「量をこなせるセンスを。」営業の極意とAIとの今後を語る 株式会社ダイレクトマーケティングミックス 小林 祐樹 社長(第2話)

「いま、『社会(セカイ)』から必要とされている事を」という企業理念を掲げ、顧客企業の「働き方改革と営業改革の両立」の実現を目指す株式会社ダイレクトマーケティングミックス。2020年には株式上場を果たし、更なる拡大に向けて躍進している。同社代表執行役社長CEO 小林祐樹氏に起業家の素養、人材を選ばない採用などについてDIMENSIONビジネスプロデューサーの伊藤 紀行が聞いた。(全4話)

突き抜けられるかは「量をこなせるセンス」の有無

ーー元々営業力に定評のある会社でキャリアをスタートされて、その後部長まで昇進されました。これを意識して成果を出していったというようなポイントはございますか。

“徹底的な量”ですね。営業結果を出すためには、量以外にないですから。

よく「質を求めるならまずは量から」と言いますよね。

そして、量をこなすためには好きになる必要があります。「努力が努力じゃなくなる感覚」「努力が夢中になっていく感覚」にならないといけない。ですので、営業結果を出すためには、営業が好きでなければなりません。

ただ、私自身最初からできていたかというと、全くできなかったです。

当時、20年ほど前ですが、お風呂場だと自分の声が響くのでそこでトーク練習したり、一番売れている同僚から教えてもらったり。また、上司が作成するスクリプトを真似し、それをアレンジすることで自分自身のスタイルが生まれました。

多くの人との対話をしていく過程で、営業の方法、話し方、雰囲気の作り方など自分に合った営業の型を見つけることができますし、さらに経験を積むと、お客様のタイプに合わせて、適切な型を選択することが可能になります。

“ジョジョのスタンド”のように、出すものを相手によって変えられると無敵になるんですね(笑)。例えば、怒っているお客様にはこの型、全く興味がなさそうなお客様にはホスピタリティモードなど。

私は過去の経験が活きて、クライアントさんや株主さんにお会いする時に、相手に応じて色々なスタンドが使えます。まずは自分に合った型を見つけ、営業成果を出す。そして、一つの型が頭打ちになってきたら、次の型に移っていくのが定石かなと思います。

突き抜けていけるかどうかの違いは「量」で、それをセンスと呼ぶんだと思うんです。「量をこなせるセンス」。

例えば、起業家や社長の場合、それができないなら別の道もあるって話だと思うんです。

それは、営業だけでなく、どの職業でも同じです。「量がこなせない」というのは、職業選択を間違っているということだと思うんです。なので、量をこなすことを努力とも思わない職業に変えた方が良いと思います。

 

ーー人によっては営業で断られ続けると落ち込んでしまう方もいると思いますが、メンタルの強さは元々お持ちだったのでしょうか。

メンタルは非常に弱かったです。でも、もう二度と会わないお客様に断られるだけじゃないですか(笑)。

好きな人にフラれたらメンタルが壊れるのはわかりますが、彼らとは会わないし、彼らが私の練習相手になってくれているだけです。そして、時間を取ってくれて、受注できる可能性がある訳ですから、それは素晴らしいことですよね。

不安なのは「成果が出なかったらどうしよう」というメンタルですよね。「断られることが怖い」のではなく、断られたらという先を見て、自分で想像し、メンタルブレイクしてしまう。

“結果”はYESかNOか確実に出ます。しかし、“成果”は人が決めることです。

たとえ100件提案して全てNOだったとしても、「すごい、100件も断られたなんて」と思う人がいるでしょうし、90件の案件を獲得したと報告した時、「10件も断られたなんてありえない」と言う人もいるでしょう。

成果は人が判断するもの。なので過度に考えずに、目の前の、確実に”結果”が出るお客様に集中することが大切です。断られてもそれはそれでいいんです。

熱狂を生めるか?AIが営業に及ぼす影響とは

ーーChatGPTや生成系AIのような技術が進化してきています。営業やお客様との関係性など、ビジネスのあり方を変えてくる可能性があると思いますが、いかがでしょうか。

特にカスタマーセンターなどでは、AIが台頭し、効率化が進んでいると思います。

しかし、営業の観点から見ると、非常に活きるとは思いますし、我々も積極的に活用していますが、抜本的に何かが変わったということは現状無く、近い将来も考えづらいと思っています。

営業は基本的に人と人との取引が一番の「商(あきない)」です。

面白いエピソードとして、将棋のレベルがAIの影響で上がっているという話があります。藤井さんがコロナ期間中にAIと練習試合を重ねた結果、その経験が非常に活きているというんですね。

今までは量をこなすために誰かに付き合ってもらわなければいけなかったのですが、AIと一緒にトレーニングをするという時代になってきているということだと思います。

しかし一方で、それは「商」にはならないと思っています。「藤井さんが毎回、AIと対決する」と聞いても、誰も見ないですよね。

人と人とがやるからこそ面白く、熱狂を生み、熱い「商」になるのだと思いますし、営業の根本として揺らぐことは無いと考えています。

 

 

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著者 伊藤紀行

著者 伊藤紀行

DIMENSION Business Producer:早稲田大学政治経済学部卒業、グロービス経営大学院経営学修士課程(MBA, 英語)修了。 株式会社ドリームインキュベータからDIMENSIONファンドMBOに参画、国内のスタートアップへの投資・分析、上場に向けた経営支援等に従事。主な出資支援先はカバー、スローガン、BABY JOB、バイオフィリア、RiceWine、SISI、400F、グローバ、Brandit、他 全十数社。 ビジネススクールにて、「ベンチャー戦略プラン二ング」「ビジネス・アナリティクス」等も担当。 著書に、「スタートアップ―起業の実践論 ~ベンチャーキャピタリストが紐解く 成功の原則」

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