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IDaaS(Identity as a Serviceの略称)を中心とするクラウドセキュリティサービスである「HENNGE One」を提供するHENNGE株式会社。1996年創業の老舗ながら、2019年に東証マザーズ上場を果たし、近年の働き方改革を追い風に急伸を続けているSaaS企業だ。同社の代表取締役社長兼CTOを務める小椋一宏氏に、起業家の素養や成長事業の創り方などについて、DIMENSIONビジネスプロデューサーの中山航介が聞いた(全4話)
ーー未上場時の資金調達において、これまで工夫されてきたことがあればお聞かせください。
私たちの時代の話をしてもあまり参考にならないかもしれませんが、私たちが1回目の資金調達をした当時はまさに「ネットバブル」。毎日のように「x億円投資させてください」と電話がかかってくるような時代でした。
普通は投資家とベンチャーの間で牽制関係がうまく働きます。ベンチャー側が自分たちの価値をアピールするのに対し、投資家側が冷静に見極めて判断しますよね。
しかし当時のバブル期は、どの会社も超ハイバリューエーションで資金調達できてしまうような未成熟な時代でした。
一度でも実態以上に価値を膨らませて資金調達をしてしまうと、永遠にそれを続けなくてはいけなくなります。
そうなることがわかっていたので、どうやったら「バブル」に乗らずに、自分たちの適正価値を理解してくれる投資家を探すか。自分たちを大きく見せすぎないことに苦慮していましたね。
ーー直近も“カネ余り”と言われるように、少しバブル気味とも言われています。
当時を振り返って良かったと思う点としては、常に「正直」でいること。
経営危機に陥ったときでも、口先だけで新たな価値を創り出して資金調達する方法ではなく、正直に危機であることを投資家に話し、理解してもらえるようにコミュニケーションしてきました。
その「正直」さが、結果的にネットバブルが崩壊した後でも生き残ることが出来た要因なのかなと思っています。
ーーネットバブルを乗り越えた方法をぜひお聞かせください。
当時は私も20代前半で、大失敗を繰り返しながら世の中の濁流に飲み込まれ、運よく生き残ったというのが実態です。
「利益は時価総額と関係がない!」と言われていた時代でしたので、私はそれを素直に受け入れて利益度外視の事業拡大を続けていたところ、突然バブルがはじけて「利益は大切!」となった(笑)。
拡大路線から一転して利益を出すにはコストを下げるしかありませんので、オフィスを畳んだり、社員にお願いして辞めてもらったりと、事業縮小するしか選択肢がない状況でした。
ーー2007年にはリーマンショックも起こりました。
リーマンショックの時はネットバブルの時のように「会社の評価ルールがいきなり変わる」のでなく、そもそも商品の需要がなくなってしまいました。ネットバブルとは危機の性質が異なっていたように思います。
2007年にリーマンショックが起きてから我々のBtoB領域に到達するまでには1年くらいのタイムラグがありましたので、コスト削減策に関してはネットバブルの危機を参考にしながら実行することができました。
ただ、会社に2度もの経営危機をもたらしてしまい、経営者としては本当に悔しい出来事でした。
外部環境の変化がある度に後手後手で対応しているようでは、とてもじゃないけど理念である「テクノロジーの解放」は実現できない。自ら変化を先取りしなければと考え、まだ未知数だったクラウドサービスを開発し始めたのがこの頃のことです。
ーー2度の経営危機を経て、HENNGE(へんげ)の価値源泉が生まれたのですね。
お客様に先駆けて自分たちが変化を先取りすること。それによって「失敗を100回すること」。失敗を通してEXPERTISE(専門的な技術)をまず自分たちが身につけること。
これが我々の価値の一番の根本です。
我々はそのことを “EAT UNRIPE FRUITS AND MAKE MISTAKES EARLY.”、つまり自ら青い果実を食べて、たくさんおなかを壊すと表現しています。
食べられるもの、料理したら美味しいかもしれないもの、毒を抜いたら食べられるかもしれないもの。すべて自ら食べることで整理していって、その情報をお客様に伝えることで信頼感を得るのが我々のやり方なのです。
「テクノロジーの種」を見つけるために、自分たちがまず先んじてお客様にこの先、5年10年ぐらいで起こりそうな事を全て試す。自ら“変化”し続けることが、ひいては「テクノロジーの解放」につながると信じています。
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著者 中山航介
DIMENSION Business Producer: 上智大学経済学部卒業後、新卒でドリームインキュベータ参画。大企業向けコンサルティングでの戦略策定、事業投資先への出向(データベース運用・分析)を経て、国内ベンチャー投資を担当、'19年11月にベンチャー投資ファンドDIMENSIONの組成に伴い、ファンドメンバーとして活動。学生時代は製薬業界の市場調査に従事。
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