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「これからの食卓、これからの畑」を企業理念に掲げ、食に関する社会課題をビジネスの手法で解決するオイシックス・ラ・大地株式会社。安心・安全に配慮した農産物、ミールキットなどの販売だけでなく、移動型スーパーや給食事業など、幅広く事業を展開する同社代表取締役社長 髙島 宏平氏に、起業家に必要な素養や、M&Aや経営統合のポイント、今後の事業展開についてDIMENSIONビジネスプロデューサーの古家 広大が聞いた。(全4話)
ーーこれまでBtoC事業を中心に事業を拡大されてきましたが、シダックス(給食事業)の子会社化で BtoB事業にも本格参入されたかと思います。この事業拡大を意思決定された理由や、既存事業とのシナジーなどがあれば教えてください。
合理的な説明と情緒的な説明があります。
合理的な説明としては、「食事に求められるクオリティの上昇」です。
Oisixは、料理に時間や手間をかけられない環境が進行する社会において、求められる食事水準の上昇に対応してきました。ミールキットなどを通じて、短時間で高い価値の食事提供を家庭で実現してきたのです。
この状況は、BtoBでも同様です。
人手不足などによって料理にかけられるリソースは減少している一方、食事に対して求められるクオリティはどんどん上がっているのです。
現在、業務用ミールキットなどを開発しているのですが、これはより少ない人数で、より美味しい給食を提供できるようにするためのサービスです。
このように「食事に求められるクオリティの上昇」に貢献することで、BtoBの給食事業においても付加価値を付けられる点が一番の事業シナジーです。
他にも、同規模のシダックスと一緒になることで、食材調達力や物流網の量も倍になりました。規模の経済が様々な側面で活きてきます。
次は情緒的な部分で、入院した経験のある人はわかると思うのですが、「入院時の給食が不味い」と感じる方が非常に多いんですよね。
本当は、しっかりとした食事をとって、栄養を摂取し、病気から回復しなければいけない人たちが「不味いから」という理由で病院給食を食べ残してしまうのはおかしい。
しかし病院給食があまり美味しくない背景には、法律の壁や予算の問題など、様々な問題が入り組んでいます。
病院で働く方達は、みんな一生懸命やっていて、誰も悪い人はいません。けれど、結果的にはあまり良い環境になっていない。
これは病院給食だけでなく、介護給食や社員食堂、学校給食など、様々な場面で起きていることです。
給食に関わる人々は一生懸命取り組んでいるにも関わらず、誇れるものにはなっていない。
この感覚は、私たちがOisixの事業を始めたときに持った感覚に、すごく近いんです。
小さなお子さんの親御さんは、農薬を使った野菜や添加物が多いものを子供に食べさせたくなくて、一生懸命商品を選びます。
一方で、求めている人がいるのにも関わらず、有機農家の方達は経済的に苦労されている方が多く、有機食品を取り巻く市場は必ずしも良い状況ではありませんでした。
悪い人がいるわけでもなく、全員が一生懸命取り組んでいるのに、幸せな世界になっていない。
その状況を、Oisixの事業を通じて改善してきたと自負しています。
このように、市場の根本問題を解決することが、私たちの食品業界における役割になると考えています。
私たちが給食事業を始めたからには、「病院給食を食べたくて病気になる」っていうのも変ですけれど、そのくらいのレベルを目指していきたい。
美味しく食べられて、ちゃんと病気が治る、そんな病院給食を当たり前に提供できるようにしていきたいです。
ーー仰られた病院給食の課題等はビジネスモデルの構造上、長い間成立させるのが難しいとされてきたものかと推察します。これらのそもそも困難な課題への挑戦はどのような心持ちで向き合っているのでしょうか?
私たちは、難しい課題にこそチャレンジしたいと考えています。
やりがいがあるけど、やるのが難しいことを見つけたら、「自分たちの出番だな」と。
Oisixを立ち上げた時も同じでした。「有機野菜のデリバリー」って聞くと、どう考えても儲かりそうにないじゃないですか(笑)。
マッキンゼーの先輩たちにも当時は「マッキンゼーでなに勉強したの?」と言われたことを覚えています。
ただ、私たちは一見ビジネスモデルが成り立ちにくそうなところで、抑えるべきポイントを見つけ、ビジネスとして組み立てる。これをずっとやってきています。
例えば2016年に子会社化した「とくし丸」も、移動型スーパーの業態で、補助金を一切使わずに成り立っているのは日本で「とくし丸」ぐらいなんです。
高齢者向け移動スーパーは「補助金がないと成り立たない」と全員が思い込んでいた中で、「とくし丸」の創業者たちはポイントを抑えて補助金なしで事業を拡大していて、M&A当時は稼働台数60台だったのが我々と一緒になった今では稼働台数は1200台となっています。
私はこういう「一見成り立ちづらそうなビジネス」を大きくするのが好きなんです。
そして「私たちがやらなきゃ誰がやる」と考えているからこそ、挑戦しています。
ーー最後に御社の今後のチャレンジとその思いに至ったプロセスをお伺いさせていただけますか?
先ほど申し上げましたが、短期的にはOisixのようなBtoC事業と、シダックスのようなBtoBの事業シナジーをしっかり生み出したいと考えています。
事業を大きくすることで、今までよりも家庭での食事が楽だけど美味しくなって、子どもたちも健康に育ってくれる。あるいは、病院や学校での給食のレベルが上がって、日本人全体の健康水準が上がる。
どちらかの事業成長がもう一方の成長に寄与する。そんな事業をつくっていくことが、短期的に目指していることです。
その先も、基本的には「食」の領域で事業を伸ばしていきたいと考えています。
食の世界で、「なぜか上手くいかない」素朴な疑問を解決し、今はない「新しい当たり前」をつくっていく。
それは、私たちがこれからもずっとチャレンジしていくことだと思っています。
ーーありがとうございます。今後更に挑戦を続けていくにあたって、これからどのようなメンバーに集まって欲しいですか?
「変革者」が必要です。
世の中で当たり前じゃないことを「新しい当たり前に」していく行為は、そのプロセスで何度も止められるんです。社内だけでなく、社外からも止められますし、障害も沢山あります。
そういった難しいチャレンジをしている会社ですので、スポーツで例えるなら「山登りが好きな人」などが合っているのではないでしょうか。「障害を乗り越えていくことが楽しい」と感じる人は、仕事も楽しめると思います。
私の場合、第一話でお話しした学生時代の学園祭実行委員の原体験が、「障害を乗り越えて大きな達成感を抱いた」初めての体験でした。それと似たような経験をしたことがある方には、弊社は良い環境だと思います。
逆に「趣味が食べ歩き」みたいな人には、向いていないかもしれません(笑)。
もちろん、「食」が好きなのは重要なことですが、それ以上に、社会を変革する「変革者」たちが集う会社なので、変化に対応していける方と、是非ご一緒できたらと思っています。
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