国立医大生がVCで1年間フルタイムインターンをしてみて 第2回~VCで学んだ4つのこと~

はじめに

皆さま、こんにちは。
広島大学医学部医学科4年の宮﨑 雄大(みやざき ゆうだい)と申します。

私は国内ベンチャー投資ファンド・DIMENSION(ディメンション)にて大学を1年間休学し、フルタイムインターンとして働いております。

普段、こちらの「起業ノウハウ」ではDIMENSIONのビジネスプロデューサーより、起業に役立つ知識や、スタートアップが事業拡大する上で役立つノウハウをお届けしておりますが、今回は番外編として、国立医大生が独立系VCで働くことで得た学びや業務内容、そしてなぜ大学を休学してインターンをしているのかについて、全3回でお話しします。

私は医学生ですので元々ぼんやりと「医師になるのだろう」ということを思っておりましたが、DIMENSIONでのインターンを通じて「絶対に医師になる」と確信すると同時に「ずっと医師を続けることはないかもしれない」と考えるようになりました。

この3回の連載を通じて「VC(DIMENSION)で働いてみたい/インターンしてみたい」という方はもちろん「何をすればよいか迷っているという大学生〜20代の方々へ(もちろん30代以降の方へも)、意思決定のヒントとなることを祈っております。

第1回では「医学部を1年間休学してVCにてインターンを始めた経緯」について掲載しましたが、
思いのほか、様々な方から「とても良かった、第2回も楽しみにしている」と言っていただき大変嬉しく思っております。それと同時に、読者の皆様へ面白いと思っていただけるような内容をお届けしなければ、と身の引き締まる想いです。

さて、第2回は「VCで学んだ4つのこと」についてお話します。

私はこの1年間毎日オフィスに通って朝から晩まで業務する、という形で働かせてもらっております。(ほぼ社員です(笑))

私の担っている業務については、大まかに以下の5つになります。
・出資先候補のソーシング・デューデリジェンス(DD)
・市場・企業の調査レポートの作成
・投資委員会資料作成
・投資先定例MTGの議事録作成
・DIMENSIONのオウンドメディア「DIMENSION NOTE」の編集・配信

ここでの「学び」というものは「VC(DIMENSION)」の現場で得た学びであると同時に、私が将来所属する予定の医療業界はもちろん、どの業界・産業においても価値あるものに違いないと強く感じたものを抽出して順にご紹介します。

1,「愚直なスピード実行で差を生む」
2,「1日10個失敗しろ」
3,「全ては「相手」が起点」
4,「スタンスを取って物事を進めよ」

これらは単なるTipsやテクニカルなものではなく、「物事に向かう姿勢や意識」であり、必ずしもVCに所属しているから学べるものではないことはご容赦ください。

 

1,「愚直なスピード実行で差を生む」

これはDIMENSIONの行動指針「7WAYS」の中の1つです。(7WAYSの詳しい内容はこちら

”Done Is Better Than Perfect”とMeta創業者のマーク・ザッカーバーグが記した、というのは有名ですが、スピードは最終的なアウトプットの質の向上に直結します

ただ早ければ良いのではなく、脳みそをフルに使ったスピード実行が差を生むのだと日々のVC業務に携わる中で実感しました。

例えば、多くのVCでは投資検討をさせていただく際、スタートアップ企業から会社説明の資料をいただき、初期的なDDを行います。

その際、事業領域やビジネスモデルが複雑であればあるほど、リサーチするべき内容は膨大なものになります。(平気でピッチデッキが100枚を超えることも)

インターンを始めたてで右も左もわからなかった自分は、いただいた資料を全探索的にインプットし、自分なりに必要だと思う部分を抽出して資料へ落とし込む、といった手順を踏んでいました。

しかし作った資料を元に、家弓さんとMTGをすると、よくこのような指摘をもらいます。
この情報いらない、これもいらない、それもいらない

なぜこういった事態が起こるのか。

理由はとてもシンプルで

「そもそもの経験値・スキルが全く違う」

ということです。

実際に多くの伸びる事業を見てきた彼らの目からすると、私が重要だと思う部分は当たり前に重要ではなかったのです。また、DIMENSIONが考える「伸びる事業」に共通するフレームワークが頭の中で構築されている、というのもあると思います。

日々いただいたフィードバックを元に、重要な部分はどこで、重要でない部分はどこか、個別企業の具体的な事例から抽象化させ、活きた形の知識として自分の中に貯めていきます。

そして貯めた知識を、違う企業をDDさせていただく際に用いて、確実に自分の思考の武器の1つにします

(キャピタリストの方のお時間を頂戴し大変恐縮ですが)先輩方のフィードバックをもらっていくことで、そこからかなり有益で実のあるPDCAを回すことが出来ます。

そしてこのPDCAを超高速で回す「量」を組み合わせれば、更に自分の成長を加速度的に上昇させられるのだと日々実感しています。

 

2,「1日10個失敗しろ」

これは1の「愚直なスピードが差を生む」に通ずる部分があります。

私はVCインターンを始めた1週間後に、取締役の鈴木修さん(普段修さん(おさむさん)と呼んでいるので、本文でも「修さん」と表記させて頂きます。)と初めてお話した際、「1日10個失敗してね」とまさかのアドバイスを頂きました。

これはどういう意味なのか。

「1日に10回も失敗?いっそ失敗のプロになるか。」

と最初は思いました。

ただ「10回」というのはもちろん比喩で

「最初のうちにとにかく失敗して実力をつけろ」

ということだと思っています。

失敗することで当然ですが、「何が」「どのように」ダメだったのか学びます。
そして学んだ分、次の行動の成功確度は確実に高まります。

修さんはこの「学ぶ回数」を極限まで増やして、将来に向けて実力をつけてほしい、といった意味で仰っていたのだと思います。

私が今後、医療の世界、もしくは違う世界にいくとしても、新たな環境ですることは

とにかくチャレンジと失敗を重ねて、何がベストか分別のつく人間になる

これに尽きると考えています。
(医療の世界では特にですが、絶対にしてはならない失敗ももちろんあります)

 

3,「全ては「相手」が起点」

VCは、出資先や出資検討先、LPの皆様、社内のメンバー、など社内外あらゆる方々との密な連携の上に存在しています。

その中で大切なことは「常に相手の視点に立って」物事を進めること。

相手が何を求めているのか、このアクションを取ったらどう思うのか、どんな目的で自分にこういった発言をしているのか、を極限まで考えることです。

これは想像以上に難しく、機転が効かない(と自己認識している)自分にとってはかなり難易度の高いことでした。

例えば資料作成1つをとっても、私は当初「まとめ作業」に徹しておりました。

しかしそれはキャピタリストの求める資料ではありません。

キャピタリストは私の作った資料を通じて「意思決定」をしたいのです。その意思決定の材料としての資料を欲しているのです。

では私はどのように資料を作るべきなのか。それは「まとめ」ではなく、「意思決定に必要な素材が簡潔にまとめられた資料」です。

これは個人的にはかなりクリエイティブな作業だと、日々痛感しています。

相手が「何を欲しているのか」を相手の一挙手一投足から頭をフル回転して考え、仮説を立てて、実行に移すのです。

しかもそれは、少ない判断材料からある種「決め」て動く必要がありますし、プロジェクトの進行具合で逐一変わっていきます。

ただDIMENSIONにはこういったことを、息を吸うように実行できる猛者が集まっております。

その度に私は「すごい。相手がやりたかったこと(勘所)を先回りしてやっている。。。」
と感動しています。

「人との連携」というのは組織に属している限り、必ず必要になります。

私が将来、所属する医療の現場は医師・看護師だけでなく放射線技師や臨床検査技師など、あらゆる専門性を持ったチームで構成されています。

患者さんに有益な治療を施していくことを目指して行動していく中で、常に「相手の視点に立って考える」ことは、間違いなく多様なバックグラウンドを持ったメンバーが集まる医療の現場でも活きてくると考えています。

 

4,「スタンスを取って物事を進めよ」

経験や業界知識がないただの大学生であった私がキャピタリストを相手に「自分は賛成or反対、なぜなら…」と、スタンスを取ること。これは相当難しいことでした。

そもそも恐れ多いですし、自分の発言や意見が的外れな可能性が高いため、可能であれば自分が知識やバックグラウンドが劣っているシーンで意見したくない、そのように思うのが普通なのではないかと思います。

では賛成でも反対でもない当たり障りのないことを並べたとしましょう。
もしくは単なるファクトだけを並べて、そこからの考察やインサイトを1つも出さなかったとしましょう。

聞いている側からすると、「結局だから何が言いたいの?(So What?)」となります。

例えば、初期DDをさせていただく際、資料の最初に約3~4行ほどで自分の意見のサマリーを述べてから、その企業の詳細な内容へと移ります。

つまり、資料の冒頭で私はその企業に出資させていただくべきかどうか、スタンスをまず取るのです。

これを判明させたうえで議論を進めなければ、その後更なる検討に進められるかどうか、キャピタリストの側も判断に時間を要しますし、そもそも議論を始めるに至りません。

加えて、この「スタンスを取る」ということを難しくする大きな要因の1つとして、現状、手元にある限られた情報を元に「決め」なくてはいけないという要素が大いにあります。

しかもこの「決め」を先送りすると、出てくるアウトプットは時間をかけた分、熟成された秀逸なものになるのとは真反対に、視点は狭く、思考が固まって質の低いものとなる可能性が非常に高いです。

遠慮せずに、自分のスタンス=リスクを取らなければ物事は進みません。

スタンスを取った結果、物事は進み、先ほど1で述べたPDCAを回すことで、より多くのケースで良い方向へ向かうはずです。

またこのことは自分のためだけではなく、相手のため、組織のためにも非常に重要な事だと考えています。

 

おわりに

今回は「VCインターンで学んだ4つのこと」をお伝えしました。

こう書き直してみると、4つの項目に分けたものの、4つが全て独立して存在しているのではなく、有機的につながっているのだと認識できたことに今、改めて驚いております。

次回は「国立医大生がDIMENSIONで1年間インターンをしてみて感じたこと」を書く予定です。

そちらもぜひお読みいただけると嬉しいです。

 

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