#インタビュー
Web3特化のグローバルな戦略コンサルティングファームとして、事業成長に必要不可欠なトークンエコノミクスの構築やブロックチェーンの開発支援、コミュニティ運営などを一気通貫で行う、株式会社Pacific Meta。同社代表取締役CEO 岩崎 翔太氏に起業家の素養、組織づくりなどについてDIMENSIONビジネスプロデューサーの家弓 昌也が聞いた。(全4話)
過去の人間関係・客観性・ひたむきさ
ーー岩崎さんにとって、起業家として重要な素養は何でしょうか。
それは「過去の人間関係」「客観性」「ひたむきさ」の3つです。
私は、責任を任せられる人を見つけることが、起業成功の鍵だと考えています。
会社にとって必要な役割を要素分解したときに、それぞれの役割を果たせる、責任を任せられる人が揃っていれば、起業は理論上うまくいくはずです。
逆に、人が揃わずケイパビリティが不足していると、どのような事業もうまくいきません。
岩崎 翔太/1995年生まれ
2016年9月、東京大学在学中に株式会社終活ねっとを設立。2018年、DMM.comに同社を売却後、2022年8月、株式会社Pacific Metaを設立。Web3領域における世界と日本の架け橋になることを目指し、Web3戦略コンサルティング事業をグローバルに展開している。
その採用が何よりも重要です。そして、そういった採用は過去の人間関係からしか生まれないと考えています。
共同創業者をエージェントで探す方はいませんよね。AppleやFacebookなど偉大な会社の多くが、学友と共に起業しています。
日本でも、こういったパターンは多く見られます。
私自身、以前の会社はインターンシップ先の同僚や高校の後輩と共に起業しました。現在の会社にも、前職の経営陣や大学の同期など、過去の人間関係からのメンバーが多数在籍しています。
過去にどのような環境にいて、どのような人に恵まれてきたのか。そして、過去の人脈や仲間の中に、いざ自分が志を掲げたときに付いてきてくれる、責任を任せられる人がいるかどうか。
そういう意味で、「過去の人間関係」が起業家にとって重要だと考えています。
「指示を出す自分」と「行動する自分」
ーー2つ目の客観性について詳しく教えてください。
どれほど熱意があり、優秀なチームであっても、その戦略が間違っていれば成功からは遠ざかってしまいます。また、熱意が高い人であるほど自分の戦略に疑問を持つことが難しくなる傾向があります。
したがって、情熱的であるだけでなく、理性的でもなければなりません。
そしてこれは、精神的な成熟度や客観性がなければ維持できないものだと考えています。
ーー情熱と客観性を両立するのは難しいと思いますが、どのように両立させるのでしょうか。
それは精神年齢の高さによると考えます。つまり、合理的に考える能力が必要です。
未来を思い描く中で、想いや短期的な「やりたいこと」が頭に浮かぶと思います。それらを適切に抑制して、長期的な視点をもって冷静に判断できる力が、精神年齢だと思います。
常にワクワクする感情を持ち続ける一方で、自分を疑う力も重要です。特に起業家のような人ほど、このバランスが取りにくい傾向があります。
もちろん起業家として自分の言葉で話すことも大切ですから、客観性だけでなく自分自身に意識を向けることも重要です。
「指示を出す自分」と「行動する自分」とを分離する感覚で動くことが良いと考えています。
ーー「指示を出す自分」と「行動する自分」とを分離する感覚というのは、どのようなものでしょうか。
言い換えると「理屈能力」と「感情を理屈に追いつける能力」になると思います。
理屈能力とは、学習など理屈的なものを理解する能力のことです。
何が正しいのかを理解する能力は人によって差があるように思えますが、意外とそうではありません。
どちらかと言えば、理屈で理解していても行動できない人が多いように思います。私はこれを、感情を理屈に追いつける能力による差だと考えています。
極端な例ですが、「宿題や勉強は今すぐに取り組む方が良い」という理屈は誰もが理解しています。
しかし、この理屈は簡単に理解できるものの、感情が追いつかない人がいます。
起業の世界では、理屈では理解しやすいことの方が多いです。その理解能力よりも、感情を理屈に追いつける能力によって差がつくと考えています。
ーー「感情を理屈に追いつける」ためのポイントはありますでしょうか。
それは長期的な視点を持つことです。
例えば、3年後に結果を出している自分を想像してみてください。それを現在の自分と同一視できるかどうか。
もし、そのように考えられるなら、目の前のやりたいことにすぐ飛びつかず、未来を考えて感情を理屈に追いつけることができると思います。
自分のマインドシェアを100%投入できるか
ーー3つ目の「ひたむきさ」が大事とはどういった意味でしょうか。
私が考える「ひたむきさ」とは、他のことに興味を持たず、自分の経営を人生そのものと捉え、自分のマインドシェアを100%投入できる状態を指します。
私自身、起業以上に楽しいものはなかったので、自然と起業に集中することができました。
そんな、ひたむきに向き合える領域を選ぶこと自体も、起業家に必要な能力の一つだと考えています。
これは、起業だけでなく、就職やプライベートなど人生全般の選択にも当てはまります。全力投球できるものを選択することで、成果を出すことができます。
そして、それが「視座が高い」状態なのだと私は考えています。
高みから物事を見渡すとかそういったことではありません。自分が納得するまでやり切れば、上手くいかなくても最低限こういう姿にはなれるということを想定して、ひたむきに努力できる状態。それが、視座が高いということだと私は考えています。
そのような領域を見つけるためにも、ひたむきさが必要ですね。
また、エクイティの世界では、そのひたむきさを維持し続けることが誠実なことであるとも思います。
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家弓 昌也
名古屋大学大学院航空宇宙工学修了。三菱重工の総合研究所にて、大型ガスタービンエンジンの研究開発に従事。数億円規模の国家研究プロジェクトを複数リードした後、新機種のタービン翼設計を担当。並行して、社内の新規事業創出ワーキンググループに参加し、事業化に向けた研究の立ち上げを経験。 2022年、DIMENSIONにビジネスプロデューサーとして参画。趣味は、国内/海外旅行、漫画、お笑い、サーフィン。
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