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日本初の保育施設おむつサブスク「手ぶら登園」誕生秘話 BABY JOB 上野公嗣社長(第1話)

「すべての人が子育てを楽しいと思える社会」をビジョンに掲げ、日本初(2009年BABY JOB調べ)の保育施設向け紙おむつの使い放題サブスク『手ぶら登園』を展開するBABY JOB。導入施設は2,000ヶ所を超え、新しい市場をリーディングカンパニーとして開拓し続けている。そんな同社の代表取締役社長 上野公嗣(うえのこうじ)氏に起業家として重要な素養、事業成長のポイントなどについてDIMENSIONビジネスプロデューサーの伊藤紀行が聞いた。(全4話)

"おむつの名前書き"という常識を打ち破る

ーー経営者にとって重要な素養を3つ挙げるとするとなんでしょうか?

最も重要なのが「常識に捉われない」、当たり前のことを当たり前と思わない思考です。

2つめが「1人で解決しようとしない」、3つめが「学び続けること」です。

 

上野公嗣(うえのこうじ)/1978年生まれ
武庫川女子大学大学院臨床教育学研究科卒業。ユニ・チャーム株式会社にて営業・マーケティングに従事したのち、「働くお母さん」の可能性に着目し、2012年5月に株式会社SSM(現:BABY JOB)を創業。地域型保育事業を中心に全国で45施設を運営する中、2019年に「手ぶら登園」をリリース。『日本サブスクリプションビジネス大賞2020』グランプリ受賞。保育士、全国小規模保育協議会理事長。

 

 

 

ーー具体的にそれらの素養が大切と思われた原体験があればお聞かせください。

保育業界では保護者が「おむつに名前を書いて持って行く」「使用済みおむつを持って帰る」というのが常識で、長年脈々と続けられてきたオペレーションシステムです。

客観的に見るとおむつに名前を書くのは合理的では無いし、わざわざ1か所に集まっているゴミを分散させて回収するのも合理的では無い。「この常識はおかしい」と考えたところから現在の「手ぶら登園」の事業は生まれました。
私の場合、他業界から来たというのもあるとは思うのですが、このように「常識に捉われない」着眼点を持って、本来どうあるべきか、現状を正すためにどうすれば良いか、と考えるところにビジネスチャンスが生まれるのだと思います。

 

ーー「1人で解決しない」についてはいかがでしょうか。

1人の力というのは、どんな偉大な人でも大したことはありません。

前職でユニ・チャームのマーケティングを担当していた時代も、営業から生産・開発・代理店の方も含めて様々な人と1つのプロダクトを共に作っていましたが、起業をしてからはもっと関わるステークホルダーが増えた感覚があります。

いろんな人や企業の得意分野や力を使ってあるべき姿を実現する。これが起業家には必要不可欠な意識です。

 

ーー「学び続けること」についてはいかがでしょうか。

私は最初に保育所運営事業から創業しました。母親が幼稚園の先生をしていたものの、業界については全くのど素人。当然ながら保育所の設立方法もわからなければ、教育に対する理念や知識も全く無い状態からのスタートでした。

保育士たちから保育のあり方を聞いたり、自分自身も保育士資格や幼稚園教諭資格を取ったり。今も大学院の博士課程に通って教育について学んでいますし、MBAに行って経営も学んでいます。

学ぶことを通して付き合う人も変わってきますし、知っているからこそ深い知識を得ることができる。ですので、学び続ける力というのは起業してからこそ重要だなと感じています。

 

おむつサブスク「手ぶら登園」誕生秘話

ーー「手ぶら登園」はどのように生まれたのでしょうか。

実は最初の創業事業は「お母さん特化の派遣事業」で、その名もスーパー・ストロング・マザー(SSM)という会社でした。

きっかけは前職のユニ・チャームで営業をやっていたときの、子ども用品専門店におけるおむつ販売イベント。売り子さんとして学生やフリーターの方が多く派遣されてくる中で、たまに「お母さん」が来てくれるとトークの説得力が違って、販売量も段違いだったんです。

加えて、ちょうど私の妻が二人目の子どもを産んだばかりで、なかなか妻が社会と接する機会が無い状態を見ていました。土日に家に子どもを預けて、「お母さんの力」を使って世の中に価値を提供することができたらかっこいいなと思ったのです。

そこから、「お母さん」ばかりを派遣してくれる会社があれば日本が元気になると思い、起業しました。

 

ーーそこから保育所運営事業で急成長を果たされます。

当時は今よりも待機児童の問題が深刻で、そもそも保育所が足りなくて預けられない、ゆえにお母さんが活躍できないという社会構造でした。あの「保育園落ちた日本死ね」ブログが話題になった頃(2016年)を契機に保育所が急増していった時代で、我々もまずは保育所を運営し始めました。

現在は全国に40ヶ所以上の保育所を運営しています。

しかしながら「お母さんが活躍する社会を実現」するために保育所を作ったはずなのに、実際に子どもを預けに来るお母さんたちの朝の姿がとにかくしんどそうで(笑)。

0から2歳児だと夜泣きもあるので睡眠不足だし、お母さんたちは朝から晩まで様々なタスクに追われています。そんな生活の中で、「おむつに名前を書いて持ってくる」「使用済みおむつを持って帰る」という不合理があることに気づきました。

「元気よく働きに行くお母さん」は、こんな不合理を強いる今の保育所のインフラだと出来ないと考えたのです。

 

ーービジョンは共通しながらも、保育所運営の経験の中から「手ぶら登園」は生まれたのですね。

保育所の根幹は子どもの安全、発達をお約束するというもので、それが最も大切なことだというのはわかっています。

けれども、少しでもいいから多忙な保護者に手を差し伸べてあげることができたら、もっと「子育てが楽しく」なるのではないか。子どもにとっても、生活の半分以上を占める家庭にいる時間が楽しくなるのではないか。

そういった子どもと保護者が楽しく過ごせる環境作りを通して、子どもの人生や発達を支えていきたい。そんな想いから「手ぶら登園」は生まれました。

 

 

 

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著者 伊藤紀行

著者 伊藤紀行

DIMENSION Business Broducer:早稲田大学政治経済学部卒業、グロービス経営大学院経営学修士課程(MBA, 英語)修了。楽天に勤務後、EdTechベンチャーの東京オフィス立ち上げに参画。法人向け事業の急成長に貢献。その後グロービスにて英語MBAプログラム Japan Accountのリーダーとして、個人向けマーケティングと事業開発を担当。国内のスタートアップへの投資・上場支援を行い、志高い起業家への経営支援を通じて日本経済の活性化に取り組む。週末を中心にビジネススクールで思考領域の講師も務める。

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