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世の中に無いプロダクトを展開する際に必要なこと BABY JOB 上野公嗣社長(第3話)

「すべての人が子育てを楽しいと思える社会」をビジョンに掲げ、日本初(2009年BABY JOB調べ)の保育施設向け紙おむつの使い放題サブスク『手ぶら登園』を展開するBABY JOB。導入施設は2,000ヶ所を超え、新しい市場をリーディングカンパニーとして開拓し続けている。そんな同社の代表取締役社長 上野公嗣(うえのこうじ)氏に起業家として重要な素養、事業成長のポイントなどについてDIMENSIONビジネスプロデューサーの伊藤紀行が聞いた。(全4話)

時流を読み、メッセージを打ち出す

ーーPR活動も非常に積極的に取り組まれています。スタートアップがPRを成功させる上でのポイントについてお聞かせください。

やはり世の中に無いプロダクトを展開するスタートアップの場合、認知拡大がPR活動において一番重要な部分です。

特に我々の場合、保護者には比較的リーチしやすいのですが、社会福祉法人や宗教法人が主に運営している保育所さんにリーチするのは普通のアプローチ方法では難しい。業界雑誌に出たりはするものの、まだまだ認知が低いのが現状です。

なので、保護者だけでなく保育所の認知度、アポ獲得率を改善することを目指し、タレントの辻希美さんをアンバサダーに起用するPRも開始しました。

内容に関しては基本的にはPR担当のメンバーが中心となって推進してくれていますが、私がこだわったのはメッセージの部分です。

最初に広告代理店さんから来たメッセージ案は「子育てが楽になる」というもの。

確かに内容としては正しいのですが、なぜ保護者がこれまで「おむつに名前を書いて持ち帰り」する行為をおかしいと言えなかったかというと、「子育てはしんどいもの」「ラクすることはダメ」という空気が保護者・保育所内にあったからだと思うのです。

ですので、我々が「子育てが楽になる」とストレートに訴求してしまうと、サービスを使いたいと余計言いづらくなってしまう。むしろ朝の登園準備など、どれだけ「子育てが大変」かを私たちが代弁することで、少しでも共感いただき「ラクしてもいい」と思える空気を作るべきなんじゃないかと考えました。

おかげさまで想定以上のメディア露出を獲得することができているのですが、それは辻希美さんの持つポップな魅力に加えて、保護者の方々の日々の大変さを代弁し、社会的に評価・共感していく流れを作れたからと思っています。

 

ーー直接的に商品効果を訴求するのではなく、アプローチしている社会課題にスポットライトをあてられたのですね。

そうですね。そもそも「おむつに名前を書いて持ち帰り」の認知度が低い中でしたので、この手法が上手くいったのだと思います。

ただし、もう1度同じことをやってPRとして成功するかというと、おそらくそうではないと思います。メディアというのは時流が必ずあって、今、メディアにとってどんな話題を発信することがメリットになるのか、空気を感じながらメッセージを出していくことがすごく大切だと思います。

 

「社員全員と1on1」でベクトルを揃える

ーー組織づくりについてお聞かせください。いまではグループで400名弱が在籍されていますが、組織づくりにおいて意識されているポイントをお聞かせください。

毎年人が増えていく中で組織スタイルは変わり続けてきました。

直近すごく組織力がついてきたと感じているのですが、それは社員一人一人が同じ方向に向かって、最大のパフォーマンスを発揮してくれている状態になってきているからです。

なぜそれができているかというと、一つは「ビジョン」。

「すべての人が子育てを楽しいと思える社会」というビジョンに対して、会社のやっていることが伴っている。これは働く上で重要なことです。

加えて「社会からの評価」。会社がやっていることに対して、メディアも含めて社会が賛同してくれている。これは組織力をものすごく高めてくれる要因です。

先ほどお話ししたタレントを起用したプロモーションも、実は社内プロモーションとして非常に効果を発揮しています。組織のモチベーションは高まりましたし、採用も応募していただける人の質と量が格段に向上しました。

「ビジョン」に沿って会社が運営されていて、その活動が社会から賛同されている状態。こういう組織は自然と伸びていくんだと感じています。

 

ーー一方で組織が急拡大する中で問題も起きてくるのではないかと思います。

役割分担が明確になったり複雑化したりしたことで、価値観のすり合わせや個人間の意識のずれが起きた時期が1年前くらいにありました。

乗り越えた方法としては、私がBABY JOBの「社員全員と1on1」をやっていることです。

役員は毎月、課長以上は四半期に1回、一般社員は半期に1回。1on1では今一番自分が取り組んでいる仕事、プライオリティの一番高いKPI、それをやる上での課題、を聞いています。

加えてwill/can/must、会社を通して何を実現したいか、私が求めていること、それを実現するためにつけたい能力について対話しています。

このフォーマットで社員全員と1人ずつ1on1をやっていますが、これが今の人数で組織全員のベクトルをチューニングする最短の手段だと思ってやっています。

もう少し管理職の人たちが同じような1on1を展開できるようになるまでは、経営者である私の最優先課題として続けていこうと思っています。

 

 

 

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著者 伊藤紀行

著者 伊藤紀行

DIMENSION Business Broducer:早稲田大学政治経済学部卒業、グロービス経営大学院経営学修士課程(MBA, 英語)修了。楽天に勤務後、EdTechベンチャーの東京オフィス立ち上げに参画。法人向け事業の急成長に貢献。その後グロービスにて英語MBAプログラム Japan Accountのリーダーとして、個人向けマーケティングと事業開発を担当。国内のスタートアップへの投資・上場支援を行い、志高い起業家への経営支援を通じて日本経済の活性化に取り組む。週末を中心にビジネススクールで思考領域の講師も務める。

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