投資家目線での資金調達のリアル 第1回 VCとの出会い方

はじめに

皆さま、こんにちは。

国内ベンチャー投資ファンド・DIMENSION(ディメンション)のビジネスプロデューサー 古家(ふるや)と申します。
この度は、我々の起業家向けメディア「DIMENSION NOTE」に訪れていただき、ありがとうございます。

検索をすれば大抵のことは知ることができる現代ですが、その最先端をつくるスタートアップ業界の現場事情はなかなか知れないもの。かく言う私も、キャピタリストになる前にスタートアップやVC業界を調べたつもりでしたが、転職してみて1割も知れていなかったことに気づきました。

本コラムでは、投資家目線での考えを交えつつ、リアルな資金調達の解説をします。
こちらを読んで、キャピタリストの思考をご理解いただいた上で資金調達を始めると、スムーズに推進できると思います。
※ ファンドやキャピタリストごとにスタンスや方針は異なります。よって、この内容がどのVCに対しても必ず正しいわけではないことはご容赦ください。

今回は、資金調達(増資)の初手であるVCとの出会い方について。
いつ、どうやってVCと接触したらよいか、ご紹介いたします。

 

調達はいつ始める?出資=結婚!?

先日、起業家の集まるイベントにて、創業間もないとある起業家から質問をいただきました。
「調達の何カ月前からVC回りを始めるべきでしょうか。」

絶対的な正解はないですよね。
ただし、投資家目線でまず考えることは「検討する十分な時間が欲しい」ということです。

起業家にとっては、調達時期が早いと実績が積み上がる前なので、バリュエーション(=企業価値)交渉が苦しくなります。一方、遅すぎるとキャッシュが底をつく心配も出てきます。その上、「うち(交渉中のVC)が出資しないと倒産するんだから・・・」と条件交渉でも不利になりかねません。

一方、投資家にとって、出資検討期間とは「病める時も、健やかなる時も、そばで支え続ける」と誓う相手か検討する大切な期間です。

まるで結婚するかのようですね。

冗談のようですが、我々にとって起業家の伴走とは、それほど覚悟をして行っていることなのです。当然、数時間面談しただけでは出資判断はできません。よって、充分な検討時間があることは、出資における必要条件なのです。

では、実際にどれほど時間が必要か、バックキャストで計画してみましょう。

独立系VCのみから調達する場合、2カ月少々あれば問題なく入金にたどり着けます。

シード期に近いとデューデリジェンス(DD)を行うための材料が少ないので、1カ月半ほどで初回面談から入金に至るケースもあります。
しかし、デューデリジェンス(DD)のための資料が整っていない場合や、条件交渉が順調に進まない場合など、予定していた入金時期が遅れることもあります。また、出資を期待していたVCからデューデリジェンス(DD)や投資委員会を経て、残念ながら出資を見送られてしまう場合もあります。
その点も踏まえると、キャッシュが尽きる1~2カ月前入金の計画だと少し不安ですね。3カ月以上前に入金する計画をお勧めします。

一方、CVCや事業会社からも出資を受ける場合、独立系VCからの調達より時間がかかる傾向にあります。3カ月は必要と考えておくとよいです。

アーリー・ミドルステージでは、VC1社では調達する全額を出資しきれないため、複数社からの調達するケースが多いです。その場合、最も大きな金額を出資する投資家を「リード投資家」、その他の投資家を「フォロー投資家」といいます。

一般的にはリード投資家が主要な条件交渉を行います。一方、CVCや事業会社はリード投資家が前向き検討・投資委員会準備に入らないと、出資検討を開始できない傾向にあります。また、CVCや事業会社はデューデリジェンス(DD)や投資委員会(それと同義の会議)等のステップも多く、出資の最終決定までに独立系VCより長い時間を要します。

起業家にとっても、ピッチ回数やデューデリジェンス(DD)対応する数も多いので、早めからリード投資家探しを始めましょう。
では、VCと接点の作り方について、解説いたします。

 

どうやってVCと接点を持つ?結婚相手探しはFacebookから!?

胡散臭い見出し、失礼いたしました。

ほとんどのVCは非上場企業であり、調べても知ることのできる情報量はごく僅かです。また、複数ファンドを運営している場合、ファンドごとに諸条件が異なるので、HPやネット情報だけでは判断できません。

しかし、出資を受ければ、IPOやM&Aまで長く深いお付き合いになります。更に、共に苦難を乗り越えた後、起業家とキャピタリストは資本関係が無くても信頼できる一生の相談相手(≒結婚相手?)になります。私はそのような関係になれることを目指しています。

それほど、どこのVCから出資を受けるかは大切なことです。候補のVCを多くリストアップし、効率的にコンタクトしていきましょう。

まず、紹介してくれる人がいれば、紹介が最善です。しかし、紹介だけでリストを回り切れる方は稀です。

では、どうすれば効率的にVCを回れるのでしょうか。

個人的には、Facebook(Messenger)が正解だと思っています。
実は、キャピタリストのほぼ全員がFacebookをやっています。また、社外との主な連絡手段は、Messengerです。
これには情報管理に厳しい銀行出身者としては、大変驚きました。おそらく、キャピタリストはバイネームで仕事をするためレピュテーションリスクも考慮し、情報管理意識が大変強いのでしょう。

テクニカルな話ですが、「友達を追加」申請をした上でMessengerを送ると、見落とされるリスクは低くなるのでオススメです。
・古家とのご面談は、是非こちら
・DIMENSIONは他のメンバーも全員Facebookを利用しています。是非ご連絡ください。

Facebook以外のSNSではX(元twitter)をよく利用されているキャピタリストもいますが、Messengerの方がビジネス上の利用頻度は高いです。

他の手段としては、イベントにてVCと出会うことも可能です。
※ 前述の計画以上に時間的余裕がある場合がよい。イベント後、キャピタリストには同様の連絡が殺到すると、面談が先の日程になるため。

ICC(Industry Co-Creation)やIVSなど、大規模イベントでは各VCの代表者が登壇しています。登壇を見れば、そのキャピタリストの人となりを感じ取れます。
そして、登壇後も登壇者は大抵の場合は会場にいるので、名刺交換+簡単な事業説明をしましょう。ただし、登壇直後は名刺交換のための行列ができるので、話す内容を整理しておくと良いでしょう。少し間を置いてから接触すると、落ち着いて話ができるかもしれません。
そこでVCが関心を抱けば、後日の面談もスムーズに進みます。

また、HPの問い合わせフォームからコンタクトをする方法もあります。
DIMENSIONでは、HPの問い合わせフォームからのご連絡は全て確認される仕組みとなっています。
しかし、HPには起業家以外からも大量の連絡が来るので、VCによっては多くの問い合わせに埋もれてしまって見逃されてしまうこともあるかもしれません。

暫く様子を見ても返信が無ければ、Facebookからコンタクトしてみましょう。

事業を運営しながらの資金調達は大変で、経験者であっても容易ではありません。
しかし、将来を左右する大切な社長の仕事です。是非一度、お気軽に当社メンバーにご相談ください。

次回は、起業家との面談以降について、まとめさせていただきます。お楽しみに。

 

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