ユニコーン企業ネットプロテクションズ 東証一部IPOに至るまでの道のり 柴田紳社長(第3話)

日本における後払い決済(Buy Now Pay Later,以下BNPL)のリーディングカンパニーとして、NP後払い、NP掛け払い、atone(アトネ)などのサービスを展開する株式会社ネットプロテクションズ。2021年12月には東証一部市場への上場も果たした。代表取締役社長の柴田紳(しばたしん)氏に、経営者にとって重要な素養、組織づくりなどについて聞いた。(全4話)

自分の「影響の輪」に集中する

ーー柴田さんご自身も投資会社からの出向として経営に参画されていますが、資本政策、株主との向き合いについて意識されてきたことをお教えください。

私の場合、常にオーナーが自分ではない中で20年間経営してきました。その間、親会社が3度も変わったりと株主の変化によってもちろん色んな場面がありました。創業から7年間はずっと赤字だったので、親会社からの増資の稟議が通せなかったら終わりという状況もありました。

でも結局それらは「天気」と同じです。大株主は自分ではどうにも変えられません。

『七つの習慣』に書かれているところの自分の「影響の輪」(自分でコントロールできること)に集中する以外ないのです。

 

ーーつまりIPO前後で株主が変わっても、変化は無いと。

そうですね。私の場合は特にオーナーから非オーナーになった訳でもないですし、変わらず誠心誠意経営していくのみです。

上場して違いがあるとすると、株主との向き合い方が「法人営業」から「マーケティング」のイメージに変わったところでしょうか。相手が親会社1社だったものが、集団に対するコミュニケーションになるのでマーケティング的な考え方が求められます。

これまでは常に親会社というものが存在して、親会社に納得してもらえる戦略の幅の中でしか動けませんでした。しかし上場したことでより自由に経営できるようになっている感覚があるので、これからまた勝負だなという風に思っています。

 

東証一部直接IPOの舞台裏

ーー2021年12月、東証一部に直接IPOを果たされました。何か意識されたポイントはありましたか?

当然ではありますが、しっかり値付けがなされるための工夫は行なってきました。

海外の投資家と話をしてメッセージを固めたり、エクイティストーリーも各証券会社とワンチームになって話をしながら進めました。

ロードショーを2週間のうちに100本近くやったときはさすがに死ぬかと思いましたけどね(笑)。

 

ーー2021年12月、東証一部に時価総額1000億円を超えるIPOを果たされました。投資家向けのメッセージで意識されたことをお聞かせください。

海外のBNPL(Buy Now Pay Later)銘柄は非常に高い値が付いているので、投資家としてはそれと同じ事業として我々のことを見たがります。それはそれで株価に好影響を与える要因にはなりえますが、我々の事業の正確な評価ではありません。

我々は一般的な金融寄りのBNPLというより、日本の中での色んな無駄・非効率・リスクを全て吸収するような「売り手に近いBNPL」です。

 

EC事業者から見れば、後払い決済によるリスクを我々が吸収していますし、BtoBにおいても請求の煩雑さ、貸し倒れリスクという売り手側の痛みを吸収しています。

「NP掛け払い」を例に挙げると、これはBNPLというよりも経理業務を自動化・省人化するSaaSと捉えた方が実態に近いのです。

そうやって「売り手が抱える決済の痛みを吸収する」事業と我々のことを定義すれば、マーケットはBNPL以外にも無限に広がっています。

 

ーー単なる海外にあるサービスのコピーではなく、日本らしいサービスということなのでしょうか?

日本には売り手が色んなリスクを許容する文化があります。勝手に相手を信用して「後で払っていいよ」と売り手が自ら「後払い」をやる文化は、日本ならではといえます。

さらには、これからの労働人口が減る日本を考えたときに、決済という、一見地味で、オペレーションはかなり難しくて、そして大事なインフラを誰に担ってもらうのかは喫緊の課題です。

そう考えると我々のサービスは日本らしい事業ですし、必要とされるマーケットは無限に広がっていくと考えています。

 

 

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DIMENSION 編集長

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「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。

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