#M&A
Web3特化のグローバルな戦略コンサルティングファームとして、事業成長に必要不可欠なトークンエコノミクスの構築やブロックチェーンの開発支援、コミュニティ運営などを一気通貫で行う、株式会社Pacific Meta。同社代表取締役CEO 岩崎 翔太氏に起業家の素養、組織づくりなどについてDIMENSIONビジネスプロデューサーの家弓 昌也が聞いた。(全4話)
『終活ねっと』M&Aまでの経緯
ーー岩崎さんは、1回目の起業で「終活ねっと」を合同会社DMM.com(以下、DMM社)に売却されました。創業当初からM&Aを選択肢に入れていたのでしょうか。
実は、私自身はM&Aに強いこだわりがあるわけではありませんでした。
その一方で、DMM社からのM&Aの提案を受け入れた理由はいくつかあります。
まず、M&Aの提案を受けた時点で、大企業であるDMM社がライフエンディング領域への参入を本気で検討していると感じました。
また、DMM社との提携は非常に魅力的でした。
我々の事業はリピートビジネスではなかったため、まずはユーザー数の増加にリソースを集中し、その後でビジネスを拡大するという戦略を立てて動いていました。
結果、業界トップレベルになるほどユーザー数が順調に増え、次は営業を進めて行こうというフェーズでした。
その状況で、全国に営業をかけていくことを考えた時に、DMM社の力を借りることがスピード面でメリットが大きいと判断しました。これが最大の決め手だったと思います。
DMM社からの提案やTVCMの打ち出しなどは、私たちが目指していた「ライフエンディング領域でのナンバーワンブランド」を達成するための最短の道だと感じました。
ーー巨大資本への事業売却を目標にされている方も多いと思います。
私たちは、「買収や上場を目指す」よりも、「未来を見据えて世の中に必要なものを作り出す」ことを目標に据えることが重要だと考えています。
その先に、私たちが作ったプロダクトに対して協業したり出資したいと思う人が増えてくる。その表現の一つが上場であり、この会社が必要だと思うからこそ、株主がついてきてくれるのだと思います。
離れてから再認識した、起業の面白さ。
ーー終活ねっと社を売却後、現在のPacific Meta社を起業されています。岩崎さんが再び起業した経緯や想いについてお聞かせ頂けますでしょうか。
起業家として、偉大な会社を作ること以上に楽しいことはないと感じています。
実は、終活ねっとを起業し、M&Aを経て会社を退職した後、約1年間は投資活動に専念していました。
50件以上のエンジェル投資を行い、多くの起業家と会話をしました。その期間は楽しく、投資を学ぶ良い機会にもなりました。
一方で、「終活ねっと時代の方が楽しかった」とも感じました。
実際、その頃が一番苦労した時期でしたし、売却によって望んでいた自由な時間を手に入れることも出来たのですが、実際に余裕を持ってみると、自分自身が大きな企業をつくることを目指して、仲間と共に努力することが一番楽しいと気づいたのです。
そのため、再び起業することに決めました。
ーー1回目の起業で成功し、イグジットした経験を通して、2回目の起業では意識して改善した点などございましたか。
「全部」だと思います(笑)。
敢えて挙げるとすれば、1回目の起業よりも、2回目の方がより逆算的な行動ができています。
具体的には、1回目はマーケットやアプローチのレベルまでしか逆算できなかったのに対し、2回目ではオペレーションレベルまで逆算しています。
上場する理由と時期、その達成に必要なケイパビリティ、その責任者の置き方、横串での管理の仕方などです。中には過去に経験した意思決定も多く、それらをつなぎ合わせて遠回りも避けることができました。
特に弊社のように、総合力が必要な事業をしている会社では、そのような逆算の視点が大切だと思います。
「グローバル」かつ「大きな技術の変革があるとき」を狙う
ーーどの事業領域で起業すべきかは成功の要因の一つだと考えています。その観点から、岩崎さんがなぜWeb3領域を選んだのかを教えてください。
これは起業家にとって非常に重要な点の一つだと思います。
もしエクイティによる資金調達をしてスタートアップとして進んでいくのであれば、急成長をして突き抜ける必要があると思います。
それは、大きな目標を目指すほど成功率が高いと考えているからです。
どういうことかと言うと、世の中にはオーナー企業やフリーランスなど様々な形で起業されている方がいて、「少し成功できればOK」という感覚の起業家が圧倒的に多いです。
ですから、突き抜けるほど大きな目標を掲げた方が、競合が少なく成功する確率も上がり、関係者を幸せにできると考えています。
その上で、「どうやったら偉大な会社を作れるか」を考えた時に、2つ大事にしていたポイントがあります。
1つは、マーケットや技術の変化が大きくあること。
インターネットの登場でGAFAが生まれたように、偉大な会社の誕生の裏には必ず技術の変革があると思っています。
もう1つは、ドメスティックではなく、グローバルで挑戦したいということ。
日本はGDPの停滞や人口縮小もあり、グローバルに目を向けざるを得ない状況だと思います。そのため、2回目の挑戦は必ずグローバルで行うつもりでした。
そして、この2つを押さえた上で、日本が勝てる領域でなければならないという制約もあると思っています。
AIで海外の方と戦うような領域は、私自身にテックバックグラウンドがなかったこともあり、あまり自信がありませんでした。
しかし、ブロックチェーンに関しては、アメリカや中国で規制があって停滞している中、日本は政府を中心に活用を推し進めていますし、国内企業にはWeb3と相性の良い、強いIPコンテンツもあります。
ブロックチェーンの領域であれば、日本からグローバルに通用する偉大な会社を作れる可能性があると思い、この領域に参入することを決めました。
ーーかなり論理的に事業を選ばれたのですね。
フレームワークは全て同じです。
全ての起業家は、マーケットの成長性と自分たちのケイパビリティを掛け合わせたときに最大のものを選択するべきだと思います。
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家弓 昌也
名古屋大学大学院航空宇宙工学修了。三菱重工の総合研究所にて、大型ガスタービンエンジンの研究開発に従事。数億円規模の国家研究プロジェクトを複数リードした後、新機種のタービン翼設計を担当。並行して、社内の新規事業創出ワーキンググループに参加し、事業化に向けた研究の立ち上げを経験。 2022年、DIMENSIONにビジネスプロデューサーとして参画。趣味は、国内/海外旅行、漫画、お笑い、サーフィン。
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