Appier(エイピア) が“ユニコーンAI企業”になるまで。 チハン・ユーCEOが語る資金調達と組織作り(第3話)

2012年に台湾で創業し、「AI x SaaS」のAI ネイティブ企業として東証プライム市場上場も果たしたAppier(エイピア)。「誰もが簡単に使えるAIの普及と実用化」を推進し、企業のセールス・マーケティング活動を支援する事業を、世界17拠点でグローバルに展開している。同社代表取締役CEOのチハン・ユーが語る、起業家の素養や、グローバルでの事業成長の要諦とは。DIMENSIONビジネスプロデューサーの伊藤 紀行が聞いた。(全4話)

あの「セコイア・キャピタル」に準備ゼロ!?

ーー2021年に東証に上場されるまで、累計で1億6,200万米ドル程の資金調達に成功されています。特に海外ベンチャーキャピタルからの資金調達におけるポイントなどがあればお聞かせください。

私たちが会社を設立した当時はAIの実用化がまだ話題になっていない時代でしたので、外部からの資金調達は基本的に断念しており、ベンチャーキャピタルからの資金調達も期待していませんでした。

ですので、最初に出資いただいたセコイア・キャピタルも、偶然シンガポールで会う機会がいただけたもので、予定をしていたわけではありませんでした。。

さらに、当時セコイア・キャピタルが何なのかもわからないまま、言われるまま会いに行ったんです(笑)

 

ーースタートアップなら誰しもが話したいベンチャーキャピタルです(笑)

そうですね。お会いしたあとに“ググって”調べてみたら、Google 先生が 「セコイア・キャピタルは Google の初期段階の投資家です」と教えてくれました。非常に驚きましたね(笑)。

実際、私たちは何の準備もせずにお会いしたわけですが、逆にそれで自然と話せたのがよかったのか、出資いただける結果となりました。

ここで私が申し上げたいのは「ビジネスは価値を創るためにやるのであり、資金調達をするためにやるのではない」ということです。

ビジネスに価値があれば投資は入ってくると。私は資金調達が目的ではなく、目指す価値をピュアに話すことができたからこそ、出資いただけたのだと思っています。

次に、非公開企業において株主というのは非常に長い旅を共に歩む仲間です。

なのでお金を提供してくれるだけでなく、本当の意味で助けになってくれる投資家を選ぶべきです。自分たちのチームに足りない要素を補うために、「キャップテーブルを活用したアドバイザリーボード構築」と捉えて投資家を選ぶと良いと思います。

最後のポイントは、市場にとって、そして自社にとって資金調達をすべき適切なタイミングはいつかという見極めです。

経営者が常に資金調達に時間を割き続けるのは、私は本末転倒なことだと思いますので、適切なタイミングを見極めて効率的に実施すべきです。

 

個性を出身・国籍と紐付けない

ーー日本の投資家からも多くの出資をされていますが、何か日米のベンチャーキャピタルの違いなど感じられていますか?

私が意識しているのは、あらゆる違い・個性をお国柄と紐付けて捉えないということです。国が同じだろうが違おうが、ベンチャーキャピタルにはそれぞれ違いがあります。

同様に、多国籍の社員と接する際にも、「個性を国籍と紐付けない」ことは絶対に守るようにしています。どんな国にも、いろんな人がいますよね?

 

ーー日本ではスモールIPOが多い、という課題点も指摘されています。

IPOするか否かは経営者の判断ですので必ずしも仕組みどうこうの話ではないと思いますが、たしかに小規模なIPOでは維持コストに見合わないリスクなどあるでしょう。

私はレイターステージの投資家の存在が、スモールIPO以外の事業成長・EXIT方法を促進していく上で重要だと思います。

米国はそのあたりのエコシステムで先行していますので、日本も充実していけば良いと考えています。

 

ーー組織作りについて、どのようなことを意識されていますか?

私たちは創業時、「信念を愛する人」でチームを作りました。信念を達成するためなら喜んで協力し、一緒に走ってくれる人です。

特に困難な創業期こそ、互いに強みを補完しあえる多様性のあるチームをつくることも重要です。

私たちの場合、私は機械学習アルゴリズムが専門で、CTO兼共同創業者のチャユン・スーはデータとシステムの専門家です。また、COO兼共同創業者のウォンリン・(ウィニー)・リーはエンジニアではなく事業推進や組織構築に強みのある人です。

互いの能力や個性を補い合い、尊重し、一つの目標に集中してコミットする。

こういったチームほど優れたものはありません。

私たちは常に最高の人材が集まる企業文化を築きたいと思っています。素晴らしい才能を持っている人と出会うたびに、いつも興奮しています。

常に新しい人との出会いに「オープンマインド」でいること。これが資金調達や組織作りにおいても大切だと考えています。

 

 

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著者 伊藤紀行

著者 伊藤紀行

DIMENSION Business Producer:早稲田大学政治経済学部卒業、グロービス経営大学院経営学修士課程(MBA, 英語)修了。 株式会社ドリームインキュベータからDIMENSIONファンドMBOに参画、国内のスタートアップへの投資・分析、上場に向けた経営支援等に従事。主な出資支援先はカバー、スローガン、BABY JOB、バイオフィリア、RiceWine、SISI、400F、グローバ、Brandit、他 全十数社。 ビジネススクールにて、「ベンチャー戦略プラン二ング」「ビジネス・アナリティクス」等も担当。 著書に、「スタートアップ―起業の実践論 ~ベンチャーキャピタリストが紐解く 成功の原則」

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