自分のiPadを売ろうとして、一番高く買ってくれる業者を探そうとしたのですが、そもそも買取業者のサイトやお店を一つ一つ見なきゃいけない、見積もり比較もできないと、不便・不満なことだらけでした。
こんなに不便なら自分でサービスを作ってしまおうということで、業者の買取価格を収集してサイトにまとめたのが、「ヒカカク!」の原点です。モノを買うという意味では楽天、Amazon、カカクコムなどの巨人がいましたが、売るという領域ではオークションなど売却に時間がかかるものを除き、ネットにおける大手プレイヤーが不在だったことも創業の後押しになりました。今思えば、不満こそが既存サービスでは対応できないニーズを知るヒントになったのでしょうね。
――とはいえ創業初期はかなり苦労されていましたね。
(麻生)学生で起業したため、とにかくお金が足りない(笑)。あまりに足りなかったので、当時は「合同会社」ヒカカクとして資本金14万円で設立しました。雑司が谷のマンション一室を借りて、ネット経由でテーブルや机を無料で譲り受け、深夜まで働き、そのまま布団で寝るという生活を半年ぐらい続けていました。
――学生で起業した決め手はなんだったのでしょうか?
(麻生)元々はベンチャーキャピタル(以下VC)に就職しようと考えており、内定も頂いていました。最初は学生のうちに事業を作って売却できないかな、ぐらいの軽い気持ちだったのですが、いざ事業を始めてみると「撤退すると思われるのは悔しい」、「就職して進むより、このまま事業をやったほうが面白い」と思うようになり、休学して事業に専念することを決意しました。当時、相談をしていたヤフーの小澤隆生さんから受けた「サービスを作りなさい」というアドバイスも後押しになりました。
――ここから手がけられている「ヒカカク!」について伺います。初期にスマートフォン買取に特化した理由は?
(麻生)多少悩みましたが、数ある買取商品の中でスマートフォンは以下の条件を満たしていたことが注力の決め手でした。
・みんなが持っている(=規模が見込める)
・高価格(=中古売買のニーズがある)
・型番がある(=何の商品か、特定しやすい)
2014年創業当時は「MVNO」「格安スマホ」という言葉が出始めた時期で、俯瞰的に見てもスマートフォンを起点とした買取ビジネスが伸びると考えました。
社名であるジラフの由来も首の長いキリンのように視座を高く持って、リユース業界の未来を予想し、事業展開していきたいという想いが込められています。
「攻め」に集中できるのは、「守り」を任せられる人がいるから
――その創業から1年後ぐらいに、現スママ事業責任者の柴田さんが入社されましたね。
(柴田)私は新卒でグリーに入社し、投資管理業務を担当していましたが、入社して1年経った頃から、「自分で事業をやりたいな」と思うようになりました。そんな頃、知り合いのVCの方の紹介で麻生と出会い、色々と話を聞いているうちに麻生にも事業にも興味を持ち、その日のうちにジラフへの入社を決めました。ベンチャー社長と会ったのは1人目でしたが、その時点で「ヒカカク!」は既に月間20万人のユーザーを抱えており、自分がやれることも多そうだったので、即決でした。
比較サイトの会社なのに、入社先は比較せずに済みましたね(笑)。
柴田雅人 Masato Shibata/1991年生まれ。小学生時代をボストンで過ごし、早稲田大学国際教養学部卒業後、グリーに入社し投資管理業務に携わる。その後ジラフに参画、創業初期から会社登記、労務管理、資金調達、投資契約などの実務全般を統括しており、社長の女房役としてジラフを支える。
――柴田さんが参画された2015年は雑司が谷で資金調達用の資料やスマートフォン型番の名寄せを行っていた時期ですね。
(柴田)元々管理業務をやっていたこともあって契約書の作成は土地勘があったものの、登記、調達資料作成から、営業での契約書作成まで、とにかく走り続けていた時期です。
(麻生)ちょうど会社が伸びてきて、登記や契約書類が増えてきた時期で、パートナーがいないと回らないと感じていた時期でした。その中でどんな仕事もやろうとする献身さを持ち合わせていて、かつアーリーフェーズでそこまで給料を出せない中でも対応してくれる人というのは母数が少ないので、柴田が入社してくれたのは運がよかったと思います。
――当初は営業も麻生さん・柴田さんで奔走したと伺いました。
(麻生)実は、そもそもどうやって営業をやるのか、契約書を作るのか、お客さんに入金してもらうのか、経験したことが無い中でのスタートでした。
まずは営業マンを採用して、イロハを教えてもらいながら、徐々に営業を始めていくという順序でやっていました。実際に営業してみると、買取業者であるお客さん自体がネットに距離を感じている人が多く、最初は送客の成果を認識してもらわないと契約継続してもらえませんでした。そこで月間課金という最初の方針を切り替えて、成果報酬を主力として売り込み始めました。おかげで徐々にサービスの効果を実感頂けるようになって、今に至るまでの継続契約に結び付いていると思います。
――その結果として、徐々に人が増えて「労務設計もやらねば」となるわけですね。
(柴田)そうですね、急に人が増えて労務周りをどうするかというのもゼロからやりました。最初は手探り状態でやり始めたわけですが、合理的に考えたらこうあるべきだよねというところから逆算して設計していきました。法律は合理的に作られてるので、まず条文を理解しながら専門家に相談しつつ、会社・メンバーにとって一番いいやり方は何だろうかを考えたのが今のジラフに繋がっていると思います。
(麻生)柴田が仕事を選り好みせずに、会社全体の半分近くの仕事をやってくれたというのは大変助かったなと。彼が実務的なことをこなしてくれることで、空いた時間を採用や営業などの「攻め」に使えるようになって、会社が伸びるようになったなと感じています。
>第2話「20代経営者が語る資金調達のリアル」に続く
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DIMENSION 編集長
「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。
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