基礎から学ぶ!起業の手順書 第1回 会社設立の手順

はじめに

みなさま初めまして。独立系ベンチャー投資ファンドDIMENSIONの家弓と申します。

本コラムでは、起業からEXITの時間軸に沿って、事業推進の論点になり得るポイントを網羅的に紹介していきます。当連載を順番に読めば、検討すべき項目を抜け漏れなく把握できる、そんなコラムを想定しています。創業前の方は第1回から、起業済の方は会社のステージに合う回からご覧頂ければと思います。

私共のナレッジの活用によって、真摯な起業家精神と、正しい事業構想を持つ起業家のみなさまが、少しでも効率的に事業を推進されることを願っています。

初回の本稿では、初歩の初歩、会社設立の手順についてご紹介します。

起業のアイデアはあるけれど、起業の仕方がよく分からない、大変そう、調べる時間もない・・そんな方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。逆に、起業の仕方が分かったことで、アイデア出しに俄然やる気が出る方もいらっしゃると思います。本稿が、そんなみなさまのご参考になれば嬉しいです。

 

手順の全体像

まず、手順の全体像は以下の通りです。作業開始から会社設立完了まで、期間は3~4週間、費用は20万円程度を要します。

 

社印と定款を作って、公証役場の認証を受ける。出資金を払い込み、登記書類(と、必要に応じて調査報告書)を作って、法務局に登記する。言ってみれば、会社の設立に必要な作業はこれだけです。会社の設立自体、意外とハードルは高くないことがお分かりいただけたのではないでしょうか。

但し、ただ会社を設立するだけでは事業を行うことはできません。各種機関に、事業開始のための届出を出す必要があります。主な届出書類を以下に記しますが、必要な書類は企業や自治体によって異なります。中には提出期限が短く設定されている書類もありますので、事前によくご確認下さい。事業内容によっては特別な許認可を得る必要もあるため、注意が必要です。

 

 

とは言え、上記全てをご自身で対応する必要はありません。士業の方に相談すれば、書類作成や登記、届出の代行を依頼することができます(5~15万円の費用が必要です)。主に、司法書士、行政書士、税理士、社労士に相談可能ですので、ご自身のビジネスに合った先に相談してみましょう。

 

なお、本コラムはスタートアップ(短期間で大きな事業を創る会社)を起業されるみなさまにお届けすべく作成しているため、会社の種類は 「株式会社」 を想定しています。主旨がぶれるので 「合同会社」 等との違いには触れませんが、スタートアップなら株式会社、とご認識頂ければと思います。

 

もっとも時間を振り向けるべき準備作業

簡単ですね、というのがご紹介したかったことの一つではあるのですが、一方で、会社設立にあたってみなさまがもっとも時間を振り向けるべき準備作業は、実はこれまで述べた登記・届出のあれこれではありません。

「仲間集め」、「事業計画作り」、「お金集め」。この3つが、会社設立にあたって本当に注力すべき検討項目です。

これらの検討にかかる期間は起業家によってそれぞれで、思い立った日に即行動に移される方もいれば(弁護士ドットコム 元榮太一郎会長)、熟慮断行、充分な時間をかけて練り上げる方もいらっしゃいます(レノバ 千本倖生会長ナイル 高橋飛翔社長)。

各項目についてのポイントは次回以降のコラムで詳しくご紹介予定ですが、本稿でも、簡単に頭出しをしておきます。

 

仲間集め:一人で起業をするのも、もちろん素晴らしいことです。ただ、困難な状況が当たり前のように続くスタートアップの創業にあたっては、背中を預けられる仲間を一人集めておくことが、成功確率を上げるとデータが示しています(Tom Eisenmanns氏 「起業の失敗大全 スタートアップの成否を決める6つのパターン」 )。実現したいビジョンと事業の可能性を説いて、目の前の一人を仲間に引き入れられるか。それは、その事業が今後、世に受け入れられるかをはかる一つの試金石にもなるかも知れません。

事業計画作り:創業から上場、或いはその先までの事業計画を描きます。このタイミングで精緻に書き上げる必要は無く、まずは高速にPDCAを回してPMF(プロダクト・マーケット・フィット)を目指すべき、というのが一般論ですが(田所 雅之 氏 「入門 起業の科学」 )、成功した起業家の中には、事業計画を予め緻密に設計されていた方も多くいらっしゃいます(じげん 平尾丈社長五常・アンド・カンパニー 慎泰俊社長)。正解はありませんので、立ち上げるビジネスのタイプやご自身の性格に合わせて、計画を立ててみて下さい。

お金集め:創業当初から売上のあるスタートアップは稀で、当面の運転資金は創業時から別途準備しておく必要があります。起業家自身の生活費が主ですが、他にも、賃料や人件費、机・椅子などの什器代も掛かってくるでしょう。最近は国や自治体からの融資、補助金も充実してきているため、積極的に活用されることをお勧めします。

 

ほとんどの起業家予備軍の方は、在学中、あるいはお勤めのことと思います。よって実際の起業手順としては、まずは学校や会社に行きつつ、上記3点の準備を進めていくことになります。そして目途が立った段階で、冒頭の会社設立作業に着手する、という流れが一般的です。

 

もし、起業について相談相手がおらずお困りの方がいらっしゃいましたら、お気軽に弊社メンバーまでご相談を頂ければ幸いです(お問い合わせはこちら)。起業家や起業家予備軍の方が集まるイベントも数多く存在しますので、是非足を運んでみて下さい(ICCサミットCIC Tokyo)。

 

【参考文献】
山田猛司 氏 「図解まるわかり いちばんやさしい会社の作り方 改訂版」
freee株式会社 「会社設立の基礎知識」

 

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