国立医大生がベンチャーキャピタルで1年間フルタイムインターンをして学んだこと 第1回~医学部を休んでVCへ~

皆さま、こんにちは。
広島大学医学部医学科4年の宮﨑 雄大(みやざき ゆうだい)と申します。
私は国内ベンチャー投資ファンド・DIMENSION(ディメンション)にて大学を1年間休学し、フルタイムインターンとして働いております。

普段、こちらの「起業ノウハウ」ではDIMENSIONのビジネスプロデューサーより、起業に役立つ知識や、スタートアップが事業拡大する上で役立つノウハウをお届けしておりますが、今回は番外編として、国立医大生が独立系VCで働くことで得た学びや業務内容、そしてなぜ大学を休学してインターンをしているのかについて、時系列に沿って全4回でお話しします。

私は医学生ですので元々ぼんやりと「医師になるのだろう」ということを、思っておりましたが、DIMENSIONでのインターンを通じて「絶対に医師になる」と確信すると同時に「ずっと医師を続けることはない」と考えるようになりました。

この4回の連載を通じて「VC(DIMENSION)で働いてみたい/インターンしてみたい」という方はもちろん「何をすればよいか迷っている」という大学生〜20代の方々へ(もちろん30代以降の方へも)、意思決定のヒントとなることを祈っております。

■DIMENSIONで働くまで

私の学生生活は子供の自由を尊重する両親の教育方針もあり、勉強三昧というより、甲子園を目指し本気で取り組んでいた野球を始め、色々なことに触れる機会が多かったです。

運動だけでも野球をメインにフットボール、バスケットボールはクラブチームで活動したり、中学では陸上競技にのめり込んだりと、多くのことに興味を持ち、とにかくやってみる、を今も昔も大切にしています。

18歳になり、進路に悩んでいた時、ひょんなこと(ドラマ:コウノトリ)をきっかけに医師を目指し始め、1年の浪人期間を経て、東京にある実家を離れて広島大学医学部へ進学します。

医師となった後、厚労省で医系技官として務める先生、シリコンバレーでブレインテック分野で起業している先生を知り、元々あらゆることに好奇心が旺盛であった私は、医師を志す一方で医師一筋の人生以外の道があるのではないか、と感じ始めておりました。そのなかでも特にビジネスにも興味を持ち始めていた私は「人々の生活を豊かにするものを事業として創る」ということに、憧れがありました。

そして大学3年生の春、ある授業で「VRを用いたら高齢者の認知症を改善することができる」ということを知りました。そこで同じ学科の機械好きな同級生とVRヘッドセットを購入し、工学部教授のお力も借りながら、一からプログラミング、3D物理エンジンの動かし方を学んで、簡単なVRプログラム(高齢者向けリハビリソフト、旅行ソフト)を作りました。

作成したソフト内の景色

その後、実際に認知症リスクのある高齢者の方へ体験してもらうため、高齢者施設、公民館など広島県内で合計50施設ほどと連絡を取り、結果200人以上の方に体験していただくことができました。
普段、施設の中で24時間暮らす高齢者の方々に対して、アメリカやイタリアといった海外、また二度と訪れることができないであろう宮島や尾道など、昔行ったことのある場所をVR旅行として体験していただき、感動してもらえたことは今でも「人々の生活を豊かにする」貴重な経験が出来たと自負しております。

ただ無料でVR体験をしてもらうことに対しては皆さんとても好意的なのですが、いざお金を頂いて実施しようとすると、全くうまくいきません。
ここでは長くなるので理由をすべてお伝えするのは割愛しますが、大きな原因の1つは「高齢者施設とそのご家族のニーズにVRが合致していない」ことでした。
無料で提供し続けるのには限界がありますし、持続可能な事業を創ることを目標としていた自分にとって、このVR事業の継続は厳しいものとなっておりました。

そこでこのプロジェクトを終わりにしよう、と決心すると同時に、自分のプロジェクトを含め「うまくいく事業ってなんだろう?」と思うようになり、事業が拡大するかしないかを精査するプロフェッショナルである「VC」という組織に興味を抱くようになりました。

まさにそんな時にWantedlyにてDIMENSIONの「VCインターン2days募集」というものを見つけました。(以下当時の実物)

これを見て(一般的な就職ということを考えたことのなかった)私はまず「25卒って?」となりました。調べてみると「25卒とは2025年から新社会人になる人たちのこと」ということがわかり、自分は全く対象外で一旦スルーしました。(加えて写真から百戦錬磨のプロビジネス集団な雰囲気もあり、この時点で恐れおののいていたのを覚えています)

ただそれと同時に、大学教授の貴重な時間を頂きながら1年以上もかけたプロジェクトをやめ、このまま医学部を卒業することに対して、言語化し難い違和感を感じておりました。

■「休学する」という意思決定

その後、私は大学の実習として、ある国立の研究機関にて実習することになりました。
国内でも有数の研究機関でしたので、その分野の第一人者の先生方が集まっており、最新の研究実績を有し、かなりハイレベルな環境で実習に取り組ませていただきました。

その研究機関では、多くの大企業やスタートアップとの共同研究や、臨床試験も行われておりました。
ぜひそういった研究の場に立ち会いたく思い、教授へお願いしたところ、快く許可くださり、ある医療IT企業との初期的な臨床研究の場に陪席させていただく機会をいただきました。実際に試験の現場に立った時は、未来の医療機器を特別に見ることができているようで、ワクワクしたことを覚えております。

しかし担当の先生は、

「たとえ良い医療シーズが存在し、初期的検証にて効果が出たとしても、ほとんどのケースで公的研究費(科研費)が続かない。研究には莫大な資金が必要で、(エヴィデンスレベルの高い治験を実施しようとすると、プログラム医療機器の場合10億円ほどかかる)企業としても撤退してしまうケースが多いので、日本では社会実装まで続けたくても、とても続けられる環境ではない

と仰っていました。

よく「アメリカに比べて日本の学術研究費は10分の1である」ということを皆さんも耳にするかと思います。実際、日本の医療機器における貿易赤字が年間2兆円(医薬品全体では4.6兆円)であることを考えると、その深刻さは想像以上です

担当の先生のお話を聞いた私は
日本の医療機関へ民間資金を投入する仕組みに貢献できる人材が、今後必要とされるのでは?
と思い、その時ふとVCにて働くことに興味を持っていたことを思い出しました。

そこで私は次の2つのことを天秤にかけます。

①学生の内に可能な範囲で医療と医療以外の世界と触れ、このまま大学を6年で卒業して医師になる
②1年間休学して東京へ戻り、どっぷりVCの環境で働いて、医療という軸の他に、自分が貢献出来そうな領域、本当にやりたいこと(価値観)を見定めた後、医師になる

色々とメリットデメリットを列挙し、極限まで悩んだ結果、私は休学してVCにて働くことを決めました。
決断の決め手となった理由は以下の2つです。

・「現場を熟知している医療者×ビジネス」という立場の人材が外国に比べて、日本には圧倒的に不足しており、今後間違いなくニーズが高まること
休学して後悔することはなさそうだが休学せずに後悔することはあるだろう、ということ(+ノリと勢い)←とても大事

その後、DIMENSIONのWantedlyページを再度開き、ダイレクトメッセージで「医学部を1年間休学してインターンをさせていただきたい」という内容を送信しました。すると「まずはカジュアルに話しましょう」と言ってくださり、全くの募集対象外の自分でもお話できることになりました。
そして面接の後、休学する1年の間、DIMENSIONインターンとして働かせていただけることとなりました。このような特別なケースでも快く受け入れてくださったDIMENSIONメンバーには、とても感謝しております。

■意思決定は「良いか悪いか」の二択ではない

休学する、という比較的大きな意思決定をした私から、「意思決定」についての自分なりの考えを最後に記したいと思います。

意思決定(A or B)の際、考えているケースはたかが知れているのにも関わらず、その選択の結果が「良い」か「悪い」か(「正解」か「不正解」か)の両極端がゴールにあるように思えてしまいます。

しかし、この休学をするかしないか、かなり悩んだ結果、選択の結果は「良くも悪くもある」という(当たり前の)ことを実感しました。

医学部は6年通いますので1年休学したら、医師になるのは26歳です(加えて私は誕生日が4月なのですぐ27歳になります)。26歳といえば中高の同級生は仕事に慣れ、軌道に乗ってきたり、転職を考える人もいたりする時期です。その中で私は「26歳で社会人1年目」という事実に対して、正直焦りはあります

それでも現在、休学したことにより次のようなことを経験させてもらっています。
将来の選択肢の幅が、具体的なイメージ、体験と共に広がる
今まで触れられなかった考え、人、場所に触れられる
単純に楽しい(DIMENSIONオフィスは活気が溢れ、楽しい職場です)

「休学する」という選択は良くもあり、悪くもありましたが、結果として充実した生活を送れていることは確かです。

意思決定の連続が人生なのであれば、今後あらゆるシーンで意思決定をする際、「良くも悪くもある」ということを大前提においたら、生きるのがもっと楽になり、選択の結果行きつく先はより幅広いものになる、現在はそのように思っております。

そして意思決定した後は、とにかくその選択の結果を充実したものにしようと努める、そこに尽きるのではないかとも思っております。

 

第2回では「実際にVCで働き始めてから。働いて得た学び①〜③」を書く予定です。
ぜひそちらもお読みいただけると嬉しいです。

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