#ビジョン
「北の大地、北海道において高い技術と能力を持ち活躍するプロフェッショナル集団でありたい。」という思いが社名に込められた異色のD2C躍進企業、株式会社北の達人コーポレーション。東証一部上場後も成長を続け、その圧倒的な利益率の高さでも知られている。そんな同社を牽引する代表取締役社長 木下勝寿氏に、起業家にとって重要な素養、利益を生み出す事業の創り方などについて聞いた。(全4話)
顧客満足率を高めるのは「商品品質」
ーー定期購入の売上が約7割を占める御社において、マーケティングで継続的なファンをつくるポイントがあればお聞かせください。
まず解約率を下げるという考えを弊社は持っていません。むしろ必要のないものを買っていただくのは良くないという考え方です。
つまり新規顧客獲得に関してはマーケティングですが、リピート顧客獲得に関しては商品品質によるものが大きいと考えているのです。
ではお客様が商品に満足しない時はどういう時かと言うと、当社のような美容・健康食品系商材だと「効果を感じなかった」時。それが起こる理由を紐解くと、「自分には合わない」という理由がある一方で、「正しい使い方をしていない」という理由も結構多いのです。
なので我々はお客様に使い続けていただくために「正しい使い方を徹底して伝える」ことに非常にこだわっています。
使い方の説明同封物も全社員で隅から隅までチェックし、説明が分かりやすいかどうかを検討し尽くしています。また、お客様がわからないことがあったら何でも相談いただけるよう、カウンセリング専属の窓口も整備しています。
まずはお客様にベストな使い方をしていただく。その上で、それでも効果が無かったらそれは我々の商品の実力不足です。自信を持って販売している商品だからこそ、「正しい使い方」を伝える努力は惜しみません。
ーー長期的に使うことで効果が上がる商材もあるのではないかと思います。販売する際の顧客コミュニケーションで気をつけているポイントがあればお聞かせください。
まずは正しい情報の伝達。
たとえばお肌の美容商材の場合「皮膚構造の説明」から始めます。人間の肌はハタチ前後では、28日周期で生まれ変わっていくと言われています。それを知っていただければ、皮膚が良くなるにはどうやっても28日以上かかると理解いただけますよね。
そして、正しい情報を伝えるための、先ほど申したカウンセリング専属チームの存在です。
昔はカウンセリングをカスタマーサポート部門がやっていたのですが、受注処理などの業務と並行していてはどうしても一人一人のお客様と向き合うことができませんでした。
なので年商が10億円を超えた頃から完全にチームを分けて、カウンセリング専門のチームを作りました。
カウンセリングチームでは常に勉強の時間も業務時間内に作っていて、お客様からの様々なお問い合わせに対してどうお答えするのが良いのか研究しています。
医者のアドバイスには優しさよりも正確さを求められるように、カウンセリングチームはプロとして正しい情報をお客様に伝えるよう、日々試行錯誤しています。
顧客の課題ドリブンで商品を作る
ーー単発ではなく、ヒット商品を次々と世に出すために心がけていることがあれば教えてください。
まずは単純に数をこなすことです。
我々は「びっくりするほど良い商品ができた時にしか発売しない」という方針のもと、独自の商品開発基準として750項目を設定し徹底したモニター調査を行っています。発売する数は多くなくとも、その前段階では何百というプロジェクトがあって、商品開発も何十と同時進行させているのです。
基準を満たして発売に至るのは開発案件のわずか2%。その選定基準は大きく2段階に分けられます。
まずは「市場があるか」どうか。机上の空論で良いので商品コンセプトを企画し、アンケートや調査によって実際に市場・ニーズがあるかを調べます。
この時点で10のアイディアがあれば9つはボツになるくらい、「発売できれば売れる」商品を企画するのは難しいものです。
次の2段階目が「実際に作れるか」どうか。
弊社には3、4年ずっと試作品を作り続けている商品もあるほど、売れるコンセプトを実際に商品価値として実現するのは難しいことです。
まずは数をこなすこと。そして圧倒的な顧客満足と品質管理を追求すること。これがヒットを生み出す唯一の道だと思っています。
ーーD2Cのスタートアップは商品カテゴリを増やすタイミングに苦労するケースが多い印象です。御社は新規カテゴリをどのように開拓されてきたのでしょうか。
あまり商品カテゴリを広げるという考えはありません。
なるべく健康食品・化粧品という大枠は決めてはいますが、目的は「人の生活上の悩みを解消する」ことであって、手段として健康食品・化粧品になっているだけ。それが男性特有の悩みだったら結果的にメンズコスメになる、という順序です。
例えばアイキララという商品の開発では、「目の下にできるクマを解決する商品を作ろう」というゴール設定のもと、色々なメーカーに打診をして試作品を作りました。この段階では化粧品も健康食品も両方混ざって、いろんな商品カテゴリがある状態です。
そこからどの商品が一番効果を感じるかというモニター調査を行ない、結果的に一番効果が出たのがクリームでした。商品化された後に世間的にこれが「アイクリーム」と呼ばれる商品カテゴリだと知ったほどです。
我々は「目の下にできるクマを解消するもの」を目指してアイキララに行き着きました。決して「アイクリーム」を作ろうとして作ったわけではない。このようにまず「顧客の課題」から商品開発を始めるのが重要なのではないでしょうか。
>北の達人コーポレーション代表 木下勝寿(著) 「売上最小化、利益最大化の法則 -利益率29%経営の秘密 」はこちら
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DIMENSION 編集長
「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。
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