#インタビュー
「いま、『社会(セカイ)』から必要とされている事を」という企業理念を掲げ、顧客企業の「働き方改革と営業改革の両立」の実現を目指す株式会社ダイレクトマーケティングミックス。2020年には株式上場を果たし、更なる拡大に向けて躍進している。同社代表執行役社長CEO 小林祐樹氏に起業家の素養、人材を選ばない採用などについて聞いた。(全4話)
資金調達は「使い道を教わる」までがセット
ーー御社はPEファンドさんからうまく力を借りながら事業推進していかれました。スタートアップの場合だと私たちのようなベンチャーキャピタルから提供していくことになるかと思いますが、外部の資本の活かし方についてアドバイスはありますか。
“お金集め”という感覚はもちろんありますが、調達と同時に「そのお金の使い方」を教えてもらわないとあまり意味がないと思います。実際、私もそういうやり方をしました。
スタートアップの皆さんは「こういう風にお金を使いますので投資してください」という方が多いように感じます。
しかし、先ほどの評価・教育・採用がセットであるように、VCやPEファンドなどから外部資本を受け入れた際に受け入れるものを「ヒト・モノ・カネ」と考えた時に、その資金をどのように使うかについても一緒に考えてもらわないと成功しづらいと考えています。
その当時、私自身も初めての経験で相談する相手も少なかったため、どのようにリソースを使うべきかもわからず「どうしたらいいですか」と完全に委ねました。
ファンドの方々はプロフェッショナルですし、とにかくそのアドバイスに従うことが最善だと思ったためです。
その分、コミュニケーションを大量に取りました。たとえ祝日でも毎朝9時から必ず1時間ミーティングを行い、リソースの活用方法やパイプライン管理、スタッフ管理の方法など、具体的なアドバイスを求めました。
ーー視点を変えてみると、「力を借りて使い倒す」ようなイメージでしょうか。
そうですね、頼りにすることが大事。
VCから資金を調達し、その指示に従うのは苦しい方も多いのかもしれませんが、「もう、うるさいよ」と言われるくらい意見を積極的に聞きに行くことが重要だと思います。
また、一緒に時間を過ごすことも大切です。当時はZoomも無かったですし、直接会って話すことが人間関係を構築するためには重要だと思いました。
そのようなアドバイスがあったからこそ成長できたと思いますし、仲間集めのひとつだと思って大切にしています。
NIKEが靴のCMをしないように、マクドナルドもテリヤキバーガーのCMをしない
ーースタートアップが資金調達を行うと、多くの企業がCMを制作します。しかし、その結果大成功し売上が上がったという話はあまり聞きません。営業という視点を持つ小林CEOから見て感じることはございますか。
お金の使い方をもう少し学ぶとよいのかなと感じます。
私が投資家だとしたら「調達の目的はブランディングなので投資してください」という企業には一銭も払いたくないと思います。
もちろんCMも大切ですが、それをスタートアップの初期段階で行うのは早すぎる。もっと地道に活動し、営業を頑張って、その上で手を出すべきだと思います。
NIKE(NIKE, Inc.)が靴のCMをしないように、マクドナルド(日本マクドナルド株式会社)もテリヤキバーガーのCMを放映しませんよね。
「マクドナルドって、こういう企業だよね」そんな企業イメージすら湧かないうちは、商品のCMを放映する意味がないと思います。
それであれば、CMではなくサービスの改良などに注力すべき。新しい人を採用してチャレンジさせる方が良いと思います。
ーー本当の意味で効果のあるお金の使い方を考えないといけないですよね。
少なくとも、スタートアップが5億円や10億円規模のときにCMを放映するのは早すぎると思います。他にもっとできることがある。
地道な営業活動をやりやすくするためにCMをやると考えた時に、それだったら営業手数料(コミッション)を上げた方がよっぽど効果的です。あるいは評価基準を下げる方が効果的でしょう。
お金の使い方については、もっと考える必要があります。
誰もが活躍できる受け皿のような会社へ
ーー最後に、御社の今後の展望をお聞かせください。
面白いことに、日本全国の企業を見渡すとどの会社も人手不足だと感じています。しかし、実は人手不足ではないんです。
働きたくても働けない人がたくさんいます。それはなぜかというと、企業が選り好みしているからです。
それを踏まえて、働きたくても働けない方が働くことができ、更に活躍できる会社にしたいと考えています。
人手不足と言っている会社ほど選り好みしていて、人が来ないのはむしろ低賃金で募集していたり、厳しいシフトであったりするからです。
そうではない会社を目指していきたいと思います。
優秀な人はそのまま大企業に勤めることができます。ただ、優秀だけど、何らかのハンディキャップがあって、どこかでサボってしまったり、逃げてしまった人たちにセカンドチャンスを与えられるような会社になりたいと思っています。
ーー今、仮にキャリアに挫折があったり、うまくいかない方でも、もしかしたら御社で輝くチャンスがあるということでしょうか。
様々な方がいらっしゃって、泣けてくるような話もたくさんあります。
視覚や足腰に障害をお持ちでも、頑張ってくださる方がいらっしゃいます。電話という、ある種、平等な場では誰が活躍するかは分からないものです。
普通の企業では採用されづらいかもしれませんが、中学校も出席できず卒業できたのか分からない方や識字能力が低い方でも、素晴らしい活躍を見せています。また、普段はすごくコミュニケーションが苦手な方でも、電話になると饒舌になって活躍されている方もいます。
その分トラブルも多いでしょうし、大変なこともあるかもしれません。
しかし、全員がパーフェクトな訳ではないですから、そういった受け皿となるプラットフォームになりたいと思っていますし、かつしっかりと成果を出すことを目指しています。
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DIMENSION 編集長
「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。
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