#ビジョン
ゲームサービス事業の国内最大級かつパイオニアとして急成長中で、『オンラインサービスの100年企業』を掲げる株式会社マイネット。2015年に東証マザーズ上場を果たし、創業11年目を迎えている代表取締役社長 上原 仁氏に、起業家としての心得やベンチャー組織論について聞いた。(全6話)
多数の組織をまとめあげるために重要なこと
――メンバーへのビジョン浸透、価値感共有といったコミュニケーションは定例化されているんでしょうか?
先にも少しふれましたけれど(第2話リンク)、週に一度、外苑前のオフィスでは金曜の朝10時に30分全メンバーが集まる会を開催していますね。私から話す時間は5〜7分くらいですが、みんなが同じ方向を向ける状態を作るということでトップのライブメッセージは大切かなと思っています。
その甲斐もあって、全メンバー、アルバイトのデザイナーでさえも共通バリューである「ユーザーさんの方向を向いて仕事をする」「利益が社会からの通信簿」「クロスリスペクト」を言えますからね。
例えば、「クロスリスペクト」。メンバー相互の価値観をリスペクトして、それをかけ合わせてユーザーバリューを生み出すことです。当社の場合は、今、毎月1チームくらいのペースでチームが増えています。チーム編成もどんどん変わっていきます。こういう状況の中では、時間による信頼関係でチームをビルドする猶予はないので、信頼関係ができるまで待つのではなくて、最初から「信頼する」「リスペクトする」「価値観は違うものである」を根底のバリューに置いているんです。
当社ではユーザーさんが一番上にあって、それに対応するユニットがあり、社長が一番下に来るという逆三角形組織、要は従業員全員経営者主義をとっています。偉くなって格が上がるというのは、下に降りること。つまり、前に出て活躍したい人間、若い人間にどんどん機会を譲っていくのがいいことだという風に思っています。地位が上がることは、上に上がっていくのではなくて、どんどん土台に近づいていくみたいな。「縁の下の力持ち」はカッコイイんだぞという価値観です。
1個1個の利益ユニットそれぞれが、それぞれの経営者たちによってしっかりと経営されている。多数に分解されている組織ゆえに、価値観の共有を創業トップがライブで伝承し続けていくことが重要だと思っています。
――それでも権力を持ちたがる人って結構多いですよね。上になって楽する人が出てきたり、下の人が活躍する場を作れなかったりといった場面がたくさんあるかと思うのですがいかがでしょうか?
そういうのはトップが誠実じゃないから出てくるのでしょうね。要はトップが偉そうにしたら、下も偉そうになります。
私たちの会社はいろんな会社から来たメンバーが集まっていて、最初は前の職場のなごりで権力争いがちになった人もいました。でもそんな人も今は真正面から、「縁の下の力持ち」のマインドで仕事してくれています。やはりトップが人生を賭けて、誠実であり続ければメンバーも応えてくれると思います。
社長が誠実であり続けること
――御社のメンバーの皆様の”自慢ポイント”をお教えください。
みんな”分かって”くれますね。私が絶対的な誠実さを欠かさないことを前提にして、それに呼応して誠実さで返してくれるのです。『影響力の武器』の中でいわれている、返報性ですね。マイネットは「誠実、努力、成長」という基本人事方針を持っていて、そのフィルターで見てOKという人だけに入社してもらっているので、誠実さがメンバーに共通した”自慢ポイント”です。
――誠実さに対して誠実さで返してもらえる。これは心地がいいですし、このことがマイネットの、ひいては上原さんの特徴ではないかと思います。さらに言えば、初期のメンバーと仲違いしてしまうという苦労も他社では聞きますが、ずっと支えてくれている人がいるのは上原さんの会社のすごい強みだと思います。そういう仲間の集め方のポイントはどのようなものでしょうか?
私が逃げない限り相手も逃げない。私が誠実でいる限り相手も誠実でいてくれる。返報性が強い。そういう人を仲間にしています。これは私が自分に誠実であることに完全にコミットしているからこそできるんだと思います。また、私自身がこの会社に全人生をコミットしているからこそ相手も逃げないのです。
初期のメンバーに関して、別のポイントを加えると、変化耐性と順応性の高さです。一番初めに掲げた「100年成長する企業」には変化ありきの姿勢が不可欠です。その構造をちゃんと納得してくれるメンバーを集めています。
自分よりも能力の高い人達が、起業家である私が最初に抱いた「意志」に腹落ちして一緒にいようと決めてくれている。意志を実現していく上での構造を共に作ってくれているのが彼らです。
>第6話「起業家である唯一の意味」に続く
>第4話「企業ロゴ変更に込めた「新常識」開拓への想い」に戻る
>マイネット公式HPはこちら
DIMENSION 編集長
「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。
Others 関連記事
Ranking よく読まれている記事
#インタビュー
「『Anti-bias』他人の言うことを鵜呑みにせず、自分たちが思うやり方を大切にする。」株式会社Finatextホールディングス 林 良太社長(第3話)
#インタビュー
「スタートアップの失敗原因は“自爆”のみ」株式会社Finatextホールディングス 林 良太社長 創業者の性格に合わせた組織作りとは(第2話)
#起業家の素養
連続的ヒットメイカー「MIXI」創業者 笠原健治の頭の中。「経営者に重要な素養」とは?(第1話)
#志
国立医大生が1年間休学してフルタイムインターンをしてみて 第3回~VCインターンを終えて、私の今後~
#インタビュー
「強く、偉くならないと世の中は変えられない。」株式会社Finatextホールディングスが見据える未来 林 良太社長(第4話)
#インタビュー
『金融を“サービス”として再発明する』株式会社Finatextホールディングス 林 良太社長が思う「起業家に必要な3つの素養」(第1話)
Sns DIMENSIONのSNS
E-MAIL MAGAZINE 起業家の皆様のお役に立つ情報を定期配信中、ぜひご登録ください!*は必須項目です。
This site is protected by reCAPTCHA
and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.