#起業家の素養
「誰もがやりたいことを実現できる世の中をつくる」というビジョンのもと、国内初・国内最大級のクラウドファンディングサービスを運営するREADYFOR株式会社。2018年10月には、初の外部調達も実施。今回、同社の創業者 兼 代表取締役CEOの米良はるか氏に、起業家の素養や事業創出の秘訣などについて聞いた。(全4話)
「やりぬく」ことができれば勝てる
ーー「起業家の素養(第1話リンク)」の3つめ、「やりぬく力」が大切な理由をお教えください。
実はこの「やりぬく力」が一番大事だと思っています。
ゼロからイチを生み出すことが好きな起業家の中には、ずっと同じことをやり続けるのが苦手な人がいます。本来は事業ステージごとに経営者に求められる素養や役割は異なりますので、アメリカのように事業成長と共にスタートアップのCEOが交代することがあって当然でしょう。
しかし日本では基本的には起業家が上場後も経営者を続けるケースがほとんどです。この構造の中においては「やりぬく力」、つまり最後まで楽しんでやり続けられる人が強い。私は「やり続ければ勝てる」と思っています。
ーー「やりぬく力」はどのようにして身につけるのでしょうか?
市場が成長すればするほど強い競合が参入してきます。その中で「やりぬく」ためには、なにを解決したいか、どういうインパクトを社会に残したいのか、という部分に根源的な強い思いがあるかどうかが鍵になります。
一度事業を始めたらやめにくいからこそ、いかに自分が思い入れのあるドメインで事業を立ち上げるかは非常に重要な要素だと思います。
ーー米良さんはガンの闘病も乗り越えて、事業をやり抜いてこられました。
2年前にガンになって半年ほど仕事を休んでいたのですが、実はその期間に読書や勉強などができたのが楽しくて(笑)。家族や会社メンバーの支えあってのことではありましたが、死に向き合う苦しい体験をポジティブに捉えられる自分がいました。
私の病気は幸い「抗がん剤で8〜9割完治する」と医師に言われたのですが、そんな確率でうまくいくことってスタートアップではほとんど無いですよね。会社経営は 大変なことがたくさんあるし、逃げずに闘病生活をやり抜けば必ず楽しい世界が待っていると思えたんです。
このように私の「やりぬく力」は会社経営で自然と培われました。苦しい局面もポジティブに乗り越えられる人は、起業家に向いているのではないかなと思います。
「絶対的なポジション」を確立する
ーー「日本初のクラウドファンディング」ということで、ゼロイチフェーズの困難をどのように乗り越えてこられたのでしょうか?
新しい市場をつくるときに重要なのが「わかりやすい」ことです。
Readyforを始めてから3、4年は事業の説明というよりも、クラウドファンディングそのものの仕組みを説明しなければいけない状況が続きました。誰にでも「わかりやすい」説明を用意していないと、多くの人に浸透していきません。
私の場合はクラウドファンディングに関する論文を書くなど、定義やマーケット状況を説明できる専門家的なブランディングを意識しました。メディアにとりあげられる際にも、数字のファクトも交えながら、今後この市場がどう成長していくかを伝えるように工夫していましたね。
ーー創業期からご自身のブランディングをかなり意識されていたのですね。
市場の中で「絶対的なポジション」をつくることは強く意識しています。
現在のITスタートアップ業界はある程度成熟してきて、大手企業やシリアルアントレプレナーが豊富な資金を武器に後発参入してくるようなケースも増えています。そういった場合、参入した瞬間から結構なユーザー数を抱えるサービスになってシェアをかっさらうという状況も想定されるわけです。
なので、ここだけは絶対譲らないポイント、「○○といえばこれ」と覚えてもらえるポジションを初期から意識しておくことが大切です。
私の場合、「日本初」であることは強く意識していました。「日本初のクラウドファンディング 」だと、メディアなどから関心を持っていただきやすくなります。そこでわかりやすい説明をすることで、「クラウドファンディングといえば米良はるか」と覚えてもらえやすくなります。
誰にでもわかりやすい「絶対的なポジション」を確立することが、リソースが少ないスタートアップにとっては必要不可欠な戦略だと思います。
>第3話「愛される起業家・米良はるかのチームビルディング術」に続く
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DIMENSION 編集長
「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。
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